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どっどっどっという、心臓の音が体内に響く。
それは、あまりにも突然のことであった。
思わず息を止めていたことにも気づいてはいなかった。
琴音は、ゆっくりと目を開け、止めていた息をぶはっと吹き出した。
膝に手をつけ、乱れた呼吸を整える。遅れて、じんわりと嫌な汗が身体をつたった。
乱れた呼吸を整えながらも、ようやく何が起こったのかを考えだした。
この間、わずか数十秒ほどの出来事であった。
自分は雷に打たれたのだろうか?
だとしたらなぜ今、自分は生きているのだろうか。
怪我なんてどこにも見当たらない。
そんなことより頭が痛かった。
とにかく疲れた琴音は、もう何も考えたくなくなり、ぼーっとした頭のまま、トボトボと家に帰るのだった。
帰宅して早々にシャワーを浴びた琴音は、ひどくなる一方の頭痛に顔をしかめながら、薬を飲んでベットに飛び込んだ。
眠りにつくのは容易なことであった。