表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞  応募作品

「2021年12月31日23時、時計塔の前で」

作者: マガミアキ
掲載日:2021/12/31

 十年前、彼はそんなメッセージを残してわたしの前から姿を消した。


 今日がその日だ。

 わたしは大きな川を臨む巨大な時計塔の前にいた。


 改修工事中の塔は、今も無骨な足場に囲まれている。

 どこか寒々しい時計塔を見上げながら、わたしはその時を待った。


 23時。


 何も起こらない。

 ひとり大きく白い息を吐いて、わたしは塔に背を向ける。


 その時だった。

 ローターの轟音が辺りに響き、小型ヘリが橋の下から上昇してきた。


 ヘリに乗った男が大声で叫ぶ。

「待たせたな、乗れ!」


 わたしは驚きを隠せないまま、引き寄せられるように橋の上から跳んだ。

 男の伸ばした手がわたしの手を取って、座席へと引き上げる。


「もう会えないかと思った! 音信不通なんだもの!」

「タイムリーパーを舐めんな、簡単に連絡できりゃ苦労しねえよ!」


 ヘリは夜空へと舞い上がる。

「やっぱ俺にはお前の力が必要だわ。苦労したぜ、この半年!」

「あんたにとって半年でもわたしにとっては十年よ! 他に言うことないの?」


 男はしばらく黙ってから、何度かうなずいた。

「そうだな。うん、無事また会えて嬉しい」

「ったく……その素直さに免じて、とりあえずは許す」

 わたしは視線をヘリの外に向けて言った。


「ちょっと見ないうちにいい大人になったな。前は袖でハナ拭いてるガキだったのによ」

「拭くか! 十年前でもわたしは十四歳の女子だ!」


 視界の向こうに、無数の光点が見えた。こちらへ迫ってきている。


「あれは?」

「追手のドローン編隊だ、しつこいったらねえよ。このままじゃ目的の時間に間に合わねえ!」

「このままどこかへタイムリープするの?」

「ずっと未来だ。人類最後の生き残りを、一体のアンドロイドが必死に守ってる。手助けしてやらねえとな!」


 わたしはヘリから上半身を乗り出した。強風に髪が流れる。

「確かにわたしがいなくて苦労してたみたいね」

「頼めるか。お前のパイロキネシスがあれば無敵だ」


 わたしは腕を伸ばし、接近してくるドローンに向けて指を鳴らした。


 閃光を放ち、ドローンが空中で爆散する。

 付近のドローンを巻き込み、爆発は連鎖していった。


「ははッ! まるで花火だな、年越しにはぴったりだ! ハッピーニューイヤー!」

「ハッピーニューイヤー!」

 わたしも真似して爆発を続けるドローンに向けて叫んだ。


「跳ぶぞ、掴まれ!」

 ヘリは上空へ向かって加速していく。

 タイムリープする寸前、時計塔が数年ぶりに鳴らす鐘の音を聞いた。


 2022年が来るようだ。

なろうラジオ大賞3 応募作品

……でしたが、投稿時間間違ってました。

・1,000文字以下

・テーマ:時計


少しでも「面白い」と思われましたら

☆評価、ブックマーク登録をしていただけると本当に嬉しいです。

執筆へのモチベーションが高まりますので

なにとぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