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美琴 Accounting!! 簿記の基礎知識講座  作者: 剣世炸
3級商業簿記編
20/74

chapter16 「貸倒引当金」って何!?

「う~ん、どうしようかな…」

 ある日の部活終了後、私は一人悩んでいた…

「美琴、どうしたんだ?眉間にしわなんか寄せて…」

「煉先輩!さっき、若林先生から「PC検定の文書作成を受験するなら、2級と3級両方受験しておいた方がいいぞ」って言われたんです」

「商工会議所がやっているパソコンの検定試験だな。美琴、興味があるのか?」

「部活で入力の早打ちは鍛えていますし、情報処理の授業で文書作成の方法は勉強していますから、学校でのパソコン系の検定とは別口で取りたいなぁ、なんて思っていて…」

「なるほどな。検定料は高くなるし、高い方の級に合格できた場合、低い方の級の受験料は無駄になるかも知れないけど、高い方だけ受験して不合格だった時に悲しいからな…「引当金」を設けるつもりで3級も受験した方が良いと思うぞ!」

「「引当金」?「貸倒引当金」のことですか?」

「まだやってなかったかな…」

「いえ、この前の戸山先生の授業でやるにはやったんですけど「設定の仕方」だけ教えてもらっただけで「貸倒引当金」が何なのか、までは教えてもらってないんです…」

「なるほど…ちなみに、戸山先生の授業で「貸倒引当金」の額を計算する時、何を基準にしていたか覚えているか?」

「はい!「売掛金」を基準にしていました!!」

「その「売掛金」と「受取手形」「貸付金」の期末残高に対して設定されるのが「貸倒引当金」だ」

「えっと…「貸し倒れ」のための「引当金」ということですよね?貸していたものが倒れる…そうか!「倒産」か!!貸していたものが倒産でもらえなくなったときのための「引当金」ということですね!!!」

「そういうこと。受取手形と売掛金、それに貸付金は「資産」ではあるけれど、相手の会社が「倒産」してしまうと、お金はもらえなくなるよな」

「会社が倒産するということは、資産よりも負債が多い状態のはずですよね…そんな状態で、お金が回収できるとは思えませんね…」

「例えば、売掛金500がある相手の会社が倒産した時に「引当金」を設定していないと…


(借方(左側))貸倒損失500



(貸方(右側))売掛金500


といった仕訳をすることになる」

「だが、もし「貸倒引当金」が100あった場合には…


(借方(左側))貸倒引当金100

        貸倒損失400



(貸方(右側))売掛金500


という仕訳になる」

「引当金のお陰で「貸倒損失」が100減ってますね♪」

「貸倒引当金の設定は、通常「決算」で行われる。貸倒引当金を設定した時の仕訳は…」


「(借方(左側))貸倒引当金繰入


 /


 (貸方(右側))貸倒引当金


ですよね」

「「○○○繰入」というのは「○○を設定するために費用にしました」って意味があるんだ。つまり、売掛金500が回収できなくなった際の費用「貸倒損失」500のうち、100を前の会計期間の成績に負担してもらうことができた、ということになるんだ」

「なるほど!「回収できなかった時のリスク」を「貸倒引当金」を設定することで分散させることができるんですね」

「ちなみに、貸倒引当金は「負債」に属すると聞きました。「負債」って、会社にとって嫌なものですよね…でも「貸倒引当金」って、会社にとって悪いものではない気がします。なぜ「負債」に分類されるんですか?」

「確かに、貸倒引当金は会社にとって悪いものではないよな…ちなみに、貸倒引当金ってどうやって設定した?」

「売掛金・受取手形・貸付金を基準に、定められた割合で計算をして設定しました、よね」

「そう。つまり、売掛金・受取手形・貸付金のうち「この位は返してもらえないかも知れない」って評価をした、ということだよな!」

「確かに、そういうことになりますね…」

「だから「貸倒引当金」は「売掛金・受取手形・貸付金」をマイナスに評価した勘定科目、別名「評価勘定」と呼んでいて、資産をマイナスする勘定科目なんだ。便宜上「負債」として扱い、全経3級の貸借対照表では「負債」の一部として記入されるけど、日商3級や全経2級の貸借対照表では、売掛金や受取手形から貸倒引当金を差し引いた形で表示することになっているんだ。」

「「評価勘定」か…それは戸山先生の授業では言ってなかったなぁ…」

「いきなり「売掛金を評価している「評価勘定」なんだ」なんて説明しても、多くの人は最初理解できないだろうな…だから、最初は「負債」と教えておいた方が、処理の仕方を理解できる、ということだな!」

「「負債」は増やしたら、貸方、つまり「右側」に記入しますからね。確かに「負債」と教えられた方が「右に書いたら増える」と理解できますね!」

「それから、貸倒引当金を決算で設定する時の注意として「残高がある場合は、見積額から残高を差し引いて繰入額にする」というのがあるな」


「差額補充法」ですね。「差額」を「補充」する方法ですから


見積額-残高=繰入額


という式で算出するんですよね」

「ご名答。上位級になると「洗替法」という方法も出てくるけど、今は「差額補充法」をしっかりと理解してくれ」

「はいっ!分かりました!!」

「という訳で、美琴は3級を引当金として設定した上で、PC検定の2級を受検した方が良いと思う。」

「うぅ…お金もなくなるし、微妙に内容が違うから両方勉強しなきゃですが、頑張ってみます!」

「俺は、一応その検定の1級を取得しているから、何か分からないことがあれば簿記みたいに聞いてくれ!」

「はいっ!ありがとうございました!!」


chapter 17 に続く

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