研究所
俺たちは、挙動不審な人物を追い、研究所が密接する地帯に来ていた。
「どうする?研究所はいろいろめんどくさいセキュリティがあるでしょ。」
「そうだな・・・そうだ、未来、電磁波出せるだろ?
それでジャミングしてくれ」
「え?あ、うん」
未来の前髪から青い電気がほとばしる。
肌にピリピリ来る。
「突入の前に、作戦を立てる。
まずはセキュリティの破壊。これは未来にしかできないから、しっかりやってくれ」
「わかった」
「次に突入するやつなんだが、身軽で攻撃力の高い明良にやってもら・・・」
「いや、僕がやる」
俺の声を遮り、風見が名乗り出る。
「理由は聞いてやる」
「これは僕の家の問題だ。僕が責任をとる」
「・・・・・」
正直風見は頼りない。能力のこともあるが、何よりコイツは熱くなりやすい。冷静になれないのだ。
だが、コイツが本気を出した時の破壊力は凄まじい。下手をすれば、俺が瞬殺されるほど。
奇襲にはもってこいだ。
「・・・わかった。任せる。未来がセキュリティを破壊したら合図を送る」
「了解」
「俺と明良はこのまま待機する。
作戦は以上だ。健闘を祈る」
ダッと風見と未来が走り出す。
「明良、合図用のつらら用意しとけ」
「ん」
俺たちの間では、証拠が残らず、かつ敵にバレにくい水や氷を使った音を合図にしている。
ガバッ と押し倒された。
な、何だ?
思わず瞑ってしまった目を開けると、明良がいた。
おっと、イベント発生か?
「一応聞くが、何だ?」
「わ、私ずっと前から、多分中学校で隣の席になった時から、ずっと・・・ず~っと、慎二君が、
す、好きでした!ん!」
「・・・・・ッ!!・・・・ッ!!」
突然の告白と突然のキス。俺は柄にもなくめちゃくちゃ動揺していた。
それと、何気にキスがうまい。
そういえば、初キスはレモン味って聞いてたが、そうでもないな。
「・・・・・・・・・ぷはっ」
「はあ、はあ、はあ」
く、苦しかった・・・
「大好きだよ、慎二君」
「いきなりキスは無いだろ。めちゃくちゃ動揺しちまったじゃねぇか」
明良を引き剥がしつつ感想を述べる。
「で、返事は?」
「は?」
「も~、人が一世一代の大告白したんだから、返事ぐらいすぐ返してよ~」
そうだな・・・・・
「俺は当分、 彼女を作るつもりは無い。」
「・・・・・そう・・・・・」
おっと、ストレートに言い過ぎたな。
「まあ、作る気になったら考えてやるよ。前向きにな」
俺は彼女を作るわけにはいかないんだ。
あの約束を果たすまで。
パチッと電気が走る。セキュリティを破壊した合図だ。
「明良、つらら落とせ」
「了解」
パリィン と、氷が割れたような音が聞こえた。
今頃あいつが潜入したところだろう。
さてと、
未来が戻り次第、俺たちの任務を始めるか。