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女装の達人 ~姫騎士エリオットの㊙報告書~  作者: 卯月
妖精のお友達

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シャルの奇策

 難航なんこうするエレンシア奪還作戦。

 突破口となるアイデアをひらめいたのは、シャーロットであった。

 実に彼女らしい、人まかせでメチャクチャ金のかかるアイデアだ。


「ピカピカピッカーン!

 名案をひらめいちゃいましたよ~!!」


 シャーロットがこのセリフを叫んだのは、実家のハミルトン家でリリスカと午後の紅茶を楽しんでいる時だったそうな。


 で、帰宅したエリオットにこのアイデアを聞かせ。


「案外いけるかもしれない」


 という言葉を引き出した。


 翌日にシャーロットはエリオットに連れられて情報本部へ。

 情報部長ハワード侯爵に同様のアイデアを聞かせる。


「ふむ……意外と良いかもしれないね」


 とハワード侯も賛成の意をしめす。


「しかしこれはかなりの大事だ。陛下におうかがいを立てねばならないね」


 と国王陛下の名前まで出てきて、シャーロットがポンと閃いただけのアイデアはなんと国家の最上位の耳にまでお届けすることになった。

 いちおう極秘の作戦なので、エリオットとシャーロットが直接王宮に出向いて謁見えっけんたまわる。


 国王・ヴィクトル二世陛下はシャーロットのアイデアを聞き、ヒザをたたいて喜んだ。


「それは面白い! 公爵おじうえもきっと乗って来るにちがいないぞ!」


 伯爵家、侯爵、国王とトントン拍子びょうしに話は進み、シャーロットの思い付きは実行されることとなってしまった。

 彼女が策をひらめいた瞬間からまだ24時間もたっていない。

 ウソのような展開だった。





「フンフンフッフフーン♪」


 王宮からの帰り、馬車の中でシャーロットは上機嫌だ。

 エリオットはあまりの展開にぼう然としていた。

 異常なまでのスピード決定である。

 細心の注意を払い、用心に用心をかさねて公爵家へと通っていたエリオットはなんだかバカバカしくなってしまう。


「大した奴だよお前は」

「あれれ、お兄様がわたしをホメるなんてめずらしいですね!!」

「はたしてほめ言葉なのかなあ……」


 エリオット本人にも自分の気持ちが分からない。

 ただ顔は苦笑いしていた。

 まさか妹のこんな提案が本当に通ってしまうとは。


『仮面武闘会(・・・)を開きましょう!

 選手も観客も全員仮面をかぶって、国中のみんながどこに居るか分からなくしちゃうんです!

 そのドサクサにまぎれてエレンシアちゃんを助け出しちゃいましょうよ!』


 ……念入りに調査をして真剣に考え抜いたプランがまったく相手にされず、五秒くらいで適当に考えた一発ネタがなぜか採用されてしまうことが世の中にはある。

 そして採用されてしまってから自分でも細部が分からず頭を抱えてしまうのだ。


 例によってシャーロットに深い考えなどまるでなく、実行は人まかせである。

 具体的な形を作るのはエリオットたちの仕事だった。

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