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恋物語ー春ー  作者: 緑玉
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春夏秋冬それぞれの恋物語を書いていきます。

今回はその第一弾、春編です!

短いので、サラッと読んでお楽しみ頂ければと思います!

ピロンパロンポロン

スマホのアラームが鳴って目が覚めた私は、アラームを消して部屋のカーテンを開けた。

今日から2学期が始まるが、気温はまだまだ暑いまま。朝の眩しい光が部屋に入ってきて鳥籠まで届いた。

中には文鳥のピイちゃんがいて、もうすでに起きて水を飲んでいた。

「おはようピイちゃん」

私がそう言うと、まるで返事をするかのようにピイッと鳴く。これが毎朝の決まりごとになっていた。


私が文鳥のピイちゃんを拾ったのは今年の春。

なんとなく学校の裏庭に咲いている大きな桜の木を1人で見に行った時、根本の部分で真っ白な文鳥が飛べずにピィピィ鳴いているのを見つけた。

近づいてみるが、特に怪我をしているわけでは無いし、雛でもないし…と思いながら持っていたハンカチの上にそっと文鳥を乗せて胸の位置に抱き寄せた。

すると文鳥と目が合い、私はその可愛さにすっかりメロメロになり、家に帰って動物嫌いの母親を説得し、飼い主が見つからなければOKという条件で家で飼うことを許可してもらった。

警察に相談し飼い主が名乗りを上げるのを待ったが結局現れず、今は私の部屋の鳥籠の中でピイちゃんは元気に過ごしている。

「行ってきまーす!」

すっかり朝の支度を終えた私は元気にそう言って登校した。


❄︎❄︎❄︎


学校へ向かう途中で、私は幼馴染の2人と合流して3人で登校する。そんな日常を中学に入ってから3年生になった今もずっと続けている。

いつも学校の3つ手前の曲がり角にある自販機前で自然と待ち合わせをしているのだ。


今日は2人が先に来ていて、私を見ると名を呼んだ。

「さくら!おはよう!」

「よっさくら」

私も2人に返事する。

「おはよう!早いね、きみか、たくや」

1人は君華、頭脳明晰で美人な自慢の友達。もう1人は拓也、サッカーが上手い王道イケメン。

私は2人が大好きだ。もっと言えば拓也に恋心も抱いている。

しかしその朝私は2人が纏う空気感が1学期とは違うことに気づいてしまう。

「ねぇ、さくら」

「なっなに?」

「今日始業式で午前終わりでしょ。3人で一緒に帰らない?もしよかったらご飯も食べに行こうよ!話したいことがあるの。」

「う、うん。分かった…」

私はもう何となく悟っていたが、聞くまでは分からないと、何も考えないようにした。


❄︎❄︎❄︎


始業式やその後の先生の話は何も頭に入ってこなかった。そのまま帰る時間になり、3人で並んで下校する。しばらく君華と拓也が、お互いにそっちが話を切り出せと小声で言い合っていたが、漸く君華がさくらに体を向け意を決したように言葉を発した。

「さくら、実はね、私たち付き合うことになったの」

ーーやっぱり…

さくらは心の中に黒いモヤモヤを感じた。表情には出さずに笑顔で応える。

「わ〜え〜いつから⁈気付かなかった〜!おめでとう!」

「ありがとう、実はこの夏休みの間にね。ほら私と拓也、塾が一緒でしょ。夏期講習で会ううちに…ね」

語尾のね、で君華に上目遣いで振り向かれた拓也は顔を少し赤らめた。

「まあ、でも俺らずっと3人組だったし、これからも変わらないからな!」

爽やかに言われたが何と酷なことを言うのだろうか。

でも私の気持ちを知らないのだから、仕方ないのかもしれない。

「じゃあこの後ファミレスでもいく?」

君華の提案にさくらは拒否感を持った。

「あー…お母さんがそういえば午後用事あるから早く帰ってねって言ってたんだった。昼ご飯も用意されてると思う」

「そっか、じゃあ仕方ないね。また明日ね!」

「またな!」

「また明日〜!」

さくらは笑顔を作り続けながら2人に手を振り、家がある方向の角を曲がった。


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