罰
プロローグと第1章の間の話です。
本当はこれを水着回にしようと思ってたんですが、なんか釈然としないので、第2章に持ち越そうと思います。
俺たちはこの前の暴漢の件でこっぴどく怒られた後、罰として、実験都市の名門校、私立光明学園のプール掃除を命じられた。
正直超面倒くさい。
「あー、きっつ!」
「しょうがないだろ、慎ちゃん。能力使うなっていわれたんだから」
そう。俺たちは今、体操着姿で、この広大なプールの掃除をデッキブラシでやっているのだ。
上司はアホなんだろうか。デッキブラシ4本でできるわけないだろ。
それでも俺達を、厳密には女子陣を惹き付けているのが、
「早くしてよね!これ終わったらここ自由に使っていいんだから!」
女子陣はプールがお好きらしい。
「今日のために・・・水着・・・新調したんだから」
「ええ!?未来ちゃんもなの?」
「まさか明良も!?くそう、私よりもでかいくせに!」
「で、でかくないよ!」
「それでアイツを誘惑しようったってそうはいかないんだから!」
「いいもんですなぁ、ガールズトークと言うものは。」
「「うっさい、アンタはすっこんでろ!」」
バキィッ!
「そげぶッ!」
おー、飛んだ飛んだ。
さて、掃除再開するか。
だいぶ進んだな。もうあと少しだ。
「よーし、あと少しだ、頑張ろうぜ」
「つ、疲れた・・・」
まあ、きついのはよくわかった。
だが、
「休むわけにはいかねぇだろ。何せ、」
未来に近づき、耳元でこう言った。
「俺にとびきりの水着姿見せなきゃなんねぇからな」
「ふああああああ!」
奇声をあげ、飛び上がる未来。
御愁傷様なこった。
「あん・・・・・なっ・・・・言っ・・・!」
「よーしさっさと終わらせるぞー」
「「おー」」
それから五分後
「ふ~、あっついね~」
「そうよねー。お陰で汗だくよ」
バッ!
そのワードに反応する馬鹿が1人。
「うっ・・・ぐっ・・・未来ちゃんと・・・明良ちゃんの・・濡れ透け・・・」
馬鹿だコイツ。
「なにやってんのよ。二人とも」
「早くしないと時間無くなっちゃうよ~」
お、これはこれは。
「うぐッ!」
こちらへ向かってきた二人の体操着は汗か水蒸気でこうなったか、エロ同人のように濡れて、透けていた。
ブラジャーが丸見えであることには気付いてないらしい。
「うぐあぁっ!」
ブシャアァッ!
風見の鼻から鮮血が舞った。女子陣は唖然としていた。
ちょうどこんなふうに ( °Д°)
「て」
俺は怒りが爆発しそうになった。
ブツッ
「てめえええ!何きれいにしたそばから汚しやがる!ふざけんじゃねぇ!」
すると、復活した風見が
「だってしょうがないだろ!あの二人の濡れ透けだぞ!興奮しない方がどうかしてる!」
「興奮するのはいい!ただ鼻血でここを汚すんじゃねえ!」
「え?・・・・・きゃあああああ!」
「ふぇ?・・・・・・$£▲§△☆◆▲!!!」
指を指されて、ようやく気付いたらしい。
「「馬鹿ああああああああああああ!!!!」」
奇声をあげ、各々の能力を手当たり次第に発動する。
一方こちらは、
「一発殴られねぇとわからねぇみたいだな!」
「上等だ!僕とケンカしたことを後悔させてやる!」
バキィッ!
このクロスカウンターが、黙示録の始まりだった。
「バッカも~ん!」
この某お父さんのような人物が俺の上司、池沼海である。
今日もいいハゲだ。
俺たちは全員正座させられ、説教をくらっている。
あのあと、俺たちはヒートアップし、能力を使って殴りあい、未来と明良も暴走を止められず、その余波でプールは全壊、掃除もへったくれもない状況になったのだ。
そのせいで今もくどくどと説教をくらっているというわけだ。
そろそろ終わりだな。
「まあ、これに懲りて、精進するんだな」
「「「「はい、申し訳ありませんでした!」」」」
「あ、足が・・・」
「まともに歩けない・・・」
「まあ、正座で済んだんだからよしとしようじゃねぇか。」
「ああ、弁償とかは勘弁してほしいからな」
そんな世間話に花を咲かせていた頃、
♪~♪
俺の携帯が鳴った。
残酷な天使が窓辺から飛び立つような着メロ。
「クラシックの次はアニソン?しかもそんな古いやつ。まあ、嫌いじゃないけど」
「うるせえな。はい俺ー
ああ、はい、はい、そっすか。はい、どーも」
ピッ
「なんて?」
「池沼さんから通達。
俺達全員・・・・」
場の雰囲気が逆転した。ピリピリとした感覚に見舞われる。
「無期限の減俸処分だってよ」
「「「ええ~!?」」」