断罪された瑠璃色令嬢~とある異世界の死に戻り過剰ざまぁ対策?~
そのお姉さんは、恐ろしい悪女だったらしい。
何でもこの辺一帯を治める侯爵家の令息を誑かした挙げ句、令息の婚約者を毒殺しようとしていたとか。
令息の婚約者が毒を飲む直前に気づいて、その場でお姉さんを見事に『断罪』した結果、ここの炭鉱所に送られてきたらしい。
罪人も多く働くこの治安も環境も劣悪な炭鉱所で、炭鉱夫達への性的な奉仕を課せられたのだと。
一日でも長く、一人でも多くの炭鉱夫を慰められるようにと、ご丁寧に一人の治癒師まで付き添わせて。
「殺された方がよっぽどマシだったのに、相当恨まれてんだろうなぁ」
「無料で女抱けるのは良いなぁ」
「女も良いんだけど、食事と寝床の酷さも何とかしてくれねぇかな」
「バーカ、貴族様が俺達の衣食住の為に金なんか出すかよ。これだって気に入らない女を下賤な民に嬲らせて苦しめてやろうって魂胆だろ? 性根が腐ってる貴族様が考えそうな事だ」
「最初は炭鉱長だろ? 俺達に順番回ってくるまで持つかなぁ? 若いのに可哀想になぁ」
――そんな風に炭鉱夫達が笑って話していた日の夜。
わざわざお姉さんがいる部屋の前で男達がいっぱい集まって、お姉さんの叫び声を聞いて笑ったり興奮しているのを見て、人間って本当残酷だなぁと思った。
そうしてお姉さんが『初めてのお勤め』を果たした翌朝、治癒師のおばさんがお姉さんを治療して部屋を出てきた後、僕は汚れたシーツを整える為に部屋に入った。
その時、お姉さんと初めて会話した。
「どうしてこんな事に……私は彼を愛していたのに、愛してるって言ってくれたのに、どうして……」
「殺そうとしたからでしょ? 殺人鬼相手には百年の恋も冷めるんじゃない?」
お姉さんが啜り泣きながらずっとブツブツ呟くから思った事を言うと、水の張った木桶を投げつけられた。
でも僕に当てようとはしてなかったみたいで、木桶は壁にぶつかって割れた。
その時僕は初めてお姉さんの顔を見た。
俯いてて遠目からじゃ見えなかった顔は、焼き鏝でも当てられたのか半分焼け焦げている。
もう半分を見る限り、結構美人だったんだろうなと思う。
乱れながらも梳かせば滑らかになりそうな暗い茶髪も、片方だけ開かれた瑠璃色の目も、綺麗だと思った。
「だからって、どうしてこんな目に合わなきゃいけないの……!!」
「そりゃあ隣領の侯爵令嬢相手に毒を盛ったからでしょ? そんな事したら普通に一族もろとも死罪だよ。そんな事、教養のない僕でも知ってる」
「だったらどうして私を殺してくれないの!? どうして、毒を入れた飲み物を渡した時に私を捕まえたの!? 半年の間ずっと私を見張らせていたんなら毒を手に入れたり、飲み物に入れた時点で捕まえれば良かったのに、わざわざ私を人前で恥をかかせるような真似をして……!!」
「それは言い逃れされないようにする為でしょ?」
でも、確かに違和感あるね――と言いかけた時、屈強な炭鉱夫が入ってきて、お姉さんの表情が恐怖に歪んだ。
お姉さんのお勤めが始まったので部屋から出ると、治癒師のおばさんに『あまり刺激するような事を言ってはいけません』と怒られた。
素直に謝ると、治癒師のおばさんはお姉さんの名前だけ教えてくれた。
家名は家が没落した事で無くなったらしい。
大陸の人は皆家名を持ってる。だけど島育ちの僕は家名なんて持ってない。
やっぱり、お姉さんと僕は同じだと思った。
あんな窓もない石造りの、申し訳程度にカンテラが灯る薄暗い部屋だと別に顔は見えなくていい。
毛布で顔を覆ってしまえば、後は男はその肉付きの良い体を抱いて好きな顔を想像して、好きなところを触って好きなように腰を振るだけでいい。
お姉さんはここで働く炭鉱夫の性のはけ口になるだけの、娼婦――いや、金すら得られないから娼婦以下の存在。
つまり、ここで奴隷――たまーに男娼もこなしながら僅かな金銭を得る、僕以下の存在。
