ストーリー設計:①盛り上げるために起伏を作る
ストーリーは、作品の肝です。有名作品の感想欄を見れば、大抵はストーリーのここがよかった、面白かった、というものばかり。ストーリーこそが作品の評価を左右する、と言っても過言ではないでしょう。
■ ストーリーの起伏とは
主人公が冒険に出て、なんやかんやあって、ラスボスを倒す……と言ったような、大まかなストーリーがあったとして、ストーリー設計で考えるのは、この「なんやかんや」の部分です。
1話で主人公が出てきて、2~49話でひたすらレベル上げをして、50話でラスボスを倒す。そんな話を読みたいとは誰も思わないでしょう。
読者を楽しませるためには、ストーリーに起伏を作る必要があります。起伏とは、
・盛り上がる話 (ゴール)
・ゴールに向かう過程の話(助走)
・なぜゴールに向かいたいのかを説明する話(理由付け)
この三つを散りばめて作ります。たとえば、
1.主人公の村がラスボスに襲われる(理由付け)
2.主人公が仲間を集める(助走)
3.ラスボスを倒す (ゴール)
こういったストーリー構成です。ですが、これだけだと単純すぎてすぐ終わってしまうので、起伏を何個か作ります。
1.主人公の村がラスボス軍の下っ端に襲われる
2.近くの街に行って、街の用心棒と協力関係を結ぶ
3.近くの洞窟に潜伏する下っ端を倒す
4.下っ端から真の黒幕は幹部だと教えられる
5.幹部が潜伏していると噂の街で、貴族令嬢と協力関係を結ぶ
6.令嬢と協力して幹部を倒す
7.幹部から真の黒幕はラスボスだと教えられる
8.王国から派遣された勇者と協力関係を結ぶ
9.ラスボスを倒す
だいぶ長い話になりました。
■ ワンパターンにしない話づくり
しかし、これではまだ、全然面白そうではありません。理由はいくつかありますが、大きいのは「展開に変化がない」ことです。
敵が出てくる → 仲間を増やす → 敵を倒す → もっと強い敵が出てくる、の繰り返しです。これでは読者が飽きてしまいます。
下っ端に囚われていたヒロインを救出したり、敵に一度は負けて修行パートに入ったり、幹部が味方に寝返る展開だったり、ワンパターンにしない工夫を盛り込んでいきます。
■ 読者を飽きさせない助走パート
そして、とくに重点的に考える必要があるのは助走パートです。
先の面白展開を予想させる理由付けパートや、盛り上げ部分を担うゴールパートは、意識せずとも読者を引きつける要素をある程度備えています。
半面、助走パートはどうしたって地味な展開になりがちです。そこで読み続ける理由を用意できないと、読者は徐々に離れていきます。
・新要素(キャラ、設定)を入れる
・サブストーリーを用意する
というのは、いろいろな作品でよく目にする手法です。
サブストーリーと言っているのは、メインストーリー以外の話全般を指します。主人公以外のキャラだってそれぞれの目的があって行動しているわけですから、それぞれに物語があって当然です。
主人公とヒロインの恋愛要素などが一例です。主人公とヒロインが喧嘩して、それが後の戦闘に微妙に影響を与える……といったように、メインストーリーと相乗効果で盛り上がっていく構成にできるとベストです。
■ これらを踏まえての最終系
もう一度ストーリー構成を考えてみます。
1.主人公の村がラスボス軍の下っ端に襲われる
2.近くの街に行って、街の用心棒と協力関係を結ぶ
3.近くの洞窟に潜伏する下っ端を倒す
4.下っ端から真の黒幕は幹部だと教えられる
5.下っ端に囚われていたヒロインを救出し、ともに旅をすることになる
6.貴族令嬢と、どちらが先に幹部を倒せるか勝負することになる
7.令嬢がピンチに陥り、主人公が救出し、そのまま幹部を倒す
8.令嬢は主人公に惚れ、ヒロインが嫉妬する
9.幹部が主人公サイドに寝返り、ともにラスボスを倒しに行く
10.ラスボスにあっけなく敗れ、幹部は殺されてしまう
11.ヒロインと些細なことで喧嘩し、主人公は一人で伝説の勇者に弟子入りする
12.ラスボスとの再戦で、ピンチに陥った主人公をヒロインが庇って重傷を負う
13.怒りで真の力を発揮した主人公がラスボスを倒す
14.富と栄誉を得た主人公だったが、すべてを捨ててヒロインと暮らすことを選ぶ
こうなりました。
どこかで見たような展開の詰め合わせですが、盛り上げどころがちゃんとあって、ワンパターンでない展開も用意されていて、ストーリーとして最低限成立はしている、と言えるのではないでしょうか。
【今回のまとめ】
・話を盛り上げるために起伏を作る
・起伏は複数用意し、変化をつける
・とくに助走パートには力を入れて、読者が読み続ける理由を用意する




