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 120日目


 

 今日、病気だったローリズの妹が元気になってきたと、聞いてもいないのにそんな報告をされたわ。嬉しいのは結構よ、精霊たちもみんな喜んでるし。ま、私には関係ないわ。

 だから私は「良かったわね」と嫌味っぽく言ってあげたわ。

 ふふ、これぞ人間が嫌う魔女よね。嫌味っぽくて性格が悪い典型例よ。

 でもローリズは、本当に嬉しそうな笑顔を浮かべたのよ。

 ……こんなことやってる私が馬鹿みたいだわ。



 200日目


 今日は私の誕生日。

 水の精霊フェルツ、風の精霊フェイ、火の精霊ルカ、地の精霊ロッカ、動物たちもみんな祝ってくれたわ。もう何歳になったか分からないけれど、みんなの気持ちは嬉しかったわ。

 ローリズはなんと大量の薔薇の花束をプレゼントしてくれたわ。

 まぁ、なんて迷惑な人なの。

 薔薇なんて、いくら人間が嫌いな私でも捨てられないじゃない。

 だから私は、いろんな場所に薔薇を飾っておいたわ。

 決してローリズのことが気に入ったわけじゃないのよ。




 381日目


 ここまでくると呆れてくるわ。

 だってあの男、本当に飽きもせず毎日欠かさず来るんだもの。

 魔女の私が人間のあなたを愛するわけないのに、何を考えてるのかしら。



 382日目


 今日、初めてローリズが来なかったわ。

 やっと諦めてくれたのね。

 ようやく平穏な日々を取り戻せたわ。

 ……でも、ちょっとだけ心が痛いのはなぜかしらね。



 385日目


 フェルツが教えてくれたわ。

 あの男が住んでいる村で、疫病が流行ったみたいよ。

 大勢の人が亡くなったらしいわ。

 あの男とあの男の妹は助かったみたいだけれど、あの男の両親や友達は亡くなったみたいよ。

 情にもろいルカが泣いていたわ。

 もう、ルカが泣くと森中の精霊が泣くのよ。

 なだめるのは魔女の役割だけれど、結構大変なのよ。



 390日目


 また凝りもせずローリズがやって来たわ。

 どうやら両親の死はふっきったみたい。

 今日は、妹が作ってくれたシロツメ草の王冠を私にくれたわ。

 …………魔女の礼儀よ、ぶっきらぼうな顔で受け取ってあげたわ。

 なんて私は優しいのかしら。

 ……でも、ローリズは嬉しそうだったわ。なんて酷い人なのかしら。

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