だけど、お姉さんは屈強で学のない炭鉱夫からの乱暴な性交渉で傷付いた部分を治癒師のおばさんに治してもらえる。
その治療費は僕の給金よりずっと高いだろう事を考えると、やっぱり僕とお姉さんは同じなのかも知れない。
そしてお勤めが終わる度に部屋の隅ですすり泣いているお姉さんを横目にベッドや部屋を綺麗にしてから働く日々が続いた。
僕の得意な魔法は、洗浄と乾燥と浄化。
得意というかそれしか教えられていないから使えないだけなんだけど。
お姉さんの部屋を綺麗にするのを任されてるのも、これらの魔法が使えるから。
情事の後の部屋や衣服を綺麗にする為には、これらの魔法が使えれば十分だった。だけど――
「え、貴方、14歳なの? 貴方の年齢なら学校で色んな事を学んでいても良いはずなのに、可哀想に……」
治癒師のおばさんはお姉さんが逃げ出さない為の監視役も命じられたらしく、お姉さんとは最低限の会話しか許されていないらしい。
日中の話相手もいなくて寂しそうにしていたので、ちょこちょこ話し相手になってあげたら僕を気の毒に思ったみたいで、この大陸の事やこの領地の事、僕に使えそうな便利な魔法もいくつも教えてくれた。
そんな中で、ポツポツとお姉さんの事も話してくれた。
お姉さんは商売で成功して貴族になったばかりの、男爵の娘――男爵令嬢だった。
この領地を治めるトルマリン侯爵家の嫡子、バルナスに付きまとった挙げ句、バルナスの婚約者である隣のジェダイト領の侯爵令嬢、ベラの殺害計画が露見して捉えられて断罪されてここに送られてきた、僕より4つ上のお姉さん。
そのお姉さんは日を追うごとに気力がなくなっていった。
最初に桶を投げつけてきた勢いは、何処へやら。
「どうして……お父さん、お母さん、ごめんなさい……どうして……バルナス様、どうして……」
そんな言葉を繰り返しながら、ただでさえ少ない食事にもロクに手を付けず過ごして。
数節後にはすっかりやつれたその姿に男達が飽きたのか、誰もお姉さんの部屋に入らない日がポツポツ出始めていた。
「……どうして……」
お姉さんは時折涙を零しながら掠れた声でうわ言のように呟く。
このままだとそう遠くない内に衰弱して、死んでしまうだろう――生きているうちに、と思って気になっていた事を聞く。
「ねえ、お姉さんはずっと見張られてたの?」
「……そうよ。初めてバルナス様にご挨拶したパーティーの時から見張っていたらしいから、半年くらい……」
「へぇ……じゃあ、初めて出会った時からお姉さんがベラを殺すって思われてたって事? そんなに殺す気満々だったの?」
「馬鹿にしないで……!」
何気なく言った僕の言葉に怒ったらしい。
お姉さんの瑠璃色の目に、一瞬強い光が宿った。
「最初は普通に愛しただけ……殺そうかなって思ったのは、それから3節くらい立ってからよ……バルナス様が、ベラさえいなければ君と一緒になれたのにって言うから……言ったから、私……」
潤んだ瞳を見つめているうちに、部屋の扉が開いた。
またお姉さんの目から光が消えた。
お姉さんがお勤めに入ったので今こなせる分の雑用をこなした後、治癒師のおばさんのところに行く。
治癒師のおばちゃんの話は新鮮で、機嫌良く話を終えられた時は魔法を教えてもらえるからついつい聞き役に徹していたら、ある日お小遣いをくれた。
自分はお姉さんと雑談してはいけないと命じられているから、僕にお姉さんの話し相手になってあげてほしいと頼まれた。
お小遣いは銀貨一枚。僕の一節の給金より高かった。
たまにくる行商人から新しい服を買ってもお釣りが出るくらい。
(そうだ、果物を食べたらお姉さん喜ぶかな?)
林檎もあったけど、柔らかい方が良いかなと思って青蜜柑を持っていった。
けど『同情はいらないから』って、そっと返された。
(青蜜柑、好きじゃなかったのかな?)
