ストーリー設計:⑦意外な展開は数で勝負する
ストーリーを作る上で、意外な展開は外せません。
王道展開が悪いわけではありませんが、全部が全部、展開が予想できてしまうと読んでいて退屈です。読者を驚かせる仕掛けはどこかで必要になってきます。
そんな意外な展開を、狙って作ることは可能かどうかを考えてみます。
■ 読者は「予想」しているのではなく「期待」している
本来物語というのは作者の中にしかないものですから、読者が先の展開を予想するのは、どんな話であっても、案外難しいものです。少なくとも、奇をてらったトンデモ展開が求められているわけではない、というのは間違いないです。
また、作品に対して読者の誰もが同じ反応をするとは限りません。「意外な展開で驚いた」という読者もいれば、「簡単に先が予想できてしまった」という読者だって出てきます。
そんな中で読者が共通して持っているであろう感情は、「面白い展開への期待」です。そこに対して、とにかく意外な展開で驚かせてやろう、という考えは、そもそものニーズからズレています。
■ 読者が楽しめる展開を作る
・マンネリ化したテンプレ展開
・あからさますぎる伏線
これらは読者が意識しなくても簡単に先が予想できてしまうので、こういう展開はさすがに避けます。また、
・支離滅裂な展開
など、絶対に予想できないが納得感の欠片もない、という展開も、読者がついてこられません。
「この先面白い展開になりそう」という予感くらいは感じてもらわないと、読み続けてもらえません。そのため、
・驚きポイントを一個でなく複数用意する
・キャラクターに個性を持たせ、魅力を演出する
といった形で、「読者を意外に思わせよう」というよりは、「読者が楽しめるポイントを増やそう」という方向性で考えてみます。
■ 予想しづらい展開の構造
たとえば、
・登場キャラはA、B、C、Dの四人
・この中に裏切者がいる
このような話だとします。このとき、
1.Aが裏切者である
という、正解が一つのシンプルな構成にすると、読者によって刺さる、刺さらないが分かれます。では、
2.Aが裏切者であり、のちにBも裏切者であることが判明する
3.Cは敵から誘いを受けたが、性格に似合わぬ義理堅さを見せて断った
4.Dは裏切者ではないが、すべての真実を知っていた
5.Aは裏切るが、その裏切る理由が斜め上
という要素を追加するとどうでしょうか。
こうして五個の驚きポイントを用意すると、数が増える分だけ一個一個のインパクトは減ります。ですが、
・Bっぽい → Aだったのか → やっぱりB、という驚きポイントを増殖できる構造
・Cの意外な一面が垣間見えて、読者人気が上がる可能性
・Dはすべてを知っているからこそ、匂わせ行動で場をかき乱せる
・Aの裏切りという分かりやすい正解をチラつかせ、Aの裏切り理由から目を逸らさせる二段構え
といった形で、一部は見抜かれても全体は見抜かせない、意外な展開を作り出せるのではないでしょうか。
重要なのは、意外なアイディアを考える才能に頼らず、読者が真相を見抜きづらい構造を用意できるということです。
【今回のまとめ】
・目的は意外性を作ること自体ではなく、あくまで読者を楽しませることである
・意外性は強いアイディアではなく、数で勝負する
・一部は見抜かせても全体は見抜かせない構造を作り、どこかしらで読者を引っ掛ければよい




