設定:①文章化を考慮した設定にする
小説の原案となる、いいアイディアを思いつく方法はあるか?
この問いの答えは、今のところ見つかっていません。もしそんな方法があるなら、私の方が教えてもらいたいくらいです。手順に従えば名案がいくらでも生み出せる夢のような方法、そんなものは存在しないだろう、と考えるのが普通です。
ですので、ここではアイディアの種は既にあるものとして、文章化しやすい設定とそうでない設定、というものを考えてみます。
映像にしたときに映える描写、文章にしたときに映える描写というのは、それぞれ確実に存在します。これは作者の描写技術はあまり関係がなく、テーマ選びの問題です。
■ 文章化しやすい描写
文章化しやすい描写の代表としては、
・キャラ同士の掛け合い
・心理描写
などが該当します。
台詞やキャラの思考というのはもともとが文章ですから、それをそのまま文章に起こすのは比較的容易です。逆に、これらを映像化しようとすると、「キャラの台詞が説明的すぎる」といった批判を受ける可能性があります。
■ 文章化しづらい描写
一方、文章化が難しい描写の代表としては、
・スポーツの試合
・バトルシーン
などが該当します。
スポーツは競技にもよりますが、サッカーなどは地獄です。フィールド上に選手が22人、それにボールが加わって、目を向けるべき場所が多すぎます。シンプルに動きの迫力で表現するようなシーンは、はっきり映像化向きです。
■ 舞台設定と文章化
舞台設定もそうです。
舞台が現代日本であれば、日本人の読者にはすんなり受け入れてもらえます。半面、外国や架空のファンタジー世界、近未来の世界など、現代日本から離せば離すほど、文章化が大変になります。
なにしろ、読者はもちろん作者自身も見たことのない世界です。書くのも大変ですし、それを読み解くのも一苦労です。
■ 文章化しづらい「未知」
一方で、文章化を重視しすぎることにはデメリットもあります。それは、設定に含まれる「未知」の総量が減少することです。
現代日本を舞台にした恋愛小説などは、舞台が普通なだけに個性を出しづらく、ありきたりな設定にならないための工夫が必要です。一方、異世界を舞台にすれば簡単に「未知」を作れます。「未知」は分かりやすく読者のワクワクを誘えるので、適度にあったほうがストーリー設計が楽になります。
■ 執筆コストと読解コストは比例する
では、結局何を選べばいいのか。
結局は、「自分が書きたいものを書く」というのが一番です。ですが、その上であえて一つ付け加えるなら、「作者が書くのに苦労する描写は、読者も読み解くのに苦労する」ということです。
苦労して書き上げた作品の世界観が伝わらないというのは悲しいことです。自分の描写技術と相談して、文章に向かない設定の導入を見送る勇気も必要になってきます。
【今回のまとめ】
・設定を考えるときは、文章化することを念頭に置く
・文章に向かない設定は無理に入れない(描写技術に自信があるならその限りではない)