僕も別に好きじゃないからおばさんにあげた。
おばさんはとても喜んでいた。
それからまた数節経ってお姉さんは骨と皮だけ、と言っても過言じゃない程痩せ細ってしまった。
そんなお姉さんは抱き心地が良くない、気が滅入ると敬遠され、そういうのが好きな狂人以外手を付けなくなった。
その分、僕がお姉さんとお話できる時間が増えた。
お姉さんの声はどんどん掠れていくけれど、気になる情報がどんどん入ってきて楽しい。
炭鉱夫やおばさんと話すより、お姉さんの話を聞くのが楽しかった。
お姉さんの声は掠れていても聞き心地が良くて、いつまでも聞いていたかった。
「……へぇ、皆その人の言い分を信じたんだ?」
「そうよ……そりゃあ私だって嘘も相当言ったし、ちょっと盛ったりもしたけど……本当の事まで信じてもらえなかったのは……寂しかった……」
お姉さんは一目惚れしたバルナスと玉の輿に乗りたくて、色々頑張ったらしい。
貴族の世界の事はよく分からないけど、お姉さんの計画は聞いている限りだとかなり隙のない、完成度の高いものだった。
だけどパーティーでベラに毒を入れた飲み物を手渡した際、その中に毒がある事を示され『入れてないと言うのなら、代わりに飲んでごらんなさい』と言われたそうだ。
そこで侯爵令息に縋ったら、冷たく突き放されてしまったらしい。
『以前からベラには聞かされていたが、まさか本当に君が毒を盛るなんて思わなかった』
「ねぇ、バルナス様……どうして……どうして言ってくれなかったの? 以前から知っていたのなら、どうして止めてくれなかったの?」
お姉さんは縋るような目で僕を見てくる。
「お姉さん、僕はバルナスじゃないよ? 僕は小さな島から生活苦で売りに出されてきた、家の名もない奴隷だよ。侯爵令息とは全然立場が違う」
「……分かってるわよ……でも、バルナス様と同じ目をしている貴方に話したくなるのよ……答えてほしくなるのよ……」
「目?」
「そうよ……綺麗な海岸を彩る、浅い海の色の目……私、その色の海が……その色の目が、好きだったのよ。とても綺麗な顔立ちで、スラッとしてて、透き通るような水色の髪を束ねた、あの人の目が……」
僕をじっと見つめるお姉さんの表情は、優しかった。
何でも見透かすような、嫌な目だと蔑まれてきた目が初めて褒められて、嬉しかった。
僕の目と同じ、水色の癖っ毛が褒められなかったのはちょっと残念だけど。
僕もお姉さんの目、好きだよ――そう言おうとしたところで久々に扉が開いた。
ガリガリにやせ細った女でも、完全に需要がなくなる訳じゃない。
「ああ……私もう恋なんて二度としないわ……愛なんてくだらない……だって、私、皆が私が毒を入れるって知ってる中で毒を入れて、家族まで目の前で惨たらしく殺されて、こんな風に虐げられて……馬鹿みたいじゃない……」
お姉さんの表情はもう無に戻っていて、目からはもう一切の光が消えていた。
お姉さんが結構あくどい性格してるのは間違いないみたいだけど、不思議と嫌悪感は持たなかった。
それどころか、何だかお姉さんが気の毒になってきてしまった。
そしてお姉さんが死ぬ前に、一度くらいお姉さんの笑顔が見てみたいなと思った。
どうしたらお姉さんは笑ってくれるんだろう?
果物を渡しても笑ってくれなかった。
その頃――僕と同じ島の出身だという行商人が一度島に戻ると言うので、試しに「ジェダイト侯爵家のベラは『同世持ち』だ」と伝えてみた。
それから数週間後。
炭鉱所に数日遅れで一部だけ届く新聞に、ベラが死んだ事が記載されていた。
嬉しくなってお姉さんの部屋に向かうと、お姉さんは虚ろな目でベッドに横になっていた。
「ねえねえ、ベラが死んだよ!」
「……あら……どうして……?」
「彼女は同世持ちだったから!」
「どうせもち……?」
視点の合わないお姉さんに少し違和感を覚えつつ、少しでも早く理解してほしくて言葉を重ねる。
「同じ人生を繰り返した人間の事だよ。たまにいるらしいんだよ、前世の記憶を持つ前世持ちや、来世の記憶を持ってやってくる来世持ちのような『時の迷い子』って呼ばれる存在が」
「……そんなの、聞いたこと無いわ……」
「そうなんだ? 僕がいた島じゃ子どもの頃から何度も聞かされるおとぎ話だから大陸の人も知ってると思ってた。あのね、条件が揃った人間にしか迷い子にはなれなくて、同世持ち……長は『死に戻り』とも言ってたけど、同世持ちは同世で悲惨な運命を遂げた者にしかなれないんだって!」
お姉さんが知らない事を僕が知ってる。そう思うと、何故か口がいつもより滑らかに動いた。
そんな僕の説明を聞いて、お姉さんは少し笑ってくれたような気がした。
だけど、その笑顔は僕が見たい笑顔じゃなかった。
「という事は……元の私は、彼女を殺したのね……これはその報いかしら……」
「そうだろうね。でもこれは流石にやり過ぎだよ。だからベラも報いを受けたんだ」
「……どういう事……?」
「島に伝わってるおとぎ話では、同世持ちは悲惨な死を迎えた神の愛し子に対する神の救済だとされてる……でもね、それはあくまで救済なんだ。神はお気に入りの子にはちょっとだけ贔屓しちゃうけど、他の子もちゃんと愛してるんだよ。お気に入りの子には幸せになってほしいけど、その贔屓を悪い事に利用してほしくないんだ」
