2
「ただいま〜」
「おかえりなさい、早かったわね。友達とご飯でも行くのかと思ってたよ。」
母親は悪気なく言っただけだが、さくらは思わず顔をしかめた。
「ちゃちゃっと作るから食べちゃって。」
「…はぁい…」
❄︎❄︎❄︎
朝日が眩しい。
スマホのアラームが鳴っている。
昨日2学期の始業式だったので、今日から普通の授業が始まる。中学3年生、つまり受験生だ。1日1日が大切になってくるこの大切な時期に、心を惑わされていることに少しイラつく。
「はぁ〜ぁ〜あーーー!」
枕に顔を埋めて心のモヤモヤを吐き出すように大声で叫んだ。
ーー学校行きたくないな…いやでも行かなきゃ!大丈夫!気にしない!
気持ちを切り替えて、さくらは学校に行く準備をはじめた。
❄︎❄︎❄︎
学校の近くまでくると、いつもの場所に2人はいた。少し早めに待ち合わせていたのだろう。見つめあって笑い合っている。
なんとも言えない気分の悪い光景だったが、拓也を取られたとか、3人のうち2人がくっついてハブられたみたいだとか、あえて心の中でも言葉にせず、確かに生まれているはずの感情に気づかないようにした。
ーー大丈夫。なんて事ない。普通に。いつも通り。
「おはよう!」
「さくら!おはよう、待ってたよ」
「さぁ行こうぜ。チャイム鳴っちまうよ。」
3人は早足で教室へ向かった。
3人とも同じクラスなのを1学期は喜んでいたが、今はそれを呪いたいくらいだ。幸い席は皆バラバラなので、さくらは窓側の1番後ろの席について1時間目の準備をして気を紛らわした。
「よ、相川おはよ。」
ひとつ前の席の男子が挨拶をしてきた。
「おはよう沢田。」
沢田史哉、この人もサッカー部でエースだったが、もう2学期に入ったので、部活は引退。あとは受験に集中するだけらしい。拓也と同じくらい女子に人気のあるヤツだ。
挨拶を返したくらいで丁度先生が教室に入ってきた。
ーーそうよ、勉強に集中していれば2人のことなんて忘れるわ。案外平気かも。
そう心の中で思ったさくらは今まで以上に授業に集中した。




