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散文集

愚者

作者:

自転車ちゃりちゃり転がして、向こうの海まで行きましょう。

たとえ何が横たわろうとも、ぼくの道行きは止まらない。


自転車ちゃりちゃり向こうの海へ、果てない草原転がして。

穴ぼこ開いてもその先へ。雨でも風でも負けたりしない。


自転車ちゃりちゃり向こうの海へ、峻厳な山脈を越えていく。

谷底めがけてまっ逆さま、な嫌な未来は見なかったことに。


自転車ちゃりちゃり向こうの海へ。お山は、高くて、大変だ、けど。

負けない、負けない、向こうの、海へ。自転車、ちゃりちゃり、転がして。


自転車ちゃりちゃり向こうの海へ、見えても見えてもまだ遠い。

木の根石ころ泥の道。雨にも風にも負けそうだけど。



自転車ちゃりちゃり向こうの海で、錆びて壊れて帰れない。

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