「……でも……殺されたなら、相手を憎むのは、当然じゃないかしら……? 復讐を、止められるのは……きっと、物凄く悔しいわ……」
お姉さんが少し歯を食いしばったのが分かった。
お姉さん自身、強い復讐心を抱えているんだろう。もう、どうしようもない復讐心を。
「そうだね、神様だってきっと死罪までなら許したと思うよ。でもお姉さんは死より辛い目にあってる……多分、前のベラよりも一層酷い目にあってる。神様が助けかったのは、あくまで『悲惨な運命を辿った愛し子』であって『己の立場を利用して相手を貶める悪魔』じゃない。悪魔となった同世持ちにそれ以上の悪事を重ねさせない為にも罰を与えなければならない。それが僕がいた島に住む民の考え方なんだ。ベラは悪魔になった。だから天罰が下されたんだ」
「そう……可哀想ね……彼女は結局、私のせいで死んだのね……」
お姉さんの、歯を食いしばっていた口元が緩む。
「それは違うよ。ベラは自分の未来を知って、いくらでも回避する道はいくらでもあったのにギリギリまで前と同じ道を辿り、君を貶める道を選んだ。自ら悪魔になったから消されたんだ。彼女が死んだのは、彼女のせいだ」
他に愛する人を探すでもなく、他の道を歩むでもなく、前回とほぼ同じ道を歩んでお姉さんを貶めた。
神の哀れみを利用して、わざわざ過剰な復讐行為に出たから僕に気づかれた。
『時の迷い子を見つけたら、必ず島に報告せよ』
それが島から売られる際に長から言われた言葉だった。
奴隷として売られる身でその言葉に従う義理はなかったけど、報告したらベラがどうなるのか、興味があった。
「表向きには馬車が脱輪して崖に落ちての事故死になってるみたいだけれど――また同世持ちにならないような処理が施されているはずだ。あーあ、どんな処理なんだろう? 迷い子が本当に存在するんなら、もっといっぱい長の話を聞いておけばよかったなぁ」
興味がない事でも一度聞いた事は忘れない便利な頭脳を神様からもらってるんだから、一通り聞いておけば良かった。
「……貴方が何を言っているのか……もう、よく、分からないわ……」
お姉さんの声はか細く、本当に僕の言ってる事が理解できていないようだった。
表情を変える事も出来ないほど痩せこけた姿でも、その瑠璃色の目は綺麗だった。
最初から、その目が気になっていたけど――貴方の目が好きだと言われてから、僕もお姉さんの目が大好きになった。
人間って、面白いなと思った。
だけど、今日のお姉さんの目は今までにないくらい虚ろだった。
声もいつもと違って、酷くフワついた感じがした。不思議に思ってお姉さんに顔を近づけると、微かに甘い匂いがした。
「ねえ、何でお姉さんに毒飲ませたの?」
お姉さんの部屋を出るなり、炭鉱夫の治療をしているおばさんのところに質問しに行った。
掘り起こした炭鉱の通路を横に切り開いて作られた広めの休憩所には、今にもガタっと音を立てて崩れそうな大きなテーブルと長椅子、硬いけど一応仮眠が取れるベッドがいくつかある。
周りに何人か炭鉱夫がいるにも関わらず、治癒師のおばさんは僕の問いにポツポツと答えてくれた。
「……毎日毎日、乱暴に扱われるあの子を見ている内に私の良心も傷んできました。あの子がこれ以上辛い目に合う前に、死なせてあげたかった……私もこんな劣悪な場所で働くこの方達に対して、傷を癒やす事しか出来ない……こんな、己の無力さを痛感する場所で、これ以上過ごしたくないのです」
お姉さんとおばさんは親子程に年が離れている。
ここで過ごす内に、おばさんもお姉さんに情が湧いたのかもしれない。
まるで娘が痛めつけられているかのように嘆くおばさんに少しだけ同情した。
「もうあんな骨と皮だけになった陰気臭い女を抱ける男なんて、この炭鉱所には2人もいないよ。抱ける奴には僕から『もうお姉さんを抱かないで』って話してみるよ」
「そういう事ではないのです……明後日、ここにバルナス様が来られます。あの子の心がこれ以上抉られる前に、あの子を苦しまない毒で楽に死なせてあげた方が良い……」
「バルナス……侯爵令息が、何でわざわざここに来るの?」
「……あの子を疑っているのです。ベラ様の事故死には不審な点が多い、あの子がここの炭鉱夫を誑かして何かしたのではないか、という手紙が送られてきました……」
上手に始末してくれない島の人間と、訳の分からない狂言を送りつけてくるバルナスに凄くイライラする。
「……あの子が毒を持っていた、それでベラ様を殺そうとしていた……それは事実です。ですが、それによって命を落とした人間も、怪我人もいないのです。それなら死罪で良いではありませんか。何故こんな残忍な罰を思いつく事が出来るのでしょう? その上、その罰で長く苦しませたいからと私に治癒させる……まるで、女が女に同情する事はないだろうと言わんばかりの態度で……私は、人を苦しませる為に魔法を学んだのではないのに……!」
炭鉱夫を監視している兵士達もいるこの空間で、それをハッキリ打ち明けるおばさんの精神状態もお姉さん同様あまり好ましい状態じゃないのは、誰の目から見ても明らかだった。
何でベラは、お姉さんをここまで痛めつけたんだろう?
