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「なろうラジオ大賞3」のための物語

伝説の勇者の仲間の魔法使いの3番目の弟子の助手

作者: ヤギマルケイト

「勇者オレンの仲間の魔法使いの3番目の弟子の助手なんです」

 僕がそう言うと、たいていの人は答える。

 お前そりゃ赤の他人だよ。

 まったくその通りだと思う。

 実際、僕なんてまだまだだ。

 この前だって何とか魔物をやっつけたけど、先生の助けがあって。先生は一人で何体も退治してるのに。

 勇者ってどれほど強いんだろう。

 いつか少しでも、近づけたらいいな。



 はっきり言うが、アプルの奴はとんでもない。

 俺の助手さ。あいつ全然自覚ねぇんだ。俺なんかとっくに越えてるよ。

 この間だってほとんど一人で魔物倒しちまった。一応手伝った感じになったけど、俺の魔法なんておまけさ。

 確かに俺は一人で倒せる。でもあれは俺の持ってるありったけの魔法を片っ端から叩き込んで、弱らせに弱らせてようやっと、だ。

 あいつ剣で一発だぜ?

 おまけに最近、魔法まで覚え始めた。俺が何年もかかってやっと覚えたものを、ちょっと教えたらすぐさ。

 ウチの師匠もとんでもなかったよ。

 比べられるのがイヤでこんな北の地まで来たってのに、どうして俺の周りはこんな奴らばっかりなんだ。

 ホント、不公平だよ。



 私の弟子の話をしよう。

 ああ3番目のさ。グレイフという男だ。あいつはケタ違いだった。

 天才だよ。

 次々に魔法をマスターしていくのさ。全取得までわずか4、5年だ。そのくせ才能がない、なんて言う。私があれだけ覚えるのに何百年かかったと思ってるんだか。

 北へ向かった、と聞いた時は驚いた。

 あの辺りは魔王ゼロリア直属の凶悪な魔物が今もウヨウヨいる危険地帯だ。それをもう何体も退治してるそうじゃないか。私なんかオレンのお供で魔王を倒すだけで精一杯だったのに。

 オレンといいあいつといい、恐ろしい人間もいるもんだ。

 まぁ、ああいう奴らがいる限り、世界はまだまだ平和なんだろうさ。



 僕がオレンです。

 ええ、勇者なんて呼ばれてます。いや大したことないんですよ僕なんて。

 確かに魔王ゼロリアは僕が倒したことになってます。けど強いのは仲間のみんななんですよ。僕はとどめを刺したってだけで。

 特に魔法使いのメローヌさん。あの人は凄かった。

 知ってます?あの人もう何百年も生きてるんですって。凄い魔法を何百もマスターしてるんです。ああいう人が勇者なんですよ本当は。

 でも……こんな僕の名前でも、それだけで勇気や希望を持ってくれる人がいる。

 だったら、僕は飾りものの勇者でも何でもいいと思っているんです。

 やっぱり、平和が一番ですからね。

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