任務
「さて、あいつだな。」
俺たちは暴れている男のもとについた。
「大丈夫なの?簡単とはいえ相手が『爆発』なんだから、近付きづらいと思うんだけど。」
「だから今作戦考えてんだよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・あ
「思い付いた」
「どんな作戦なんだ?」
「ちょっと耳貸せ。
ヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソヒソ」
「いいのか?その作戦だとお前が一番危ないんだが」
「いいんだよ。
それじゃ、お前ら健闘を祈る」
ダッと全員が所定の位置に走り出す。
「慎二」
未来が振り返った。
「死なないでよね」
フン、こういう時だけ素直になるんだよな。
「お前に心配されるほど弱くねぇよ」
「バッカみたい」
と言って走り出した未来。その顔は、後ろから見てもわかるくらいの笑顔だった。
さてと
「これじゃかっこよく死ねねぇな」
「おい。そこのお前」
俺が呼び掛けると、暴漢はこちらを睨んできた。
「なんだよガキ。俺に何か用か」
「ああ、そのおめでたい頭どうにかしろよ。ザコが」
「ンだと?随分となめられてんなぁおい。
ガキがガタガタ言ってんじゃねぇよ」
「そのガキにも劣るその頭のお前はどうなんだ?そっちこそガタガタうっせえんだよ」
「死にたいらしいな。それじゃ、お望み通りぶっ殺してやる!」
そうだ、挑発に乗れ。俺に集中しろ。
「くらえ!」
ズガアアアアアン
爆発音が響いた。
しかし、俺は無傷で立っている。
「なるほどな」
「ッ!?」
「お前の能力は大気中の水素や酸素、二酸化炭素を集め、それを化合させることで爆発物を作り出す能力だな。
それを落下させて引火させていた。違うか?」
「くっ!」
やっぱりな。
「ったく、そんな能力で暴れんじゃねぇよ。
俺らも忙しいんだっての」
「だ、黙れ!お前一人、簡単に殺せるんだ!
見下してんじゃねぇ!」
一人?なに言ってんだ、コイツ。
「人の話はちゃんと聞けよ。
俺はさっき、俺『ら』っつったんだぜ?」
「ま、まさか!」
暴漢が後ろを振り返る。そこには、
拳を振りかぶった3人の仲間がいた。
「「「せーの!」」」
バキィッ
暴漢の顔が哀れなほどに歪んでいた。
それもそのはず、3人の仲間から、本気のパンチを
一気にくらったのだ。
顎はもう折れてんな。
鼻も折れてる。
まあ、いいか。
カチャリと、手錠をかける。
「よーし、警察につきだそうぜー」
「思ったとおり簡単だったね~」
「警察に届けたら何する?」
「ゲーセンが近くにあったと思う」
「よーし、ゲーセンに決定な」
その後、ゲーセンで上司に見つかり、暴漢の骨を折った件でこっぴどく怒られたのはまた、別の話。