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女王へと  作者: ターシー
6/7

プロローグ 最終話:『終の夢の館』 ー




「ガヴさん…」


「流行歌、カラ、葬送曲マデ、オ任セクダサイ、ゴ命令ヲ、オ嬢様」











今日、埃を被った部屋の隅で彼女が座り込んでいた







「此方にいらっしゃいましたか」










「メイドの皆さんがっ…みなさん…」





茫然自失、と振り返った『イヴ』は思わず目を覆った





「果たして、残酷…なのでしょうか…?」



彼女は肩に触れると


「あのお話(・・)の中では…彼女も…楽しそうじゃありませんでしたか?」



木型のオルゴール・ガヴは固い身体で


小人のテファは粘体で、彼女たちは何もしゃべらない


ヒト型(・・・)のメイドたちは賢くなく(・・・・)、少し話したら分からなく(・・・・・)なり。作業に戻る



『イヴ』は思わずメイド長に涙を浮かべて抱き付いた
















「『フェウ』頼みましたよ?アナタもです、『ガヴ』!調子に乗って干渉が過ぎましたね?」





何もない部屋の隅の空と木のオルゴール人形に向かいメイド長は叱りつける

イヴの頭を撫でる手つきは動き続けている



「よろしい」


名残惜しそうに彼女を見ると



最後に頬を撫で


『イヴ』を寝かしたベッドから立ち上がると


「さて」





3、15と書かれた犬笛を吹いた後『待機』と書かれたソレを鳴らした










食堂の一室にはメイドたちがただ、意志のない、うつろな目で整列して立っている


「これでは蝋人形ね。当主様も努力はしているのだけれど…」


静まり返る室内に独り言が流れる




息を付き


メイド長はキッっと目を剝くと




「貴女たち!このままでは『本局』の『戦力投入案(・・・・・)』も現実視されているわ!」





その時、意志のないメイドたちは僅かにゆらゆらと揺れ





気に入った(・・・・・)のでしょう?」






「『イヴ』や『ご主人様』の為にも貴女たちには一層の努力を!」




メイド長の笛の音が響くと



『硬直した死体』のように手を上げる動作(・・)を行った























「創れ!だと!悪魔のクソメイド長めッ!」


幼い見た目の少女が『第一処置室』に篭っていた


「『肉体の精製』だって『何日』かかると思ってるんだっ!クソッ!」


「軍部のっ…」



『彼女』は涙鼻水を垂れ流し


こき使われる軍部の『連中(大人)』や下町の『連中(・・)』を非難し



時たま、しきりに『おじいさま』を連呼し、静かになると再び激しく動き出す





そこにはこの部屋の管理人『テファ』が小さな粘液を必死に動かしていた


















朝が訪れた



「失礼いたします」




「はい、大丈夫ですよ」



「おはようございます…」



「如何されました?」




「おかしい、ですよね」



メイド長は黙って彼女の話を促す



昨日『ガヴ』が夢の中に現れて一通り遊んだ後



「また、会おうねって」







シーツの入れ替えを致しましょう。それと『新しいメイド』を『ふたりご紹介します』





「おっ押すな!おすな!」




「この子?どこかで…」




見覚えのないメイドにボサボサ頭の私より小さい子




「あの時は…ちょっと、調子に乗ってた…」


「はい、この子が『博士』と、『ガヴ』です」


メイド長は頭を下げるメイドと二人の肩を持ち



「え、あ」とイヴは声に為らない



だって、初めて会った時はもっと大きい同年代の子で




「アレは、ちょっと。おじいさまに…力をかりて…いて、だな…」

言いずらそうに言葉を濁すが




「それより!『ガヴ』は完全自律型(・・・・・)だ!」



天才である私にすればこの程度…


自分で(・・・)作ったのなんか初!でしたもんねー?」



なんていって


「昨日なんかおじいさまーって縋るように鼻水垂らしながらこの子を造ってた(・・・・)んですよ?」



「うるさいぞ!もう死体造り(・・・・)が趣味なんて言わせん!」


胸を張るこの子は、どこか憎めなくて…


「うあああああ!」


どうしたの?どうして泣いている!動揺する二人より早く


「ガヴ…ぅ!」

彼女が来てくれた


「腕。固いよ(・・・)っ…痛い痛い、ふふっ」



いつも元気な彼女じゃないけど


肉質の固い彼女の腕は、どこか柔らかかった









部屋の外には


「アラ、メイド長?」




「アナタはどうなの?」



「ワタシが行ったら全て台無し(・・・)じゃない?」





「おもちゃ箱の夢は終わり…」




「お優しい『情愛』は悪い魔法(・・・・)を解いてあげたのね?」




「優しい?舌を噛みきる苦痛が?あの子の(・・・・)苦痛は…?」






「あら?固まった、旧製品(・・・)はダメねーえ。ステータスにネガティブループ、エラーを吐き出してる」



「待機していた3番は部屋へ入りなさい、15は手伝って、私でも休止くらいは出来るわあ」




「『ダーダ(・・・)』と一緒に手伝って(・・・・)あげようか(・・・・・)と思ったけど、一晩で…愚劣な凡人の先代とは違う(・・)わ」



「あら、フェウ(・・・)そう怒らないで頂戴な」


お嬢さん(こむすめ)の手先にでもなったつもりかしらあ?」


初代型機(・・・・)は重いのよ?あなたがその体で持てる?」


「そうよ…従えばいい(・・・・・)…」



ドレス姿の妙齢の女性は『ローズ・マリーメイド長』を方脇に抱え




館の奥へと消えていった


このスペースを利用して次回予告以外の初めてのあとがきです

ある程度型枠が出来上がっていましたが

プロローグは『館にお世話になる』『その道中曇ってきた』というタイトルです

文法がおかしいのはいろいろとご推察を


近いうち海戦シーンなどを書いていこうかと

あくまでIF戦記をタグに打っているので架空兵器を出そうかと思います

人が死ぬシーンは正直ニガテなので逃げないで頑張りたいですね。

これからもよろしくお願いします

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