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設定:③設定は優先度をつけて小出しにする

 作品を作り込んでいく過程で、細かい設定というものが大量に出てきます。舞台やテーマ、大筋のストーリーが決まっているとして、


・キャラ名

・国名

・魔法

・作品独自の架空技術


 などの、作品を彩る要素は多岐にわたります。


■ 読者が無理なく理解できる設定にする

 読者体験を向上させるために重要になってくるのが、「設定をどこまで複雑にするか」です。


 設定が複雑であればあるほど、その設定を理解するために読者にかかる負担は大きくなります。冒頭のシーンで初見の単語が大量に出てきてついていけない、というのは読者が離脱する大きな理由の一つです。


 とはいえ、作者としては他の作品と比較して個性を出したいし、面白い作品にしようと試行錯誤していくうちに、設定は複雑になりがちです。


 では、どちらを優先するべきか。これは間違いなく、「読者を優先するべき」です。


■ 設定を詰め込み過ぎた悪い例

 以下に、設定をわざとらしく詰め込みまくった、ファンタジーの冒頭を書いてみます。



 アランは専用の愛機・エラルド2号に乗って、フォルン王国の空を飛んでいた。時速およそ200コル、猛スピードで進んでいくが、王都・アドミラまではまだ半日以上かかる。そのとき、目の前のモニターが赤く点滅した。

「チッ、マナ切れか……」

 アランは軽く舌打ちすると、無線を手に取る。

「ミーナ、一旦、地上に降りる」

『了解』

 後でテッドに文句を言わなくては。そう思いながらアランは着陸態勢に入った。



 意図的に分かりづらく書いているとはいえ、これはひどいです。


 たったこれだけの短い文の中に、


・アラン

・エラルド2号

・フォルン王国

・コル

・アドミラ

・マナ

・ミーナ

・テッド


 この量の新規固有名詞が、説明もなしに詰め込まれています。


 「後からちゃんと説明するし、このくらい読者は理解できるだろう」というのは、良くない考え方です。


 作者としては、読者には「話を理解してもらいたい」のではなく、「話を楽しんでもらいたい」のです。そのためには、読者が話を覚えることにリソースを割かなくていいように、分かりやすい話を提供することが求められます。


 とはいえ、数ある設定を丁寧に説明すればいいわけでもありません。設定の量が多いと、最初の数話はほとんど設定説明に終始することになります。読者が読みたいのは物語であり、設定資料集ではありません。


■ 設定多すぎ問題への対策

 解決策として考えられるのは、「設定を分類して優先度をつける」というやり方です。


 重要な設定はしっかり文字数を使って描写を行い、どうでもいい設定はサラッと流す程度にします。先の例で言えば、


・登場人物は重要なため、最優先で説明する

・国の構成や地名の説明など、次話に回せるものは次話に回す

・無駄な設定は削る


 というやり方です。


■ 設定は小出しにする

 Web小説であれば、一話は大体2000~3000文字くらいが平均でしょう。その中で新設定を出して、その説明をして、さらにストーリーもちゃんと進めるとなると、一話に入れられる新しい設定の数は自ずと絞られてきます。


 一話の中で同時に登場させる新キャラ・新設定は、せいぜい2、3個程度にとどめておくのが無難です。


■ 悪い例を修正してみる

 先ほどの悪い例を、方針に沿って修正してみます。



 ジェット機が青空を切り裂くように飛んでいく。猛スピードで進む機体を操縦するのは、王国航空隊のパイロット、アランだ。そのとき、アランの目の前のモニターが赤く点滅した。

「チッ、燃料切れか……」

 アランは軽く舌打ちすると、無線を手に取る。無線の向こうにいるのは、専属整備士のミーナだ。

「ミーナ、一旦、地上に降りる」

『了解』

 無線を切り、アランは着陸態勢に入った。



 固有名詞を削って軽い人物説明を入れただけですが、前の例よりは読みやすくなったのではないでしょうか。


【今回のまとめ】

・新しい設定を出すときは必ず説明を入れる

・重要な設定とそうでない設定を分類する

・一話の中で出す新設定は数を絞る


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― 新着の感想 ―
確かにものすごく読み読みやすくなってますね
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