蟬噪蛙鳴
道端で
空き缶が転がる
風に煽られて
音を奏でていた
競争しながら
それを追いかける
わざわざ
取りに行く必要は無いが
なんとか拾うと
ゴミ箱に捨てた
周りの人間は
近くを転がろうが
足すら出さない
自分の物では無いからだ
転がる空き缶を目にしながら
その後は
自分の時間へ帰って行く
冷たくは無いが
温かくも無い
生温い人間が
増えているのだ
僕の物では無いのだが
僕は気づけば
追いかけ拾う
そこに
誰かの声は無いのだが
それで良いと
僕は思う
巷に広がる自己満足は
己が道を
見せているだけだ
汚れなくて
何よりだと思う
仕事場で
休憩室が散らかる
誰かの所為か
シミを残していた
モップをかけながら
それを消していく
わざわざ
掃除をする必要は無いが
なんとか落とすと
モップを洗った
周りの人間は
近くを通ろうが
口すら出さない
自分の物では無いからだ
掃除をする人間を目にしながら
その後は
自分の時間へ帰って行く
冷たくは無いが
温かくも無い
生温い人間が
増えているのだ
僕の汚れでは無いのだが
僕は気づけば
綺麗に掃除する
そこに
誰かの声は無いのだが
それで良いと
僕は思う
巷に広がる自己満足は
己が道を
見せているだけだ
汚れなくて
何よりだと思う
正しさを言い出し
正しさに
溺れているだけの人間
その数の多さに
悲しくなる
僕の存在は「間違い」だ
生まれてきた事は「間違い」だ
だから
納得して
自己満足をするのだ
命を全うする事を
鼻で笑いながら
何の使命も無い
ただの命を
貪り喰らっている
自己満足とは
美しさすらある
生き方なのだ
僕の命ではあるのだが
僕の事は
どうでも良い
そこに
誰かの声はあるのだが
それで良いと
僕は思う
巷に広がる自己満足は
己が道を
見せているだけだ
汚れなくて
何よりだと思う
僕の事では無いのだが
僕は気づけば
少しだけ追いかける
そこに
誰かの声は無いのだが
それで良いと
僕は思う
巷に広がる自己満足は
己が道を
見せているだけだ
汚れなくて
何よりだと思う
今以上に
汚れなくて
何よりだと思う