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私だけの世界  作者: いおちょす
1/1

修学旅行〜初日〜

初投稿となります。小説って結構書くのに時間がかかるんだな、と思いながら書いていました。ここはこう表現した方がいいかな?とか、ここ少し書きすぎてるかな?とか色々考えながら書くのはすごく楽しかったです。とはいえ、先にも述べたように私自身初投稿となりますので至らぬ点が多いと思います。温かい目で読んで頂ければ幸いです。

「え?」

鈴木が困惑を隠せないような、そんな声を発した。鈴木の胸に突き刺さったナイフ、そのまま鈴木は膝から崩れ落ちるように倒れた。どこを見てるかわからない、力なき眼差し、立ち上がろうとしているのか、手を床につき体は痙攣している。

「うぅ、あぁ、あぅぁ。」

なにかを喋っているのだろうか、それすらもわからない、言葉ですらないうめき声をあげ、その後すぐに動きは無くなった。


「ふふ、ふはははは、ふはははははははっ」


夜の旅館の共同トイレの中で宮藤聖都(くどうまさと)の笑い声が響く。こんなに笑ったのはいつ以来だろうか。小学生の頃か?それとももっと前か?否だ、ここまで快楽に溺れ、ここまで高揚し、ここまで楽しんだことは人生で一度たりともない。目の前に流れる血、半目を開き、力なくそこに仰向けで倒れている同級生の姿を見て、俺は大満足だった。


「なぁ鈴木、調子どうだ?俺もさ、死ぬときの感触一度は味わってみてぇよ。俺より優秀になったな?代わりに俺は人を殺す感触味わえたぜ、ありがとうな鈴木、お前はまじでいい友達だったよ。お前とさっき“一緒に遊んだ„時が人生で1番楽しかった」


たったの一刺し、力はいらなかった。するりと肉体を刃が通り抜け、肉が刃の形に突き刺さっていく感覚があった。先ほどまでなにも怪我などしてもいない肉体に、今は俺が突き立てたナイフが刺さっている。

それだけで鈴木の血の気はすでにもうなく、真っ白な顔をしている。倒れている俺の親友の姿は、もはや芸術としか言わざるを得ないほど、見事な(なり)をしていた。


<hr>

俺がまだ小学生の頃、俺は何にでも興味を持つ子供だったと思う。ピアノに興味を持ち、ピアノを始め、小学生の頃は発表会にも出たことがあったり、数学に興味を持ち数学検定を受けたりと様々な分野に興味を持って、それを全て実行してきた。


そんなある日、普段なら特に気になるはずもない、時計がわりとしてつけていたテレビのニュースで殺人事件の犯人が捕まったと報道。もちろんそんなことに興味はなく、適当に聞き流していたのだが、犯人は被害者の娘で、その供述が

「内臓をこの目で見てみたかった」

とテレビで報道され、耳を疑った。「内臓が見てみたい?なんだそれ?」と心の中で思ったものの、たしかに少し興味があることであった。


ただそれよりも、内臓が見たいという理由で、自分の母親を殺してしまうという、そっちの気持ちの方がどうしても気になった。


「自分の母親を殺す?母さんが死んだら悲しく思うが、死ぬのではなく自分の手で殺してしまう?どうなってるんだ?」


幼いながらも自問自答をし続けたのを覚えてる。そこから先はもう迷宮で、自分で答えは出せなかった。そこで行き着いたのが、-自分で試すしかない-

ただそれだけだった。


<hr>

「さて、どうするか。」

誰にいうわけでもなく、ましてや目の前の“芸術„に対しても同様に、俺は1人つぶやいた。凶器は昼間にみんなで修学旅行中に回った店で買ったなんの変哲も無いナイフは未だ刺さったまま。パジャマとして着ている、学校指定のジャージや手は血まみれ。今ここで誰かが来たら俺は完全にアウト。


