表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女装の達人 ~姫騎士エリオットの㊙報告書~  作者: 卯月
妖精郷

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

201/282

青い炎の刺客

「なあベルティネ、もし良かったらみんなで僕たちの国に旅行しないかい?」


 エリオットはベルティネにそう提案してみた。


 この日、ベルティネの舎弟しゃていたちに多くのケガ人がでてしまったのだ。

 理由は二カ所でケンカ沙汰ざたが同時発生したことだった。

 一方はベルティネが活躍して圧勝。

 しかしもう一方は敗北してしまったのだ。


 戦いに百戦百勝なんてことはあり得ない。

 まして戦場が複数になれば戦力はどうしたって分散してしまう。

 ベルティネがいつでもどこでも参加するというわけにはいかないのだった。


「アタシらにケツまくって逃げろっていうのかよ」

「そうじゃないよ、旅行さ。ケンカばかりしている今のさとはちょっとおかしい。

 もっと楽しいことをして見聞けんぶんを広めたほうがいいと思うんだ」

「フンッ」


 建設的な良案のつもりで言ったのだが、ベルティネは不満そうにはなを鳴らしてどこかへ行ってしまった。 


「失敗か……」


 エリオットもうでを組んで鼻を鳴らす。

 目の前に複数のケガ人がいた。

 さいわい治らないレベルのケガはしていない、だが致命傷ちめいしょうを負う者もいつかは出てくるだろう。

 ベルティネは強い。

 だが彼女がひきいる他の者たちは寄せ集めのチンピラ集団で、その強さはまちまちだった。


「まるで野戦病院だ」


 傷の痛みにうめいているケガ人たちを、シャーロットやエレンシアたちが介抱かいほうしていた。

 軍人でもないのに軍人みたいなことをさせられている彼ら『緋炎』の氏族たち。

 このままだと彼らだけではなく氏族全体が大変なことになる。

 早いうちにこの内乱をしずめる手だてがあれば良いのだが。

 しかし、せめて目の前にいる人たちだけでもとベルティネに提案してみても、あっさり却下きゃっかされてしまう。


 社会に対して個人でできることなんてたかが知れている。

 分かってはいたものの無力感を抱かずにはいられない。


「イテテ……あねさんは優しいから……」


 舎弟の一人が話しかけてきた。


「自分がみんなを守ってやるんだって、そんなこと思ってるんだ、たぶん」

「みんなというと、氏族のみんなという意味かい?」

「ああ。姐さんならやれるんじゃねえかって、みんなそう思ってる」


 傷が痛むらしく、その男はそれっきりだまってしまう。


がいい人なのは分かるよ」


 あまりに若すぎるが、そばにささえてくれる存在がいれば大した問題にはならない。

 強い力とぐな心。得難えがたいそれを持っていることが重要だ。




 そんなこんなで時を過ごしていると、ふいに来客がおとずれた。


「フン、小娘は留守るすか?」


 超高温の青い炎を連想させる、うすい青髪の妖精。

 目のまわりに陰険いんけんそうなくまのある、危険な匂いのする男性だった。


「出直すとしよう。運が良かったな貴様ら」

「なんだぁテメエ? スカしてんじゃねえぞコラ」


 よせばいいのに舎弟の一人がからんでいった。


「テメエも姐さんをやって名前を売ろうってチンピラだなあ?」

「違う」


 青髪の男は舎弟のノドをつかみ上げると、青い炎で燃え上がらせた。


「ギャアアアア!!」

復讐ふくしゅうに来たんだよ。大事な大事な族長を半殺しにされた復讐にね」


 復讐を口にしながら、男は楽しそうな笑みを浮かべていた。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