キャラクター設定:④魅力を伝えるためのシーン作り
キャラ設定を細かく決めると、作者の脳内でキャラが生き生きと動き出します。その時点では「なんて魅力的なキャラなんだろう!」と思うものですが、そんなキャラの魅力を読者に正しく伝えるというのは、存外難しいものです。
■ キャラの魅力をどう説明するか
文章で説明するのが一番単純ですが、それだけでは実感が湧きにくいものです。
たとえば、「太郎は友達が多い方だ。」という一文があったとして、実際に何人くらい友達がいて、どの程度仲が良いのかは伝わってきません。
では、実際にクラスメートと親しげに話すシーンを入れたらどうでしょうか。
仲の良いクラスメート数人と話す程度では、友達がいることは分かっても、多いかどうかは分かりません。かといって、太郎とクラスメート全員を順番に会話させるのは、現実の行動として不自然です。
この話の問題点は二つあります。
・「太郎は友達が多い」が何を伝えたいのかがはっきりしない
・一つのシーンで説明を済まそうとしている
ということです。
■ 伝えたいことを明確にする
まず、「太郎は友達が多い」は全然具体的ではありません。
友達が多いからと言って、それがその後のストーリーにどう絡んでくるのか想像できません。本当に伝えたいことは、太郎の行動原理です。
・「初対面でもすぐ仲良くなれる」であれば、塾でたまたま隣に座った人と仲良くなるシーン
・「友達を大事にする」であれば、久々に連絡してきた昔の友達の頼みを快く受け入れるシーン
などの具体化が考えられます。
先の展開によっては、もっと細かくする必要があるかもしれません。
・無口な相手とも仲良くなれる
・幼い子供に好かれる
・大親友の健太をとりわけ大事にする
など、状況を絞れば絞るほど、それを伝えるためのシーン設定がより具体的になり、読者に対するメッセージ性も強まります。
■ 複数のシーンで繰り返し描写する
説明のためのシーンを一つ追加したとして、それで十分伝えきったと考えるのは早計です。
一回だけでは、読者の中では「そういう出来事があったんだなあ」という感想しか残らない可能性があります。
人間性を示すエピソードは複数重ねることで、読者はそこに行動原理を見出すことができます。
・成績の悪い友達のために勉強会を開く
・不良に絡まれた友達を助けるため、危険を顧みずに立ち向かう
などのシーンを重ねていきます。そういったシーンや説明が事前にあってこそ、本題――たとえば、
・友達から恋愛相談を受けて、告白成功のために裏であれこれ手回しをする
みたいなストーリーにつなげるときに、読者も「あの太郎なら喜んで協力するよな」という納得感のもと、読み進めていけます。
【今回のまとめ】
・キャラの魅力は思った以上に読者に伝わらない
・伝えたいことを明確にし、複数のシーンで繰り返し伝える努力をする
・行動原理を伝えることで、ストーリー上でのキャラの行動に納得感を持たせる




