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美琴 Accounting!! 簿記の基礎知識講座  作者: 剣世炸
3級商業簿記編
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★chapter44 「減価償却の月割計上(月次決算)」って何!?

「…機種変更でございますと、スマホの本体価格を一括でお支払い頂く場合、消費税込で¥125,000頂戴することになりますが…」

 今日はパパと一緒にキャリア直営の携帯ショップを訪れていた。

 私が不意にスマホを落とした際、画面にヒビが入り、スマホそのものも立ち上がらなくなったからだ。

 そういう時に補償されるプランに入っていたものの、機種が古いということもあり、値段次第では新しい物に変えた方が良いのでは?という両親からの勧めもあって、パパと一緒に来店したという訳だ。

「12万円、か…一括で支払えなくもない金額だが………ちなみに、他のもろもろの費用も含めて、本体代金も分割にした場合、1か月の支払い金額はいくら位になりそうかね?」

「基本使用料やパケット定額制等のプランを含めて、1か月に換算しますと…本体代金の支払いが完了するまでの2年間の間は、毎月約¥9,000程に、本体代金の支払いが完了した後は、1か月¥4,000程度になります」

「そう聞くと、今と支払金額に大きな差異がないように思えるな…」

「…お願いできる?パパ…」

「まぁ、美琴も高校生になって勉強頑張っているようだし…美琴のスマホを機種変更するとしようか」

「やったぁ!パパ、ありがとう!!」

「お買い上げ、ありがとうございます!」

 こうして、私は無事にスマホの機種変更をすることに成功。在庫もあったため、今日から早速使えることになった。

「…それにしても、一回の買い物で12万円かかると言われたものが、分割にすると1か月1万円を切るのだから、よく考えられたセールス方法だな」

「そうだね。12万円だと『うわっ!高!!』って思っちゃうけど、9千円って言われると、『払えちゃいそう』って思うよね」

「まぁ、私は基本的に分割払いは嫌いだから、今回も本体代金だけは一括払いにしたが…」

「そう言えば、最近習った簿記の仕組みで『月次決算』っていうのがあって、その中で出てくる減価償却の月割計上も、分割払いと似たような感覚だったなぁ」

「…今の日商簿記では、そこまで出題されるのか…確かに私が勤めている会社でも月次決算を行っていて、毎月末は経理部の連中がピリピリしているが…」

「日商3級で出てくるのは、あくまで減価償却の月割計上だけだけどね」

「月次決算で『当月分の減価償却費を計上する』みたいな仕訳が出てくるってことか?」

「うーん…そういう問題も出題されるみたいだけど…途中で固定資産を購入した場合は年間トータルが会計期間の途中で変わることになるから、決算月でその差額を調整する、みたいな仕訳も出るんだよ!」

「それはまた面倒臭いことをしなければいけないのだな…私が受験して合格した頃は、減価償却に関してはもっと簡単な出題しかされていなかったというのに…」

「まぁ、仕方ないよ。それじゃ、ここでパパに問題!」


『当月分の備品の減価償却費を計上した。尚、備品の取得原価は¥120,000、残存価額はゼロ、耐用年数は10年。当期首に購入に、即日事業の用に供している。尚、この備品の減価償却は定額法の月割計算で計算し、間接法により記帳しており、この備品以外に固定資産はない』


「この場合の仕訳はどうなるでしょう?」

「パパをなめてもらっては困るぞ!!


(借方(左側))減価償却費 1,000



(貸方(右側))備品減価償却累計額 1,000


だな!」

「正解!パパ、やるねぇ」

「120,000 ÷ 10 で年間の減価償却の見積額は12,000。これを12か月で割るから、1か月あたりの減価償却費は1,000ということになるわけだ」

「それじゃ…こんな問題ならどうだ!」


『備品の減価償却について、4月から2月にかけて各月¥2,000を計上していたが、本日決算を迎え、減価償却費の年間確定額との差額を計上した。尚、当社は次の備品を所持しており、購入日の翌日より事業の用に供している。また、当社の決算日は3月31日である。

備品A 当期首に購入   取得原価¥240,000 残存価額¥0 耐用年数10年

備品B 8月31日に購入 取得原価¥360,000 残存価額¥0 耐用年数 4年』


「…なかなか複雑な問題だが…備品Aの減価償却年間見積額は¥240,000÷10=¥24,000。備品Bは¥360,000÷4=¥90,000になるが、年度の途中で購入していて、使用しているのは9~3月の7か月分だから、¥90,000 × 7/12 になって、¥52,500。4~2月にかけて行われた月次決算での減価償却計上額は、¥2,000×11=¥22,000だから…


(借方(左側))減価償却費 54,500



(貸方(右側))備品減価償却累計額 54,500


だな!」

「正解!」

「それにしても、美琴はもうこんな難しい問題をこなせるようになったんだなぁ…」

「すごいでしょ~(って言っても、この辺の問題は煉先輩に教わったんだけどね!!)」

「どうしたんだ?ほほが少し赤いぞ!?熱でもあるんじゃないのか?」

「いやいやいや、何でもないってば!新しいスマホに機種変更してもらえて、嬉しいだけだって!」

「美琴が嬉しいなら、パパは満足だぞ!」

「ありがとう!パパ!!」


~補足~

 会話の後半、決算月に既減価償却計上額と年間見積額の差額を計上する問題の場合で、備品Bについては年度途中から購入し、月次決算で減価償却を行っていないという設定でしたが、もし、備品Bについて9月の月次決算から減価償却を行っていた場合は、どのような計算になるのでしょうか?

 備品Bの減価償却年間見積額は¥90,000でした。これを12か月で割ると、1か月あたり¥7,500となります。

 従って、備品Bの既減価償却計上額は、9~2月の6か月間分で計算すれば算出できることとなり、¥7,500×6=¥45,000となります。

 よって

年間見積額の合計¥76,500(¥24,000+¥52,500)-既減価償却計上額の合計¥67,000(¥22,000+¥45,000)=¥9,500

となり、決算月の減価償却費は¥9,500となります。

(備品Aの1か月当たり¥2,000+備品Bの1か月当たり¥7,500で計算することも可)


***


「どうも~作者の剣世炸です」

「2019年の日商簿記3級改訂に伴う17のエピソードはいかがでしたでしょうか?」

「今回の改訂で、日商簿記3級の内容に大幅なメスが入ったことになりますが、リアル(現実)に近い簿記の形となったことも、紛れもない事実です」

「是非、これらのエピソードをご参考にして頂き、日商簿記3級にチャレンジして頂ければ幸いです」

「尚、今回の改訂で新たに追加となった『決算整理後残高試算表』については、市販されている問題集等をご確認頂き、解き方を学んで頂ければと存じます」

「この後、巻末附録として日商簿記検定3級仕訳単語帳をを掲載させて頂きます」

「仕訳の練習にご活用頂ければ幸いです」

「それでは、また!!」


巻末附録 に続く

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