作品説明:②あらすじはタイトルの期待感を引き継ぐ
作品にはあらすじをつけることができます。タイトルと同様に読者の目に最初に入る要素であり、読者を引きつけるために工夫しがいのある部分です。
■ 前提:あらすじは読者全員が見るわけではない
これは、タイトルとは異なる重要な点です。
タイトルは確実に見ると断言できますが、あらすじは必ず読んでもらえるとは限りません。タイトルでよさそうだと思ったら、いきなり第一話に飛んで、そこで読み続けるかどうかを決める読者もいるはずです。
そのため、あらすじの中に「読んでおかないと話が分からなくなる重要情報を入れる」というのは問題があります。
あらすじは読者のために気合を入れて書く半面、読まない読者がいることも念頭に置く必要があります。
■ あらすじの役割
あらすじに求められるのは、「タイトルを見て読者が抱いた期待に応えること」です。
タイトルを見てあらすじへと進んだ時点で、読者は少なからず作品に興味を持っています。「面白そう」までは行かなくても、「気になる」くらいには思ってもらえているはずです。
であれば、あらすじではそんな読者に追加の情報を提供して、「読んでみたい」という気持ちになってもらう必要があります。
書く内容としては、以下のようなものが考えられます。
・タイトルで説明しきれなかった情報
作品の世界観、舞台、主要登場人物など基本となる情報の説明です。
・物語の主目的
倒すべき敵や解くべき謎など、主人公たちが作中に目指すものを提示します。
・作品の空気感
シリアスなのか、ほのぼのなのか、ギャグタッチなのか、物語全体のトーンを提示します。
これらは、書けば書くほど、
・そういう話が好きな読者を引きこんでいく
と同時に、
・そういう話が好きでない読者が離れていく
という要因にもなります。個人によって合う合わないはありますから、ある程度は仕方のないことです。
■ あらすじにどういう狙いを持たせるか
もしタイトルで引き込んだ読者をそのまま第一話に流したいなら、「タイトルで紹介した内容を詳細化する」ことを重視すべきです。たとえば追放ものであれば、
・追放される主人公の基本情報
・主人公がどういう形で報われるのか
・追放した人たちがどうなってしまうのか
という、既に読者がある程度想定している内容を、かみ砕いて説明していくことに終始します。読者のイメージとのギャップが少ないため離脱が少なく、興味だけを高められます。読者数を増やし、評価者の数で勝負する構造です。
一方で、読者の興味を高めることを目指すなら、「物語の方向性を示す」ことを重視すべきです。追放ものであれば、
・作品全体で伝えたいテーマ
・テンプレ追放ものとは違う独自の展開
といった、作品の個性を押し出す形になります。好みが合わずに離脱する読者は出るかもしれませんが、好みが合った場合の印象は非常に良くなります。読者数自体は少ないが、一人ひとりの評価は高くなりやすい構造です。
どちらの方向性を選ぶかは、その作品をどう見せたいかという、作者の匙加減一つです。大事なのは狙いに沿った内容を書くことで、意図しない読者の離脱を防ぐことができます。
【今回のまとめ】
・あらすじは、タイトルを見て読者が抱いた期待に応えるためのものである
・あらすじは必ず読んでもらえるとは限らない
・あらすじで引き込まれる読者、離れる読者がいるため、目的に沿ったあらすじの内容を考える