バルナスは、ベラの事、お姉さんの事、どう思っていたんだろう?
侯爵令嬢を暗殺しようとするくらいだ。
お姉さんには、ベラが死ねば自分がバルナスの次の婚約者になれる、という自信があったはず。
それは、バルナスがそう思わせる態度を取っていたから――つまり、バルナスの心もお姉さんに傾いていたのは間違いない。
その事にベラも気づいていたんだろう。だから自分の物を奪ったお姉さんが許せなくて、毒殺未遂を口実に執拗にいたぶった。
バルナスが元々ベラの物だったのかは分からないけれど、自分を蔑ろにする男だと分かってるんだから、執着せずに捨ててれば良かったのに。
お姉さんさえいなければ、自分を愛してくれると思った?
いや、そう思ったなら最初から会わせないように遠ざければいい。侯爵令嬢のベラには、それが出来たはずだ。
バルナスが手に入ると思ったお姉さんに、絶好のタイミングで反撃する為――お姉さんの悲劇を見て、溜飲を下げる為――としか思えない。
バルナスに対する執着と、お姉さんに対する復讐心――どちらにせよせっかく神がくれたチャンスを、他人への復讐の為に使うなんて本当もったいない。
そう言えば――そういう執着心みたいな物も愛って呼ぶんだろうか?
ああ、知識的な物は一度覚えれば忘れないけど、感情的なものはサッパリ分からない。
お姉さんが青蜜柑を受け取ってくれなかった理由も、ベラが死んだのに喜んでくれなかった理由も。
自分を手酷く裏切ったバルナスを、今なお想い続ける理由も――分からない事だらけで、凄く、イライラする。
どちらにしろ死に戻ってくるくらいだからベラはよっぽど辛かったんだろうし、お姉さんはよっぽどベラに恨まれていたんだろうなって事だけは分かる。
だけどベラ自身がお姉さんをわざとこうなるように誘導して、こんな罰を課して楽しんでいるのなら――それはもう、悪魔として処分されても仕方がない。
ああ、そうだ。
僕がお姉さんと会ってベラが同世持ちだと気づいたのは『ベラは始末するべき』と判断した、神の導きに他ならない。
そしてベラは島の人間が丁重に始末した。次はバルナスだ。
手紙を送りつけてきたって事は、お姉さんがこの場所で何をしているか、バルナスは間違いなく把握している。
少しでも情を移した女にここまでの仕打ちが出来る男も間違いなく、悪魔だ。
(……ああ、だからか。だから僕と彼の目の色が同じなのか)
この国の隅にある群生諸島の中の小さな島に伝えられてる、時の迷い子のおとぎ話を知っている僕が、時の迷い子に過剰に虐げられたお姉さんと出会ったのも、今から来る侯爵令息が僕と同じ色の目をしているのも――きっと全部、全部神の思し召しなんだ。
僕があれこれ考えている間にいつの間にかおばさんは長椅子に崩れ落ち、テーブルに伏せって嗚咽を漏らしている。
炭鉱夫も兵士も自分達に良くしてくれていたおばさんをどう扱えば良いのか分からないようで、顔を見合わせて困っている。
「……そうだね、確かに楽にしてあげた方が良い。流石に殺人未遂の人間にここまでするのは酷すぎるよ。それに彼女は平民あがりの貴族でしょ? そんな彼女にこんな仕打ちをする人間が、今後僕達にその牙を向けないとは限らない」
僕の言葉だけが休憩所に響く。
「ねえ、皆、今の主が嫌なら、僕が替わってあげるよ。僕がおばちゃんから教えてもらった変化の術でバルナスになるよ。僕、変化の術で変えられない目の色がバルナスと同じなんだって。だから、きっと上手くいくと思う」
僕がそう続けると、周囲にどよめきが起こる。
「僕がバルナスになって、ここの酷い環境を変えてみせるよ。少しずつになっちゃうかもだけど、温かい食事に、ちゃんとした衣服に、柔らかいベッド……後、炭鉱夫や兵士の給金だって、いっぱい増やしてあげるよ」
ああ、貴族ってどんな感じなんだろう? 嫌な奴ばかりなのかな?
僕が貴族になったら、僕も腐っていくんだろうか?
