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美琴 Accounting!! 簿記の基礎知識講座  作者: 剣世炸
3級商業簿記編
27/74

chapter22 「租税公課」って何!?※2019年度日商簿記検定3級より、店主負担の税金の引出金処理については削除

「ありがとうございましたぁ~またお越し下さいませぇ」

「…美琴ちゃん、随分とまた奮発したね…」

 店員さんが発行した領収書の金額を見て紗代が呟く。

 領収書の金額欄には「53250円」という金額が記入され、割印が押印された収入印紙が貼付されていた。

 私と紗代は、この前訪れたショッピングモールを訪れていた。

「この日のために、お年玉やらたま~にやる短期のバイト代やら、お小遣いやらを貯めていたからね♪」

「良かったね!美琴ちゃん!」

「うん!それにしても、領収書に貼ってある200円の収入印紙、何だかもったいない気がするなぁ…」

「私たちが領収書をもらったところで、猫に小判だからねぇ…」

「でも、お店としては、例え相手が100%使わないって分かっていても、領収書には収入印紙を貼らなきゃ!なんだったよね…」

「この前の「ビジネス基礎」の授業で、郷中先生が言ってたよね…」


***


「…という訳で、お店は代金を預かった証として「領収書」というものを発行します」

「また、5万円以上の金額の領収書を発行する場合は、金額に応じた「収入印紙」を貼ることが、印紙税法により義務付けられています」

「5万円以上100万円以下で200円、100万1円以上200万円以下で400円、といった具合に、領収金額が上がるほど、収入印紙の金額も上がっていきます」

「まぁでも、私たちが普段の生活で目にする収入印紙は200円のものでしょうね…家や高級車を購入する際には、もっと高額の収入印紙を目にする機会もあるのでしょうけど…」

「先生は、プライベートで高額な収入印紙を目にしたことあるんですか?」

「さぁ、どうでしょう!?皆さんのご想像にお任せします♪」

「あっ!先生、逃げた~」

「先生みたいな美人な人なら、高額な収入印紙を目にする機会もありそうだけどなぁ~」

「はいはい!おしゃべりはそこまで!ちなみに、収入印紙を貼り忘れると、本来の印紙税額の3倍もの過怠税が課せられます。特に、今コンビニやスーパーでバイトしている人は気をつけること!」


***


「「5万円未満の領収書なら、収入印紙の貼付は不要」ってのがミソだよねぇ。でも、収入印紙って、どこで手に入れることができるんだろう?」

「収入印紙は「郵便局」や「コンビニ」で購入できるみたいね。ほら、簿記の問題でも出てきたじゃない!「郵便局で収入印紙2000円分と切手1000円分を購入し、代金は現金で支払った」みたいな!」

「やったやった、その仕訳。収入印紙は「印紙税」を払ったことになるから「租税公課」を使って処理するんだったよね」

「さっきの例の場合…


(借方(左側))租税公課2,000

        通 信 費1,000



(貸方(右側))現  金3,000


って仕訳になるんだったよね~」


「収入印紙と切手って、姿形は似ていても、性格は全く違うものだから、注意しないと…」

「租税公課については、この前戸山先生が授業で熱く語ってたよね…」


***


「「租税公課」の「租税」というのは国や地方に収める「税金」のことで「公課」というのは租税以外の賦課金や罰金などで課せられる公の金銭負担のことを言い、これらを併せて簿記では「租税公課」という勘定科目を使用するんだ!」

「先生!具体的に「租税公課」を使用するものには、どんなものがあるんですか!?」

「税金で該当するのは「個人事業税」「固定資産税」「不動産取得税」「自動車税」「登録免許税」「印紙税」などだ」

「税金以外で該当するものとしては、商工会議所や同業者組合などの会費や組合費などがこれに当たる。だが、検定の問題ではほとんど出題されないから、主にさっき挙げた税金を支払った際に「租税公課」を使うと覚えておくように!」


***


「店主の住民税や店主が住んでいる部分の建物に対する固定資産税は、租税公課の対象にならないのがミソだよねぇ」

「店主が住んでいる部分の税金を含めて、店が固定資産税を支払った場合、店主居住部分は「引出金」を使うから…


(借方(左側))引出金

        租税公課



(貸方(右側))現金


って仕訳になるんだったよね」

「紛らわしいけど、実際商店街とかは、1階が店で2階が住宅なんて店も多いから、そういう仕訳をすることも多いんだろうね」

「このモールの店じゃ、そういうことはなさそうだけどね♪」

「そうだよねぇ。モールに住んでいる人なんていないだろうし!さぁ、紗代!買い物続けよう!!」

「えっ!美琴ちゃん、まだ買うつもり…」

「当たり前じゃない!さぁ、貸しロッカーに今買ったものを預けて、次行ってみよ~」

「はいはい!今日はどこまでもお付き合い致しますわよ♪」

「ありがとう!紗代~」


「…あの子たちの言う通りだわ…そろそろお家のふかふかベッドで寝たい…」


 …一見華やかに見えるショップ店員さんも、裏では苦労しているかも知れませんね…


chapter 23 に続く

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