設定:③設定は優先度をつけて小出しにする
作品を作り込んでいく過程で、細かい設定というものが大量に出てきます。舞台やテーマ、大筋のストーリーが決まっているとして、
・キャラ名
・国名
・魔法
・作品独自の架空技術
などの、作品を彩る要素は多岐にわたります。
■ 読者が無理なく理解できる設定にする
読者体験を向上させるために重要になってくるのが、「設定をどこまで複雑にするか」です。
設定が複雑であればあるほど、その設定を理解するために読者にかかる負担は大きくなります。冒頭のシーンで初見の単語が大量に出てきてついていけない、というのは読者が離脱する大きな理由の一つです。
とはいえ、作者としては他の作品と比較して個性を出したいし、面白い作品にしようと試行錯誤していくうちに、設定は複雑になりがちです。
では、どちらを優先するべきか。これは間違いなく、「読者を優先するべき」です。
■ 設定を詰め込み過ぎた悪い例
以下に、設定をわざとらしく詰め込みまくった、ファンタジーの冒頭を書いてみます。
◇
アランは専用の愛機・エラルド2号に乗って、フォルン王国の空を飛んでいた。時速およそ200コル、猛スピードで進んでいくが、王都・アドミラまではまだ半日以上かかる。そのとき、目の前のモニターが赤く点滅した。
「チッ、マナ切れか……」
アランは軽く舌打ちすると、無線を手に取る。
「ミーナ、一旦、地上に降りる」
『了解』
後でテッドに文句を言わなくては。そう思いながらアランは着陸態勢に入った。
◇
意図的に分かりづらく書いているとはいえ、これはひどいです。
たったこれだけの短い文の中に、
・アラン
・エラルド2号
・フォルン王国
・コル
・アドミラ
・マナ
・ミーナ
・テッド
この量の新規固有名詞が、説明もなしに詰め込まれています。
「後からちゃんと説明するし、このくらい読者は理解できるだろう」というのは、良くない考え方です。
作者としては、読者には「話を理解してもらいたい」のではなく、「話を楽しんでもらいたい」のです。そのためには、読者が話を覚えることにリソースを割かなくていいように、分かりやすい話を提供することが求められます。
とはいえ、数ある設定を丁寧に説明すればいいわけでもありません。設定の量が多いと、最初の数話はほとんど設定説明に終始することになります。読者が読みたいのは物語であり、設定資料集ではありません。
■ 設定多すぎ問題への対策
解決策として考えられるのは、「設定を分類して優先度をつける」というやり方です。
重要な設定はしっかり文字数を使って描写を行い、どうでもいい設定はサラッと流す程度にします。先の例で言えば、
・登場人物は重要なため、最優先で説明する
・国の構成や地名の説明など、次話に回せるものは次話に回す
・無駄な設定は削る
というやり方です。
■ 設定は小出しにする
Web小説であれば、一話は大体2000~3000文字くらいが平均でしょう。その中で新設定を出して、その説明をして、さらにストーリーもちゃんと進めるとなると、一話に入れられる新しい設定の数は自ずと絞られてきます。
一話の中で同時に登場させる新キャラ・新設定は、せいぜい2、3個程度にとどめておくのが無難です。
■ 悪い例を修正してみる
先ほどの悪い例を、方針に沿って修正してみます。
◇
ジェット機が青空を切り裂くように飛んでいく。猛スピードで進む機体を操縦するのは、王国航空隊のパイロット、アランだ。そのとき、アランの目の前のモニターが赤く点滅した。
「チッ、燃料切れか……」
アランは軽く舌打ちすると、無線を手に取る。無線の向こうにいるのは、専属整備士のミーナだ。
「ミーナ、一旦、地上に降りる」
『了解』
無線を切り、アランは着陸態勢に入った。
◇
固有名詞を削って軽い人物説明を入れただけですが、前の例よりは読みやすくなったのではないでしょうか。
【今回のまとめ】
・新しい設定を出すときは必ず説明を入れる
・重要な設定とそうでない設定を分類する
・一話の中で出す新設定は数を絞る




