00 声
私の名前は原野琴音。
これは始まり……なのかもしれない。
―――起きて――
っは………!!
脳内に響く謎の声。その声で目が覚める。
そして、数学の竹村と目がバッチリ合う……。
やばい、これはやばいかも、しれない…。
そんな焦りを紛らわすために何事もなかったかのように黒板の数式をノートに写し出す。
いや、それよりさっきの声はなんなんだ。女の声……?
私が寝ぼけているだけなのか。
きっとそうだ、というかそれしかないだろう、という結論に至ると同時に竹村に名前を呼ばれる。
「はらの〜、大問2の問い1答えてみろ〜」
「…はい」
返事はしたものの、答えなんて分かるわけがない。
数秒前までこちとら寝てたんたぞ。これはいじめに違いない絶対そうだ。
そんな言い訳はすぐに頭を駆け巡るものだ。
「こと、2だよ」
そう小さな声で教えてくれる隣の席の友人、のんこと武田希が今日ほど天使に見えたことはない。
「2です!」
「正解だ〜。次からしっかり聞くようにー」
教室からクスクスと笑い声が聞こえる。
まぁ、問題答えられたし良しとしよう。
……あれ、私どんな夢見てたんだっけ…。