第一章おひさ~山田尊とゆかいな仲間たちの物語再びだよん CP、1 すんばらしいあさがきた
すんばらしい朝がきた。
山田家の朝は騒々しい。
「お父さん!起きなさい!十六夜も!朝練遅れるわよ・・・あっ壱与おはよう炊飯器からジューシー(炊き込みご飯)みんなの分よそって」
花々の手は止まらない、みんなの弁当作りに夢中なのだ。
「ふあい」
母の声に娘の壱与は、あくびをしながら緩慢な動きで、食器棚からみんなの茶碗を取り出す。
「おはよう」
尊は腹をぼりぼりかきながら、
ぶひっ!
と、オナラを一発かます。
「やめてよー」
十六夜は鼻をつまみ、眉をひそめる。
「なに言ってる。無理と我慢は禁物だろ」
「親しき仲にも礼儀あり」
「いっちょ前に言うようになったな」
「ん?」
十六夜は両手を合わせ、朝食をはじめる。
尊は朝刊を開いた。
何も変わらない、いつもの朝、ぽよよんと花の胸が揺れる。
仁王立ちの母が睨みを利かす。
「ほら、みんな遅刻するわよ!」
尊が愛車ハイエースに乗り込むと、後ろのスライドドア開け、娘たちが乗り込んでくる。
「な、お前たち!歩けよ」
「遅刻しちゃうもん。ね~」
「うん」
十六夜と壱与は顔を見合わせて笑った。
「お願い。お父さん」
「しゃあねーな」
尊は苦笑いをすると車を走らせた。
希望の朝だー。