俺は何をしたのだ? 悪友視点
俺はどうしたら良いのだろうか? 見たくもない悲惨な動画を常時付けていた液晶端末で見せられた時よりも、俺は危機的状況にいた。この視界に映るバナーを無視出来れば、俺は今すぐにでも快適な睡眠を得るために、ベッドに倒れ込むことが出来た。バナーを押した時に更に文字が出るなど、誰も教えてくれなかった。
『貴方は[トリックスター]になりました
ーー嘘をばら撒き、人々を混乱に陥れましょう。人が信じた分、貴方にプラスで返ってきます。素晴らしい嘘を吐き、その才能を混沌の社会に生かしましょう。
ただし、貴方の嘘が知り合いに見破られ、銃声の音を発せられたり脳内で呟かれた場合は、処刑対象として認定されたとし、液晶端末が自動的に貴方を眼球爆発で死に陥れます。
これはゲームです。スリルがなければ人は楽しめません。なのでハイリスク・ハイリターンです。死にたくなければ演じなさい。人は殺し合いが好きでしょう。特にゲームではわざわざ自ら銃を持って殺し合いをし、勝てば喜びます。その延長戦です。彼のようにならないように、頑張りましょう! 応援しています』
この文章を読んだ時に俺は死刑宣告を受けたように、体が動かなくなった。俺は何も人を傷付けるのが好きで、FSPをやっていた訳ではなかった。ただストレス解消のために、仮想にしかいないキャラクターを使って、知らない奴らを殺していたのだ。それは当然のことだった。そのためにゲームは存在して、ただ俺はそれを利用しただけだった。そこのどこに罪が存在すると言うのだ? 俺は無実だ。俺はあいつのようにはならないのだ。
死骸を世に晒した彼の死に顔を思い出し、俺は膝を丸めた。後どれだけ生きれるのだろうか? 俺も奴みたいな惨めな死に方で終わるのだろうか? 両親に感謝も出来ずに第二の被害者として記録されるだけなのだろうか? 嫌だった。怖かった。死にたくもなかった。こんなことになるのならバナーを押すべきじゃなかった。何も知らなければ俺は今感じているこの苦しみを味わうことがなかった。だが、何も知らずに死ぬのも許せなかった。俺は泣き崩れると、拳を握り締めた。この思いさえ誰にも伝わらないのだった。その悔しさと虚しさが更に俺に追い討ちをかけた。
本当の本当に何で俺じゃないといけないのだ? 何で他にも罰せられるべき悪人がいるのに、俺なのだ? ゲームだけをしているニートだからと社会から抹消されるのか? それとも、ただ誰かの暇つぶしに俺の命は使われるのか? ふざけるな、ふざけるな! 命はそんなに軽いものじゃない……のに。
俺は最初の被害者である、彼のことを知っていた。今でも忘れることが出来ず、記憶にこびりついている。俺が小さい頃から太っていたから、彼はよく俺のことを虐めていた。だから、死んでいる動画を見た時は正直スカッとした。やっとその罪によって処刑されたのだ、と。なのに何でその被害者であった俺も加害者と同じ目に合わないといけないのだ? 理不尽過ぎる。納得出来ない。俺が死ななくてはいけない理由を誰か、教えてくれ。誰でも良いから。
泣き声を押し殺しながら、俺は一人部屋で寝落ちた。
通知音がして、俺は目が覚めた。俺の唯一の友達からの通話が来ているようだった。俺は乾いた笑みを浮かべて、ボタンを押した。せめて最期には彼と話をしたかった。
FSPは楽しいですが、僕のように考え過ぎてこんな小説を書いてしまうと、何かそのまま遊ぶべきなのか悩みます。
ゲームのし過ぎには注意しましょう。(お前が言うな!と言われそうですが)