05
120日目
今日、病気だったローリズの妹が元気になってきたと、聞いてもいないのにそんな報告をされたわ。嬉しいのは結構よ、精霊たちもみんな喜んでるし。ま、私には関係ないわ。
だから私は「良かったわね」と嫌味っぽく言ってあげたわ。
ふふ、これぞ人間が嫌う魔女よね。嫌味っぽくて性格が悪い典型例よ。
でもローリズは、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべたのよ。
……こんなことやってる私が馬鹿みたいだわ。
200日目
今日は私の誕生日。
水の精霊フェルツ、風の精霊フェイ、火の精霊ルカ、地の精霊ロッカ、動物たちもみんな祝ってくれたわ。もう何歳になったか分からないけれど、みんなの気持ちは嬉しかったわ。
ローリズはなんと大量の薔薇の花束をプレゼントしてくれたわ。
まぁ、なんて迷惑な人なの。
薔薇なんて、いくら人間が嫌いな私でも捨てられないじゃない。
だから私は、いろんな場所に薔薇を飾っておいたわ。
決してローリズのことが気に入ったわけじゃないのよ。
381日目
ここまでくると呆れてくるわ。
だってあの男、本当に飽きもせず毎日欠かさず来るんだもの。
魔女の私が人間のあなたを愛するわけないのに、何を考えてるのかしら。
382日目
今日、初めてローリズが来なかったわ。
やっと諦めてくれたのね。
ようやく平穏な日々を取り戻せたわ。
……でも、ちょっとだけ心が痛いのはなぜかしらね。
385日目
フェルツが教えてくれたわ。
あの男が住んでいる村で、疫病が流行ったみたいよ。
大勢の人が亡くなったらしいわ。
あの男とあの男の妹は助かったみたいだけれど、あの男の両親や友達は亡くなったみたいよ。
情にもろいルカが泣いていたわ。
もう、ルカが泣くと森中の精霊が泣くのよ。
なだめるのは魔女の役割だけれど、結構大変なのよ。
390日目
また凝りもせずローリズがやって来たわ。
どうやら両親の死はふっきったみたい。
今日は、妹が作ってくれたシロツメ草の王冠を私にくれたわ。
…………魔女の礼儀よ、ぶっきらぼうな顔で受け取ってあげたわ。
なんて私は優しいのかしら。
……でも、ローリズは嬉しそうだったわ。なんて酷い人なのかしら。