それは嫌だな――でも、僕がバルナスになったら、お姉さんは笑ってくれるかもしれない。
僕も一度くらい貴族という立場に立ってみたい。
ここで働く人達に、もっと良い環境を提供してあげたいって気持ちもあるから。
神様、僕の行いを良しと思ってくれるなら、どうか僕の味方をしてください。
そしてどうか、僕にお姉さんの笑顔をみせてください。
「……バルナス様?」
手に持ったカンテラは僕の手元近くしか照らしてないはずなのに、お姉さんはすぐに誰か言い当てる。
あの後、お姉さんはおばさんに治療してもらった。
だけど元々もういつ果てるか分からないほど弱った状態で毒を飲んだ体は、もう限界らしく。
早く高度な治癒師に治療してもらわないと危ない、と言われてしまった。
だから、お姉さんを早くここから連れ出してあげないといけないのに。
「私は……夢を、見ているのでしょうか?」
驚いているお姉さんの顔は初めて見る。
ああ、こんな風に見つめられるのも悪くない。
「夢じゃない、アクア……遅くなってすまない。ベラが死んで、ようやく君をここから助け出す事が出来る」
お姉さんはバルナスの事が好きだからこんな風に言えば喜ぶかなと思ったけれど、お姉さんは笑ってくれなかった。
「バルナス様……私はもう、身も心もすっかり汚れてしまいました……もう貴方にふさわしい女ではありません……」
寂しそうに潤ませるその目は、そのまま抉り取って飾ってしまいたいくらいに綺麗だ。
これからは僕がこの眼で見つめられると思うと、何だか心がフワフワしてくる。
「そんな事はない……君はもう十分罪を償った。ベラの怒りに逆らえず、君が酷い目にあっているのに、何も出来なくてすまなかった……」
「いいえ、私はベラ様を殺そうとしたのです……殺していた、らしいのです。だから、これはその報い……ですから、どうか、このまま死なせてください、バルナス様……」
駄目だ。おばさんが言っていた通り、確かにお姉さんの状態は危うい。
早く何とかここから連れ出さないと。
「駄目だ、アクア……一緒に私の館に行こう? 大丈夫だ、綺麗な部屋で、美味しい物を食べて、綺麗なベッドで眠れば、すぐに良くなるはずだ。元気になったら綺麗な海を見よう? 君が好きだと言っていた、海岸を彩る、浅い海を」
「……もう、いいのよ……《《オーラ》》」
お姉さんの言葉に、言葉が詰まる。
「……どうして……?」
治癒師のおばさんに教えられた变化の魔法、動かなくなったバルナスと見比べて『見分けが付かない』と言われるくらいに頑張ったのに。
おばちゃんからバルナスの喋り方も教えてもらったのに。
「あの人は私にそんな風に喋らなかったから……でもしばらく聞かないと分からなかったわ。貴方は本当に頭が良いのね……それで……バルナス様は?」
「殺しちゃった。あ、大丈夫だよ? 念の為に後ろから、何が起きたのかも分からないように殺したから、万が一にも彼が同世持ちになる事はないと思う」
「……そう……」
お姉さんの目から涙が一筋溢れる。
何でだろう? 痛い。すごく、心が痛い。
「ごめん……お姉さんの好きな人になれば、お姉さんが救われるかと思ったんだけど、逆効果だったみたいだね」
「ね、オーラ……私……私があの時、毒を飲んでいれば、ベラはそれで満足して、私以外、誰も死なずにすんだのかしら……?」
「それは……」
否定はできない。その未来だったら僕はお姉さんと会う事はなかったから。
だけど、どうしてだろう? それを口に出して言いたくなかった。
「私、何も企てなければよかった……他人を頼って愛や権力を手に入れようなんて思わずに、自分の力だけで、生きればよかった……オーラ……こんな私を……もう救おうとしなくていいのよ……」
「嫌だよ、お姉さんも生きてよ。侯爵夫人になってよ。玉の輿、憧れだったんでしょう?」
「私は……もう幸せになる訳にはいかない……お父様も……お母様も、バルナス様も、皆、私のせいで死んでしまった……」
「幸せにはならないよ。貴族って見目にうるさいんでしょ? 色んな人の前でその顔を晒すのは辛いと思うよ? 多分死ぬより辛いんじゃない? ああ……きっとそれがお姉さんの本当の償いなんだよ!」
「オーラ……」
「そうだ、お姉さんが死んだら、この領の名前をお姉さんと僕の名前に変えちゃおうかな? オーラアクア……いや、アクアオーラの方がいいかな? お姉さんの名前はずっと残る。僕の血が絶えるまで、ずっとお姉さんと僕の隠された罪は消えない。凄い不幸だよね! それが嫌だったら、僕と一緒に生き」
「オーラ」
言い聞かせるような優しい言い方に、言葉が詰まる。
「……こんな私の為に、今まで、ありがとう」
それは――笑顔だった。
僕が望んだ、お姉さんの笑顔だった。
