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文章力:③話者を明確にする

 Web小説で読みづらいと感じる作品の多くで、セリフの話者が分かりにくいという問題があります。


 セリフの話者が地の文で明示されていなかったり、多数のキャラが同時に登場したり、キャラ説明もろくにしていない状況で次々にセリフが出てきたり、といったことが原因です。


 その対策として、以下のような手法が紹介されているのを見かけました。


・セリフ内に呼びかけるキャラ名を入れる

 その場に太郎と健太の二人がいて、「おい、太郎」というセリフがあったなら、それは当然、健太のセリフということになります。


・口調に特徴をつける

 「なのじゃ」、「ざます」のような特徴的な語尾や口癖を付けることでキャラとセリフを紐づける方法です。


 これらは確かに有効な手法ですが、一番単純な手法は、誰がそのセリフを言ったのかを地の文で明示することです。


■ 話者を示す地の文のパターン


 当たり前の話ですが、話者を地の文に書いてしまえば、この上なく明確になります。


--------------- 例 ---------------


 太郎は言った。

「おはよう!」


----------------------------------


 まずは、セリフの前に地の文を入れるパターンです。


 この場合、セリフの直前に話者が明らかになるので、「太郎が話している」絵を読者が思い浮かべやすくなります。また、セリフの直後にまた別のセリフを続けて入れることができるというメリットもあります。


--------------- 例 ---------------


「おはよう!」

 太郎は言った。


----------------------------------


 次に、セリフの後に地の文を入れるパターンです。


 こちらはセリフの後に過去形の「言った」が来るので、時系列で考えると本来的にはこれが正しい順番と言えます。ただし、台詞の直後に地の文を挟むことで、会話が途中で途切れることは考慮しておく必要があります。


--------------- 例 ---------------


 太郎は健太の背中を力強くたたいた。

「おはよう!」


----------------------------------


 最後に、「言った」という直接表現の代わりに、キャラの動作を置くパターンです。


 セリフの前に太郎の動作を入れているので、読者が太郎に注目している状態になります。その後にセリフが続けば、自然と「太郎が言った」ことが伝わります。


 セリフのたびに「言った」を繰り返すのは文章の見栄えが悪く、「尋ねた」や「声をかけた」など言い換えにも限度があるので、こういった手法はわりとポピュラーです。


■ 話者を明確にしないでいいケース

 基本的に、話者を明確にしなくていいケースはありません。どんな場面であっても、話者がはっきりするに越したことはないです。


 とはいえ、シーンのテンポを速めたいなどの理由で話者を省略して進めたい場面が出てくるかもしれません。そういう表現を選択する場合の前提条件となるのが、「キャラのイメージが読者と共有できていること」です。


 作品の序盤やキャラの登場直後は、キャラの特徴が読者の頭に入っていないので、キャラとセリフがなかなか結び付きません。


 ですが、物語が進むにつれてキャラクター像が明確になり、「このキャラならこういうことを言いそう」というイメージが共有できてきます。その段階まで行けば、誰がどのセリフを言っているのか、読者もすんなりと理解できる可能性が高くなります。


【今回のまとめ】

・原則、セリフの話者は地の文で明記する

・キャラが定着した話の終盤に限り、話者を省略するということも許容される


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