隣のずぼらなお姉さん
隣にはとあるお姉さんが住んでいる。大学生でひとり暮らしをしているお姉さん。可愛くて綺麗で優しいお姉さんにも弱点があった。それは家事が全くできないこと。料理から洗濯、掃除まで何もできないお姉さんとの出会いは驚きに満ちたものだった。
「だ、だいじょうぶですか!」
「うぅ・・・」
「いま救急車呼びますからね!」
「それは、いらない、かな」
「え?」
「おなかが空いたの・・・」
「え?」
「おなかが空いた・・・」
まるで見計らったように大きな腹の音が鳴り響いた。
「なるほど!すぐに家で作りますね!ちょっと来てください!」
僕たち、いやお姉さんとの出会いはそれが始まりだった。僕は今日もお姉さんの家の掃除をして夕ご飯を作って一緒にテレビを見ていた。両親が忙しくて一週間に数回しか会うことが出来なかった僕はこのちょっとずぼらなお姉さんとの暮らしを楽しんでいた。
「何見てるんですか?」
「動物特集見てるの。猫かわいいよね・・・」
「そうですねぇ」
お姉さんの方が可愛いですよなんて言うことが出来ればどれだけ良かったか。
「ウサギもかわいいですね」
「そうね、飼ってみたいのよね、ペット」
「本気ですか?」
「本気よ本気。もういい年だもの。ペットの一匹ぐらい養えるわよ」
「自分の世話もできていないのにですか?」
「・・・」
「・・・」
「ぐうの音もでません」
そうして今日もお姉さんとの夜は更けていく。