「知的欲求を満たしたかっただけなんになぁ。ここで誰かに見られて捕まっちまったら、意味ねぇよな。理にかなってないっていうか、もうちょいだけ“楽しみたい„」


俺は血を浴びた服を脱ぎ、ナイフを抜いて、脱いだ服を傷口に当てるように鈴木に巻いてやった。そしてトイレの外から足音が聞こえてくる頃


「おい鈴木!!おい!!!鈴木!!!!」

と大声で叫んだ。


するとドアが開かれ


「おい!うるさいぞ」


俺たちの担任でもある体育教師が顔をのぞかせた。

だが、流石の体育教師である若松先生でも、この現状を見て、なにも理解できないという顔で、いつもは鋭いはずの目つきも、今となっては口を広げ目は見開かれ、焦点もどこにあるのかわからないような滑稽な表情をしていた。


「ど、どうした?」


先生が言った。いつもの大きな声とは違い、ただ呆然に、現状把握が出来ずに発した、力なき声であった。俺は泣きながら


「鈴木がぁ、鈴木が、、先生。どうしよう、血が、、血が。」


むせび泣くような声(演技)で先生に訴えかけた。先生はそこに立ち尽くしたまま何も言わず、どうしたらいいかわからない様であった。痺れを切らした俺は


「先生ぇ、、ぎゅう゛ぎゅう゛しゃ゛〜!はやくぅ…」


またもむせび泣くような声で迫真の演技をし、先生に向かって叫んだ。


「あ、あぁ。」


先生はなんとも頼りのない返事をし、携帯を取り出して救急車を呼んだ。


救急車が来るまでの間俺は、「鈴木!」と叫び続けた。


救急車のサイレンが近づいてくる頃、他の男子生徒がトイレの利用のためかトイレに近づいて来たようだが、先生が入り口前で入れないようにした。


だが、先生の肩越しから、その生徒がこちらを覗いてくる。

上裸で膝をついている(明らかに変態な)俺と、床に広まっている赤い液体、そしてそこに、一人の男が倒れている。流石にその生徒もそれを見てただ事ではないと悟ったのか


「先生!なにがあったんですか!」


と叫ぶように訴えかけ、応答を求めた。それに対し、


「今から救急車が来る。事情は俺にもわからないが、あそこに倒れてるのは鈴木だ。今救急隊が来た。入り口を開けろ」


と先生が言った。いや塞いでるのはあんたも一緒や!と思い「ふふっ」と笑いが出てしまったが、泣いてるフリをしてごまかした。


救急隊が来るまでの間、俺は体の震えが止まらなかった。高揚感からか、はたまた罪悪感なのか、頭と感情が追いついていない。ただ俺は目の前の俺の親友の姿になんとも愛おしい気持ちとなり、「鈴木」と訴えかけながら、頭をずっと撫でていた。


そうこうしているうちに、救急車の音がどんどん近づいて来ており、そこから少しした頃、救急隊が駆けつけて来た。


「通りまーす」


と救急隊の人が担架を持って来た。だが、鈴木の状態を確認した後搬送をすることなく、救急隊の一人が警察を呼んだ。俺はといえば「へぇー、死んでるってわかってるし、ナイフもそこに落ちてるからかわからんけど、事件性の疑いを見て、警察呼ぶんだ〜。」と少し関心をしていた。


そんなことを考えていたら、救急隊の人に外に出ておくように言われ、救急隊の1人が上裸である俺を気遣ったのか、毛布を持って来てくれた。

まもなくして、救急隊が呼んだ警官が4人来た。現場検証のため、3人の警官が中に入り、1人は俺たち3人に事情聴取のようなものをとるつもりらしい。

警察が来てから、いつの間にか俺たちの周りにはほかの生徒たちも集まってきていた。


「すみません、一回着替えてもいいですか?」


俺が警官に問いかけた。手は血まみれで上は毛布のみ、それだけであれば些か問題はなかったのだが、応答でボロを出せば、もしかしたらバレるかもしれない。

まだ捕まってはいけない。あと、4人殺す予定なのだから。俺の夢がここで終わることは絶対に許さない。小板橋、中田、(さかき)(くが)(はちす)の順に殺していく。

この夢を成し遂げるためには、今この場でバレるわけにはいかない。ボロが出ないように、一度着替えてリフレッシュしようと考えた。


「いいえ。では少し待っててください。そろそろ出てくると思うので。」


目の前の三十代くらいの警官が答えた。

残りの警察官はトイレの中へ行ってしまい、ドアは閉められている。当然中の様子はうかがえない。


「わかりました。」


俺がそう言ったのだが、先生が


「流石にこの格好で待つのは目立ちますし、他の生徒に頼んで、着替えだけでも持って来させてもいいのではないですか?」


と先生が言った。周りに生徒はたくさん集まっていることから下した判断であろう。


「うーん。そうですね、わかりました。いいですよ」


警官が答えた。俺は集まってきた生徒たちの中から同じ部屋の奴を1人見つけ、そいつに頼んだ。ついでに小板橋の姿も探したのだが、ここにはいないようだ。ああ言う系の女子はこういうの嫌いなのか?


