序~動き出した物語~
ようやくスピンオフ最終章はじめます。
今回は、双子のメイド、メイヤとライヤそして勇者アリス・・・それから~前作の主人公ゆかいな仲間たちも登場して、わちゃわちゃと楽しみたいです。
だいぶ前に書いたんですけど、筆が進まなくて・・・こうなったら投稿して尻を叩く~(笑)。
異世界ウエスト・サン・ガイアに平和が訪れ、この世界を救った英雄コォジィと14人の嫁たちは、それぞれ新たな道を歩みはじめた。
ジャパングに向かう巨大船に乗っているのは、メイヤ、ライヤそしてアリス。
アリスは舳先の先端に立ち、大海の先の近づく故郷に思いを馳せる。
やや離れた後方の甲板上で潮風に吹かれる姉妹は、
「これでよかったのでしょうか」
メイヤが姉に尋ねる。
「そうね・・・でも、お金を貯めていつか故郷に帰る・・・私たちの願いだったでしょう」
ライヤは海を眺め、瞬きもせずに言った。
「でも・・・」
メイヤには躊躇いがみえる。
「ちょうどいい時だったのよ」
ライヤは戸惑いを見透かしたかのように、そして自分に言い聞かせるように言った。
「・・・・・・」
「それにアリスちゃんもいるでしょ。あの娘は16歳、保護者同伴いるでしょ」
「アリスさんなら心配ないと思いますけど・・・」
適格なツッコミに、
「まあ、そうね、でも時が来たの。新しい未来がはじまる・・・はじめよう」
ライヤは前を見据え喋った。
「ライヤさん、メイヤさん!」
アリスが手を振る。
2人は舳先へと向かう。
「ほらっ」
少女の指さす先に、ジャパングの陸地が見えた。
港に錨をおろし寄港する船、3人はジャパングの大地を踏みしめる。
「ここが・・・沖縄?」
故郷の地に立ったはずのアリスが首を傾げる。
「どうしたの?」
訝しがるライヤ。
「・・・・・・」
不安気に少女を見るメイヤ。
「私の住んでいた場所じゃない」
少女は呟いた。
「そんなことないんじゃない・・・ねぇ」
と、ライヤはメイヤに同意を促す。
「・・・はい。ここはアリスさんが知らない場所かもしれないし、ちょっと歩いて探してみましょう」
姉の言葉に妹は続いた。
「うん」
アリスは小さく頷いた。
照りつける眩しい太陽、青い空、美しい海。・・・確かにここは沖縄である。
だけど、アリスは強烈な違和感を覚える。
その表情は曇り、黙ったまま歩いている。
メイヤはそっと彼女の左手を繋いだ。
「・・・なにか、おかしいの」
ぽつりアリスは言った。
「はい」
メイヤが頷く。
サトウキビ畑の道をしばらく歩く、行き交う人は誰もいない。
ふと、アリスは立ち止まった。
「ここに大きな道があって、学校があったの・・・」
「?」
ライヤは言葉を失う。
「・・・・・・」
メイヤは眉間に皴を寄せ表情を曇らせた。
「・・・ない・・・ここじゃない」
「アリスちゃん」
思わず姉妹は言った。
「ここ沖縄だけど沖縄じゃない!」
アリスの大きな声が、サトウキビ畑に吸い込まれた。
よろしくお願いします。