chapter03 「材料費」って何!?
「よ~し。報告ができた班から順に、書類を提出しろ!」
「は~い!」
今日は委員会活動の日。
私は、文化祭実行委員会に所属していて、校門前に飾るアーチの材料を購入した際の報告書作成が終わり、これから提出するところだ。
「よろしくお願いします!」
「おう!嶋尻の班か」
「…」
「嶋尻の班は、買ったものを郵送してもらったんだな…」
「はい、そうですが…」
「だったらこの「送料」は、購入した「材料費」の中に入れて記入するんだ!」
「…ていうことは、商業簿記みたく、商品を仕入れた時の送料を「仕入」に入れたように、購入した材料の送料も「材料費」の一部として計上して良いんですね!」
「そういうことだ。「日商簿記」の授業でも、やっただろ!?」
「…そうでした!材料を買った時は、商業簿記の「仕入」の処理と同じように処理するんでしたよね!」
「その通り!」
「面倒臭いのは、その買った材料を「消費」した時だな…」
「材料にもいろいろな種類があって、それによって直接費と間接費に別れたり、購入記録の方法によって、消費価格や消費量の算出方法が変わってくるんでしたよね!?」
「送料が購入費に入るのは忘れてて、それよりも難しい消費価格や消費量のことは覚えているんだな…」
「そうみたいです…」
「他の班は報告書がまだできていないみたいだから、ちょっとだけ復習するぞ!」
「材料費の中で「直接費」となるものは何だった?」
「製品の主たる素材となる物品の原価である「主要材料費」と、他企業から購入してそのまま製品に組み込まれる「買入部品費」の2つです!」
「正解!ちなみに、その特徴は?」
「どちらも直接製品の材料として使われることです!」
「そうだな!では、今度は「間接費」に該当する材料費にはどんなものがある?」
「補助的に消費される「補助材料費」、耐用年数1年未満の、固定資産として扱えない「消耗工具器具備品費」、製品生産で必要な消耗品の原価である「工場消耗品費」などですね!」
「その通り!いずれも、製品を製造するにあたり、間接的に消費される材料のことを指している」
「消費価格の計算をする際は「先入先出法と平均法」の2つの方法があって、先に入ってきた材料から先に消費するのが「先入先出法」、購入した都度単価を出し直し、新旧材料を混ぜて考えるのが「平均法」でしたよね!」
「正解!さて、消費価格はいいとして、消費量の計算にも2パターンあったはずだが…」
「「継続記録法」と「棚卸計算法」の2つですね!!」
「「継続記録法」は、購入・消費をその都度記録していく方法で、常に材料の在庫量が把握でき、月末棚卸で減耗量を把握できます!」
「その通り!そしてもう1つの「棚卸計算法」は、購入数量の合計から月末棚卸の数量を差し引いて、材料の消費数量を計算する方法だ」
「でもその方法だと、帳簿上の棚卸数量が分からないから、棚卸による減耗量の把握ができないんですよね!」
「そういうことだ。材料がどういう形で消費されているのかは、製品の製造原価の構成を知る上で大変大切になるから、通常は「継続記録法」を採用し、月末に材料の棚卸減耗費を算出するのがほとんどだ」
「材料の棚卸減耗費は、それが正常な量であれば「製造間接費」として通常は処理をする。その際の単価は、先入先出法なのか平均法なのかで変わってくるから、注意が必要だな」
「戸山先生!報告書が完成しました!!」
「…他の班の報告書ができたみたいだ。嶋尻!送料を材料費に入れ直した報告書を作成し、持ってきてくれ!」
「分かりました!」




