文章力:④文章化しやすいようにシーン設計を見直す
執筆中に、頭にあるイメージをどう書いたらいいか分からなくなり、手が止まることがあります。最初のうちは、それを文章化する技術が足りていないのだと思っていました。
・表現、語彙の引き出しの数
・景色や動きの表現技法
こういったものが足りないからだと思っていたのです。もちろんそれも一つの原因ではあるのでしょうが、それ以外のより根本的な問題に思い当たりました。
■ 頭の中の映像をそのまま文章にすることが小説ではない
私はシーンの設計をするときに、頭の中で映像化してキャラを動かしています。それをそのまま、文章に落とし込もうとする、そのやり方が問題でした。
例を挙げます。悪い例を余所様の作品から持ってくるのは気が引けるので、自作品の『言語化苦手な俺だけがこの世の理を知っている』の一節です。
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純白の光弾が放射状に広がっていく。
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バトルシーンにて、主人公が敵に向かって光魔法を発動するシーンです。私の脳内のイメージは、以下の画像のような光景です。
「放射状に広がる」という部分は、いろいろ頭を悩ませてようやく見つけた表現で、当時は良い表現が見つかってよかった、と思っていました。
ですが、私自身がいろいろ悩んでようやく見つけたこの表現から、読者が画像の光景を想起できたかというと、怪しいと言わざるを得ません。
それに、よくよく考えてみれば、その時たまたま脳内のイメージがそうだっただけで、光魔法の表現がこの形でなければいけない必然性は、実はありませんでした。
ですので、
こうだったり、
これでも話は成立します。この部分の肝は「主人公が一見強力に見える魔法を派手に放つ」ことなので、細かい描写にこだわる必要がなかったのです。
そう考えればここの描写に頭を悩ませる必要は実はなく、もっとシンプルに、
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純白に輝く、無数の光弾を放つ。
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これくらいの表現で、私の言いたかったことは十分に伝わるのです。
■ 設計の不備を疑え
文章力は文章力、設計は設計、分けて考えるのは簡単です。しかし、すべては一つの物語の中の話ですから、すべての要素はつながっていて、関連させて考えなければいけない、そういう当たり前の気づきを得ました。
良い表現が思いつかずに手が止まるようであれば、そもそものストーリー設計、シーン設計に不備がある可能性があります。
「ここで本当に伝えたいことは何か?」、「この表現はこの場面で本当に必要か?」といった、シーン本来の目的に立ち返って考える方が建設的な進め方です。
【今回のまとめ】
・いい表現が思いつかない場合、文章力でなく設計に問題がある可能性がある
・頭の中を文章に書き起こすのではなく、伝えたいことをシンプルに書く
・それでも手が止まるようなら、設計を見直すことも視野に入れる




