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美琴 Accounting!! 簿記の基礎知識講座  作者: 剣世炸
3級商業簿記編
46/74

★chapter40 「証ひょう」って何!? その1

 ある日の部活終了後…

”カリカリカリカリ…”

「……頑張っているみたいだな!!」

「煉先輩!そうなんです。改訂されたばかりの日商簿記検定を、今度受験することになっていて…」

「そうなのか…で、勉強は順調なのか?」

「それが…証ひょうの問題で、ちょっと引っ掛かってて…」

「ああ、あの現実でやり取りされている書類を見て、仕訳を記入しろって問題だな」

「それです!会社が二つ書いてあったり、普段目にすることのない証ひょうだったりするもので、答えを見れば理解できるんですけど…」

「なるほどな…それじゃ、俺が今教えようか?」

「はいっ!ぜひお願いします。それじゃ早速…」


問1 当社は運送会社より次の今月分の請求書を受け取り、即日普通預金口座から振り替えて支払った。尚、請求額全額が当社負担の引取運賃であり、仕入れの都度、仕入原価に加算し、引取運賃分は未払金として処理している。

挿絵(By みてみん)


「普通に考えれば、請求書の中に『発送費』と書かれていますから、『発送費』を使うんでしょうけど、問題文に『当社負担の引取運賃』って書かれているし、何か『未払金』なんて勘定科目も出てきているしで…」

「なるほどな。確かにこの問題は少し厄介な問題だな。まず、問題を解く前に『仕入れの都度、仕入原価にに加算し、引取運賃分は未払金として処理している』の部分を考えてみよう。この会社では、仕入れた時に…


(借方(左側))仕入    11,000

        仮払消費税    880


(貸方(右側))買掛金   10,800

        未払金    1,080


のような仕訳をしているということになる」

「……ああ!未払金の部分が引取運賃の部分ってことですね!で、それを運送会社がまとめて請求してきたってことですか?」

「そういうこと。日本の会計基準では、費用は『発生主義』、収益は『実現主義』で計上することが原則になっている。故に、運送会社に払うべき引取運賃部分は、仕入れた都度『仕入』の中に入れているという訳さ。だから、今回の請求書の問題の場合、未払金を払ったという仕訳をすればいい。つまり…


(借方(左側))未払金 108,000



(貸方(右側))普通預金108,000


という仕訳をすれば良いのさ」

「なるほど!消費税の分も、仕入れた時に『仮払消費税』で処理済というところもポイントですね!」

「そういうこと」

「で、次なんですが…」


問2 ABC物産より次の納品書と共に、商品を受け取った。

挿絵(By みてみん)


「これは、うちのお店は『XYZ商事』ってことですよね…だから、問題文の通り商品を受け取った訳だから…


(借方(左側))仕入    270,000

        仮払消費税  21,600



(貸方(右側))買掛金   291,600


ってことですか?」

「正解!良くできました!」

「やったぁ!!」

「それじゃ、これが『ABC物産の仕訳をしろ』って問題だったら?」

「…この仕訳の全く逆の仕訳をすれば良いんですよね…ということは


(借方(左側))売掛金   291,600



(貸方(右側))売上    270,000

        仮受消費税  21,600


っていうことですね!?」

「その通り!俺に教えてもらわなくても、できてるじゃないか!」

「(だって…それは先輩とお話がしたいって口実で…)」

「えっ!?何か言ったか?」

「いえ、何でもありません!次の問題もお願いします!!」


問3 郵便局より郵便切手を購入し、代金は現金で支払い、郵便切手と次の領収書を受け取った。

挿絵(By みてみん)


「これは…先輩に聞くまでもない問題ですね。


(借方(左側))通信費 5,400



(貸方(右側))現金  5,400


で決まりでしょ!」

「……美琴…左下をよ~く見るんだ」

「………あ゛あ゛!!こんなところにも『消費税』の文字が!!ていうことは…


(借方(左側))通信費   5,000

        仮払消費税   400



(貸方(右側))現金    5,400


ていうことですね!」

「そういうことだな。もし、問題文に『税込経理方式で仕訳をしている』のような言葉が出てきた場合は、消費税のことを気にせず、金額だけで考えれば良いんだがな」

「そうなんですね…同じ問題でも、経理の方式によって仕訳の問題の答えが変わるなんて、ちょっと大変ですね…」

「ああ。だから、問題文をよく読んで、消費税のことを考える必要があるのかないのか、確認する必要があるってことさ」

「そうですね!!」

”キーンコーンカーンコーン…”

「煉君に美琴さんじゃないですか…もうすぐ完全下校の時間ですよ」

「若林先生、すみません。先輩に簿記を教えてもらっていたもので…」

「美琴…まだ俺に聞きたいことがあるんじゃないのか?」

「はい………先輩、この後予定って何かありますか?」

「いや、とくにはないが…」

「それじゃあ、この続きのレクチャー、駅前のカフェでお願いできませんか?」

「分かった」

「二人とも、勉強熱心なことは感心ですが、あまりお家の人に心配を掛けないようにして下さいね」

「分かりました」

「親には、帰りが少し遅くなると連絡するようにします」

「それがいいでしょう。気を付けて帰って下さい」

「はい」

「若林先生、さようなら」

 こうして二人は、レクチャーの続きを駅前のカフェですることにしたのだった。


chapter41 に続く


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