文章力:①文章力を上げるべき理由
文章力は小説において基本となる概念です。小説は文章で構成されているわけですから、当然と言えば当然です。
しかし、世にある創作論でここに強くフォーカスしているものは多くない印象です。
■ 読むのをやめる理由になる文章力
このエッセイでたびたび論じてきた「小説を読み続ける理由」というのは、もっと続きが読みたいという、ポジティブなものです。
ですが、今までの読書人生を思い返してみると「小説を途中で読むのをやめてしまった理由」、いわばネガティブな理由は、その多くが文章力に起因しています。
・誤字、脱字、衍字が多い
・言葉の誤用がある
・文法ミスにより文が成立していない
・難しい言葉で意味が取れない
・小説の記法(字下げ等)に従っていない
・地の文の視点が統一されていない
・作品独自の用語が説明されていない
・台詞の話者が分かりづらい
・情景描写が極端に多い、少ない
思いつく限りでこれだけあります。こうした要素が作品内にあると、そこで突っかかってしまい、手が止まります。その時点で作品の世界から現実に引き戻されてしまいます。
文章力が低いというのは、間違いなく減点要素になります。
■ 優れていても評価されない文章力
飛び抜けて優れた文章力を持つ作家の方が、その豊かな表現力を高く評価されることはあります。しかし、ごく普通のアマチュア作家のレベルにおいて、文章力が評価されることはほぼありません。
評価対象は基本ストーリーですし、なんなら多少文章に粗があっても、それを補って余りあるストーリーの魅力があればカバーできてしまう可能性すらあります。
そして、文章というのは誰でもある程度は書けます。日本に住んでいて日本語を学んでいれば、まったく書けないということはないでしょう。
文章力を100点満点として、0点になることはほぼなく、それでいて50~80点でも大して評価されるわけではない。とすれば、文章力を上げるモチベーションが湧かなくても仕方ありません。
■ 文章力を上げることは読者への気遣いである
では、文章力を最低限の50点まで頑張って上げました、これでもう十分なので面白いストーリーを考えることに専念します。これでいいのでしょうか。
これは作者ごとの目指す場所にもよります。Web小説家として成功するには、そこまで文章力は必要にならないでしょう。ですが、私個人としてはそれではダメだと考えています。
50~80点がたとえ評価上は同じだとしても、文章としての完成度の高さ、内容の伝わりやすさ、絵の浮かびやすさは、点数の分だけ差が生まれます。そしてそれは、確実に読者の満足度に影響します。
そもそも、話の都合で点数の例を出しましたが、文章力というのは定量化できるものではありません。50点の文章を狙って書けるわけでもありません。であれば、「よりよい文章を書こう」と心がけることは、どんなときでも必要になってきます。
まだ見ぬ未来の読者のために、少しでも文章力を上げる努力を続けたいものです。
【今回のまとめ】
・文章力が低いと、読むのをやめる理由になる
・文章力を上げても、評価に結びつくとは限らない
・自分の目標と照らし合わせて、必要な分だけ文章力を上げる努力をする




