CP、6 放課後てぃちゃー尊の個人指導?
個人的教育指導・・・ムフフ。
校庭に夕陽がさし、部活生も帰宅する頃、賑やかな喧騒に包まれていた学校が、少しずつ静けさが訪れる。
教室には3人の影が長く伸びる。
教卓に腰かけ、じっと2人を見つめる尊、壱与と黄河は黙って視線を机に落としている。
「で」
尊が言った。
「お父さん」
と、壱与。
「だな」
と、黄河。
「2年A組は全員で何名だ?」
尊は2人に問うた。
「26人」
2人は即答した。
「だな・・・今日はひとり多いな」
「うん」
「ああ」
「紛れ込んだか・・・」
尊が呟くと、3人は教室の端の27番目の席を見た。
薄暗い斜線でひかれているような、少女がゆっくりと不気味に笑った。
「うふふ、見つかっちゃった」
「なめなんなよ。アタイらを!」
黄河は椅子をひき、音をたてて立ちあがった。
「あなたの目的は何ですか」
壱与は、そっと胸元のしのばせている鏡を右手で握った。
「話してもらおうか」
尊は2人の前に立ち、黒少女と対峙する。
「いけないんだ。先生」
黒少女はおもむろに言った。
「?」
尊は訝し気に少女を見る。
「私みたいな、か弱い女の子にそんな目をむけるなんて」
「・・・そうか、すまない」
思わず、ぺこりと謝る尊。
「正直者なのね、先生」
「てめーっ!」
黄河がじりじりと少女に近づく。
「黄河」
尊は彼女をたしなめた。
「・・・だってよ」
黄河は呟く。
「君は何故、ここにいる」
「うふふ、内緒」
尊の問いかけに、少女は笑ってはぐらかす。
「うふふふふ」
黒少女の明らかに、増悪をはらんだ禍々しいオーラは、やがて教室さえ暗黒に包もうとしていた。
壱与は胸元から鏡を取り出すと、黒少女に鏡面を向ける。
「姿を見せよ。闇の者っ!」
一条の光が闇少女の身体を包み貫いた。
ではない。