薄暗くてよく見えない部屋で、最後に微笑んでくれた彼女の、潤んだ瑠璃色の目が、何より綺麗だった。
「さよなら……」
掠れた、綺麗な声で、その後お姉さんは目を閉じて、涙が、溢れて――何度名を呼んでも体を揺すっても、お姉さんは目を覚ましてくれなかった。
それから数日後――バルナスの姿で僕は馬車に乗る。
ロクな教養もない奴隷に過ぎない僕が、いくら侯爵令息と同じ目をしていて人より魔力を使えるからと言って、流石に侯爵令息になりすますのは正直無理がある。
だから侯爵令息と護衛の騎士2人を始末する時に、炭鉱夫の皆や兵士達が全面的に協力してくれた事には驚きを隠せなかった。
僕があの炭鉱所で働きだしてから、8年。
炭鉱夫や監視の兵士達と多少の世間話はしていたけど、そこまで仲が良いって意識はなかったから。
でも貪欲な獣だって餌をくれる相手には懐き、自分達を劣悪な環境に置かせる奴らには噛み付く。
この炭鉱所は元々劣悪な環境だったから、僕が侯爵令息になり変われば今より待遇が改善されると皆笑っていた。
安い賃金で炭鉱所に務める兵士達も非道を行う主君に忠誠心など無かったようで、炭鉱夫達に言い含められ。
僕は炭鉱所を出る前に、改めて彼らの待遇の改善を約束した。
バルナスと護衛騎士が炭鉱近くの山中で山賊に襲われ、護衛騎士が死亡、バルナスが瀕死だと治癒師が侯爵家に手紙を出した。
そして深く残ってしまった傷痕を隠すという名目で全身を魔力で覆っていれば、誰もそれが他人が成り代わる為の魔力だと思わない。
変化の術で偽れない目の色が、バルナスと同じ。
多少の口調や性格の違いがあっても、目の色が同じなら偽物が成り代わっているとは思われない。
姿を貴族に変え、貴族の服を着こめば僕は貴族として扱われる。
奴隷も平民も貴族も、身に纏うものが違うだけで体は何も違わないのだと知った時は、つまらなかった。
皇家や公爵家になってくると、また違ってくるみたいだけど。
館から迎えが来て、炭鉱所を出る時に一緒について来てくれた治癒師のおばさんは元々貴族というだけあって、色んな作法を教えてくれた。
そしてバルナスは元々気が移ろいやすい愚かな令息だった事を聞かされる。
知ってた。頭が切れる人間なら僕なんかに殺されたりしない。
そして僕はバルナスが住んでいた館に着くなり、彼の持っていた私物を投げ売って炭鉱所の改善にあてた。
お陰で数節経っても未だに『本当の令息は殺されたのだ』という噂が一つも耳に入ってこない。
神はベラを見限ったけれど、バルナスは民に見限られたんだ。
『平民上がりの男爵令嬢が罪を犯したとは言え、家族全員処刑した上で本人を炭鉱所の娼婦にする』という蛮行を行う人間が民を想う政治をしてくれると思うか? と問われれば、答えは殆どNOだろう。
民にとっては自分達を虐げてきそうな主より、優しく都合が良い主の方が良いに決まっている。
そして炭鉱所の環境を良くすれば、彼らもある程度それに見合った働きをしてくれるようになる。
その成果を見せる事で他の炭鉱所の待遇も改善されていく。
それを見た有能な貴族達は、適度な休憩と適切な環境の重要性に気づいていく。
そんな感じで僕の成り代わりは順調に滑り出したかと思ったけれど――彼は親には見限られていなかったらしい。
慈悲深く頭の回る息子に父親の方はご機嫌だった。
どんどん知識を吸収する僕に色んな事を教えてくれる。
本当の息子ではないのに、本当の息子以上に目をかけられる。
悪い気分ではなかったけれど、それは過剰にバルナスを貶めている気がした。
そして、バルナスの母親は最初から僕に対して違和感を覚えていたんだろう。
夜遅く、偽物だ気のせいだと言い合う二人の会話を聞いた次の日、侯爵夫妻の酒に苦しまない毒を入れて殺した。
自分の都合で殺した人間から、家族の愛情まで奪うつもりはなかったから。
そもそも、そんなもの欲しくもなかった。
何か罪を犯した訳でもない侯爵夫妻を殺めた天罰だったのか、偶然だったのか――侯爵夫妻が死んで間もなく、治癒師のおばさんが病に倒れてしまった。
「神の子よ、どうか、この地に永久の平和を」
そう言って少し寂しそうに微笑んだ後、おばさんは亡くなった。
皆、神様の子どもだよ。
神は平等に愛する事が出来ないだけで、この世に生まれる全ての存在を愛している。
僕は『自分だけが神に特別愛されているのだ』と誤解した子にイジメられた可哀想な子を、神様の代わりに助けてあげたかった。
神様もそれを認めているから、僕に罰を与えなかった。
そして今、尚僕に重い罰が与えられないのは、神様が今の僕の行いを大方受け入れているからだろう。
僕が貴族も平民も楽に過ごせるように心を砕き続ける限り、神様は僕に罰を当てたりはしない。
