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美女ともふもふ野獣(いわゆる「美女と野獣」のバッドエンド)

作者: PYON48

 そのとき、僕の身体はまばゆい光につつまれた。

 呪いが解けたのだ。

 愛すること愛されることで解ける魔女の呪い…

 それが、彼女のおかげで…

 ぼくの身体は魔獣から人間に戻っていく。


「これが、僕の本当の姿。

 僕はこの国の王子だったんだ…

 呪いを君が解いてくれたんだ。

 ありがとう…そして…」

 僕は彼女をじっと見てほほ笑む。


 彼女の驚きで大きく見開かれた瞳には涙が滲み始めた。


 そう、僕はこの国の王子だった。

 一人っ子でわがまま放題に育てられた僕は人の気持ちのわからない傲慢な王子となってしまった。

 城を訪れた一人のボロをまとった老婆にパン一つも施せないくらいに。

 その老婆は魔女であった。魔女はこの城に呪いをかけた。

 僕の身体はもふもふの黒い毛に覆われた巨大な黒猫の魔獣の姿になった。


「おまえがまともな人間になるまで、その姿は元に戻らない。

 おまえが人間の女を心から愛し、そして愛されるまでな」

 魔女はそう言って、森に戻っていった。


 それから、何十年たっただろうか。

 この城に迷い込んだ彼女の父親が僕の花壇の花を盗んだ。

 その父親を捕えたのだが、老齢な父親の代わりに彼女が罪を償うこととなった。

 その罰とは侍女として死ぬまで僕の世話をすることだった。


 彼女は美しく聡明で、そして優しかった。

 人間を信じられない僕の心を少しずつほぐしてくれたのだ。

 彼女を威嚇したこともあった。

 爪を立てて追い払ったこともあった。

 しかし、彼女は優しくほほ笑んで、僕に寄り添ってくれた。


 僕は彼女を愛するようになった。

 彼女の膝に頭をのせて撫でてもらうと、ゴロゴロと喉を鳴らすようになった。


 呪いを解くには愛することと愛されること…

 愛するだけでは呪いは解けないのだ。


 しかし、呪いが解ける日が訪れたのだ。


「可愛い猫ちゃん。

 ちゅきちゅき、愛ちてますよ~」

 彼女は僕の首に抱きつき、鼻チューをした。


 そのとたん、僕の身体は光に包まれたのだ。


「う…嘘…」

 

「嘘じゃないさ…信じられないかもしれないが、これが真実だ」


「猫ちゃんじゃなかったの?」


「そうさ。僕は王子だ」


「わたしは大きなもふもふの猫ちゃんが好きだったの!

 猫ちゃんに戻って!

 もしくはもう一度呪われてくれない?」

 

「え?」


 そう、彼女はただの猫好きだったのだ。

 そして、魂が抜けたようになった僕は荷物をまとめて城を出ていく彼女の後姿を見送ることしかできなかった。


7月26日の放送で「ちょー美女と野獣」を知りました。たぶん野獣派って多いですよね。


★これからもいろいろな猫ちゃんのお話をどんどん書いていこうと思っています。

まだ未熟ですが、猫ちゃん小説好きのかた、応援していただけるかたがいれば下の☆☆☆☆☆から評価や、ブクマなどお願いします。

それがなによりも作者の励みとなりますのでよろしくお願いします。


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