選んだ世界
世界を選ぶ。
そう言うと、とてつもなくすごいことをしているように思える。
でも実際のところは、そんなことはない。
ただ単純にあの人同じように、僕はコンビニにいけばいいだけだ。
コンビニに行って、カフェラテを買って、変な先輩に絡めばいいだけ。
それだけで、世界は変わるのだ。
先輩はまだ来ていなかった。
カフェラテを手に取る。
う〜ん。名残惜しいな。
世界を選べ。
彼女を殺すか、自分だけ死ぬか、はたまた、二人で死ぬか。
先輩、ごめんね。
お菓子売り場にしゃがみ込む、大好きな人を見つけた。
俺は、先輩と一緒がいい。
先輩は俺に気づくと、ぶつくさ言ってレジに行こうとした。
毎回そうだけど、ここなんて言ってるかわかんない。
「二宮、先輩。」
驚いたようにこちらを見る。
ごめんなさい。
「僕は、あなたと一緒にいたい。」
でも、あなたも僕と同じでしょう?
どっちがはじめたとかどうでもよくて。
僕もあなたも、一人が嫌だったんだ。
寂しがり屋同士、どうぞよろしく。
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花畑の真ん中のあの大きな建物はやはり神殿だった。
私はこの建物を知っている。
パルテノン神殿とはまたちょっと違うけど、
このなかに入れば、また、彼に会える。
迷うことなく、私は神殿の中へ入って行った。
「お久しぶりです、あるいははじめまして。ナナセ。」
あまりの眩しさに目を瞑っていたところに、知っているけれど、初めて聞くような不思議な声が聞こえた。
「私は創造神ウェヴス直属の天使、イオと申します。」
声のする方を見ると、そこにはただ真っ白な空間が広がっていた。
「イオさんはどんな姿?」
そうきくと、
「見るものによって姿はかわります。どう見えますか?」
と逆にききかえされた。
「見えないから聞いたんですけど。」
コミュ障にはこれくらいが限界だ。
「そうですか…。それはあなたが神以外を信じている証拠です。」
イオさんの声はなんだか嬉しそうだ。
「では、話しますね。この世界について。」
イオさんが言うには、この世界は昔、人々の選択によって無限に枝分かれしていた。
しかし、枝分かれしすぎた世界を保つことができなくなってしまった。
そこで創造神ウェヴスが作ったのがこの世界。
この世界は無限に枝分かれした世界を収束させるための世界で、収束のために必要なのが、私たちのような異世界人による選択。
無限にある世界のうちの一人が、この世界へやって来た時、その行動の最後は必ずここにたどり着く。
そのアルゴリズムを人間が解釈するまでにいくつも世界は滅んだらしい。
なんとおそろしい。
そして、今回の収束のために選ばれたのが、私と、ミヅキくん。
この世界はミヅキくんが選んだ世界らしい。
私と一緒にいたいと、そう願って、この世界の正しいあり方を選んだ。
「次は、あなたの番です。」
イオさんはそういった。
「あなたが定める世界のかたちも、必ず1つ。変わらぬ選択を期待しています。」
――――――――――――――――――――
キーンコーンカーンコーン。
夢を見ていた。
夢と言うより、記憶だろうか。
彼に導かれた、世界を旅した記憶。
私にすべきこと。
あの日、彼が私を選んだ日。私は死んだ。
今回、もし私が彼を選べば共に死ぬ。
私自身を選べば、彼だけが死ぬ。
世界を選ぶって、たいへんだなあ。
この世界の私は今日死ぬんだ。
そして、向こうの世界で、延々と旅を続ける。
同じ旅を、初めての旅を、何度も。
はぁ…、私たちが選ばれなければ、とまだ思う。
本当はまだ生きていたいし、まだやりたいこともたくさんある。
それはこっちの世界じゃないとできないこと。
でも、彼のいない世界に、私は生きていたいだろうか。
NOだ。
私は彼と一緒がいい。
そう思うと、私の体は勝手に前のめりになって走り出した。
初めて、一緒にいたいと思った。
初めて、遠慮なく話すことができた、
初めて、心を許せた。
君と、私は一緒にいたい。
コンビニへ駆け込む。
カフェラテを持った君の袖を掴む。
そりゃ、そんな顔するよね。
でもね、君だって私を選んだんだよ。
「私も、君と一緒にいたい。」
最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。
この作品で書きたかったことは人の弱さです。
寂しいから、一人は怖いから、一緒にいる道を選んだ彼らを通して、周りの人と共に生きるということを考えたくなったのです。
しかし、実力不足を書けば書くほど痛感しました。
これからも執筆は続けていこうと思っております。
もしよろしければ、今後の作品もどうぞ宜しくお願いします。