幸い、貴族の生活は思ったよりつまらなかった。
綺麗な宝石も豪華な調度品も思ったより感動せず、美味しいと言われる食事も何だか味気ない。
子どもの頃綺麗だと思ったはずの海も、何故か色褪せて見える。
服装だってボロボロだった頃の服の方が軽くて動きやすかった。
だから自分が手に入れた収益は全て周りに還元する。
強者には尊敬と報酬を。弱者には慈悲と施しを。
罪人の罪は軽く出来なくとも、人としての敬意を。
こちら側の都合で命を断つのなら、最大限苦しませない努力を。
優しく慈悲深い主というのは『甘い』と舐められ、相手に危機感を抱かせない。
だから敵に危機感を抱かせない内に、優しく殺せる。
同世持ちは、同世で悲惨な運命を遂げた者にしかなれない。
この方法なら、同世持ちを作り出す事もない。
そうして――お姉さんが死んだ年齢を超えて。そのままお姉さんの倍くらい生きて。
僕が『賢人侯』と呼ばれだした頃、僕は一人、子どもを成した。
相手の女は子どもを産んで一年ほど経った後、違う男の元へと去った。
元々こちらも跡継ぎが欲しかっただけなのでそのまま見送り、残された自分と同じ髪と目の子を乳母に任せ、執務室に併設されたバルコニーから一面の海を望む。
この海もお姉さんと一緒に見られたなら、きっと美しいと思えたんだろう。
この世で見た一番綺麗な物――お姉さんの瑠璃色の目の輝き以上に綺麗な物はもう何処にもない。
そして、僕は今世において、もっとも綺麗なものを見そびれてしまった。
お姉さんが向けてくれた笑顔は半分だけだ。
お姉さんの満面の笑顔を、2つ並ぶ瑠璃色の目を、僕は今世で見る事が出来なかった。
お姉さんの笑顔を彩る、あの瑠璃色の目はとても美しかった。
お姉さんの元気な頃――桶を投げつけてきた頃の声も、とても綺麗だった。
きっと前のお姉さんはその綺麗な眼で声で、満面の笑顔で侯爵令息を射止めて彼と幸せになったんだろう。
本当に、お姉さんと僕の出会いはここの貴族達が気取って使う『運命』ってやつだったのかも知れない。
ベラ達が過剰に彼女を貶めたりしなければ、僕とお姉さんが出会う事はなかった。
神様はベラに逃げてほしかったのだろうけど、僕はベラに感謝しなければならない。
島の人間に始末されたベラに来世は来るのか分からないけど、会ったら一言お礼を言いたいくらいだ。
『自分の人生を犠牲にして、僕とお姉さんを会わせてくれてありがとう』って。
(来世……来世か……)
バルコニーの手すりに手をかけて、視線を青い海から水色の空へを上げる。
(神様……僕はもっと……もっと民を幸せにします。この地に生きる民の為に生涯この身を捧げます。だからどうか、僕の行いに満足したら、来世、お姉さんの来世と巡り合わせてください。できれば僕に今の記憶を持たせて、あわよくば今度は僕の方が少し年上で)
空を見上げる度に願う言葉は、もう一回くらい神の耳に届いていてもいいはずだ。
神が最後にお姉さんの笑顔をみせてくれたように、僕の新たな願いを叶えてくれたっていいはずだ。
(僕はまた薄汚い炭鉱所で、奴隷と娼婦として出会ってもいいけど……お姉さんは嫌がりそうだな……)
神様が自分の気まぐれのせいであそこまで痛めつけられたお姉さんに、少しでも同情してくれていたらいいんだけど――お姉さんが罪人なのは間違いないから、厳しいかな?
だけど何万何億という命が存在する世界で、神はそこまで《《一人の人間》》に固執しない。
過剰な罰を課された罪人に、それ以上の罰を課すこともないだろう。
悲惨な目にあった愛し子に手を差し伸べる事があっても、それは幸せになる事を願ってであって、復讐に利用される事を望みはしない。
『死』に対して『死』を返す事は認めても、生き地獄を課す事を良しとしない。
そんな神の意に反した悪魔を放置しておく程、神は愚かじゃない。
そして神の為に尽くす存在を放置しておく程、愚かでもないだろう。
僕が人の為に世の為に尽くせば尽くすほど、神様も僕達の事を少しは気にかけてくれるだろう。
愛し子にはなれなくても、来世で少しくらいは僕達を贔屓してくれるだろう。
まあ神は気まぐれだから僕を使い捨てにする気かも知れない。
それならそれでもいい――この、お姉さんと僕の名前を付けた領地が長く長く繁栄するように、僕の持てる限りの力を尽くそう。
さあ。お姉さんに会える来世を夢見て、今日も僕は皆の為に生きよう。
水色の空と青色の海をもう一度見つめた後、執務室へと戻った。
(完)
最後までお読み頂き、ありがとうございます。
「面白かった!」「こんな話があっても良いんじゃない?」と思われたらブックマークや下の☆☆☆☆☆から評価して頂けたら嬉しいです……!
☆☆☆☆☆の下に同世界を舞台にした話へのリンクがあります。




