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ニイマルマルイチ
昔々、あるところにとても仲の悪い夫婦がおりました。2人はいつもケンカをしていました。
ある日、彼らのもとに養子がやってきました。夫婦にとって、それはあまりに突然のことでした。なぜなら、彼らは養子を頼んだ覚えがないうえ、望んですらいなかったからです。しかし、その子供は居続けました。
そして幾日かたつと、夫婦は見違えるように仲良くなりました。息苦しい家庭から、温かい家庭へと変わったのです。しかし、その中に子供はいませんでした。子供はまるで役目を果たした座敷童のように、突然姿を消したのでした。
赤い月の夜のことでした。
「あの子さえいなければ…」
「しょうがないさ。大丈夫。あと2年の辛抱だよ」
「…そうね。」
「やっぱりあいつ、変だよ!あいつのせいで母さんが!おかしくなったんだ!」
「もう…どっか行ってくれよ…!」
「ああ。君がそうか。よろしくね。ちょうど君ぐらいの子がいるんだ。」
「君の名前は確か…」
そう、名前はない。
だって、必要ないから。