<hr>

小板橋寧々(こいたばしねね)は同じクラスの女子だ。特に目立つような女子でもなく、馬鹿騒ぎなどは嫌いそうに見える。友達とかといるときは何故かいつもテンションが高く、SNSに写真をよく投稿する印象だ。そして、中田の好きな人。


<hr>

「わかった行ってくるわ。」


「俺のリュックのとなりにTシャツ畳んで置いておいたから、それでよろしくな」


「おっけー」


とりあえず俺の着替えはさせてくれるようだ。ありがたい。着替えを待っている間、俺たちは警官の質問に答えることとなった。


「じゃあまず先生から」


先生がまず自分の名前から応え、鈴木の名前や殺させるような理由等色々聞かれ、それに応答している。その間に着替えが届いた。先生への事情聴取により第一発見者が俺と聞き、質問の矛先は俺へと向かった。


「わかりました。ありがとうございます。じゃあ次は第一発見者の宮藤君に聞こうか。」


警官が俺に言った


「わかりました、ただ今着替えが届いたので着替えていいですか?」


「どうぞ」


俺はいそいそと先ほど届いた服を着て、その間に考えを巡らせていた。


「大丈夫です」


Tシャツを着る間にある程度考えをまとめた。


「じゃあまず名前からね」


「宮藤聖都です」


「鈴木君とはお友達?」


「そうですね。友達です。」


<hr>

鈴木と俺は友達、いやむしろ親友と呼んだ方がいいと呼べる中であった。小学校の頃からの付き合いだ。とは言っても、小学校の頃は大して中は良くなかったが、中学に上がり、俺らの間で流行ったスマホゲームで意気投合し、そこからよく遊ぶようになった。高校1年になってからは2人でカラオケに行こうが、2人で映画を見に行こうがなんの違和感もなく、とても楽しめた。


<hr>

「そっかそっか。鈴木君を発見したときはどんな感じだった?」


警官が質問を続ける


「そうですね、見つけたときは何よりもう、血がすごい出てるって感じで、鈴木の胸にナイフが刺さってて、その場でちょっと固まってたんですけど、なんか喋ってるって言うか、呻き声みたいなのをあげてる気がして、とりあえずナイフを抜いて、血を止めなくっちゃって思って、服を脱いで縛ったんですよね。」


嘘はそんなについていない。もっともらしいことを言った自覚があった。


「じゃあもう見つけたときには、だいぶ血が出てたんだね。部屋のトイレに行かないで、ここの共同トイレに宮藤君が来たのはなんで?」


警官が言った。なんて嫌な質問だ。トイレに行くのに理由が必要なのかよ。


「実は鈴木と俺2人で夕飯食べ終わった後にここのトイレに寄ったんですよ。でも俺の方が先に出ちゃって、外で鈴木を待ってたんですよ、それで3分くらいかな?待っても鈴木が出てこないんでトイレに様子を見に行ったんです」


少しばかり嘘をつきすぎてるな。ここに繋げなければ俺はここで終わる。夢半ばで終わってしまう。俺は頭をフル回転させた。


「じゃあつまり、2人で入って、宮藤君が先に出てて、その待ってる間に鈴木君が胸を刺されたってことになるけど、トイレの中に鈴木君と宮藤君以外の人はいたの?」


警官が追い打ちをかけるように問いかける。


「2人で入ったときは誰かいたのかは定かではないですが、待ってる間1人の男の人が出てきたんです。だから、そいつが鈴木をやったって思ってます」


「なるほど。その男の人の顔は覚えてる?」


「正直、全然覚えてないです。まさかこんなことになると思ってませんでしたから。でも顔を見れば絶対わかると思います」


「はい、わかりました。じゃあ最後に質問ね。犯人が宮藤君ってことはないよね?」


To be continued


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