1.怪しいお婆さんからお金を貰ったら化け物に食べられたんだけど
初投稿です。文章や段落等おかしいところがあると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。
※追加→9月7日に見づらかったため文章を改良しました。
天気は台風だった。
ダムに架かる橋の上、一人のみすぼらしい男がごうごうと音を立てる川を前にして立ちすくんでいる。
彼はこれから自殺しようとしていた。理由はよくある借金だ。口座も売ってしまってもうどうしようもない。仕方なく勇気を振り絞って山奥まで来たものの、いざ飛び込もうとすると膝が震えて一歩も動けなかった。
そんな彼に待っていましたとばかりに一人の怪しい老婆が声をかける。
「ひょっとして、その川に飛び込むつもりかい」
「そ、そんなわけないですよ! ははは…」
通報されるかもしれないと後ずさりする男に老婆はなだめるような口調で言った。
「お金に困っているんだろう」
「えっ、何で」
「それはそれは勿体無い。まだ若いんだからねえ。お金なら私があげようじゃないか」
老婆はそう言うと、いつの間に出したのか1万円札を8枚ほど男にひらつかせた。
「いや、いや本当に…僕はその、ほら雨の様子を、見に来ただけなんで…そんな飛び込むとかは」
口ではそう言っていても、男の心は揺れていた。雨に濡れて今にも破れそうな万札にゴクリと唾を飲む。
「ほらほら、遠慮しないで」
老婆が握る万札に男は手を伸ばした。しかし彼が受け取ろうとした瞬間、それは風にさらわれ、濁流の中に沈んでしまった。
「あっ…金がぁ!」
男が上半身を柵からはみ出させていると、大量の小銭が擦れ合うような音が水の底から響いてきた。
途端耳鳴りがし、橋がガラガラと豪快に崩れ始める。彼は足場を無くして激流へと真っ逆様。助けを求めるも、既に老婆の姿は無かった。
◇
男が川に沈んで行くとき、錆びた鉄の匂いが彼の鼻を突いた。それを合図にして、彼はボーッとしていた頭を叩き起こす。
(暗くて何も見えないな)
どうやら水中ではないらしいが、大量の貨幣が手に触れていることが何故か分かる。耳を澄ましてみると、貨幣の山を踏み分けてこちらへ歩いてくる何者かの足音が聞こえた。
ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ
それは段々と男の元へ近づいてきた。踏む度、踏む度、音は反響して大きくなる。
少し目が慣れ始めてきた頃、彼が後ろを振り向くと、そこには禍々しい紫色のもやに包まれた化け物が立っていた。
「えっ…」
ずんぐりとしたゼリー状の体は見上げるほどにデカい。目の代わりなのかギラギラと光る星のようなものが二つ頭らしき場所についていた。四本の錆びた細い足で、時折バランスを崩しながらゆっくり歩いている。
「うあああああああ! 死ぬうううううう!」
男は抜けた腰を必死によじって前進しようとしたが動けない。
「誰かッ、誰か助けてくれ!」
男は涙を流して喉を震わせたが、誰も現れはしなかった。数秒もしないうちに彼は化け物に飲み込まれ、「ゴボッ」という音とともに意識を失った。
下手な文章をここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。次回も1文字で良いので読んでいただけると幸いです。
(毎日21時頃には、1~2話ほど新作を投稿しようと思っているのでよろしくお願いいたします)