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美琴 Accounting!! 簿記の基礎知識講座  作者: 剣世炸
3級商業簿記編
15/74

chapter12 「立替金・預り金」って何!?

「もう、年収が100万円を超えるはずないのに、税金が取られてるなんて…」

 ある日の部活開始前、お姉が何か紙を見て文句を言っていた…

「どうしたの?お姉?」

「先月、クラスメイトから「のっぴきならない用事ができちゃったから、代わりにバイト入ってくれない?」って言われたから、日曜日に1日だけバイトに入ったの、覚えてる?」

「確か、その友だちの親がやってるスーパーだったよね?」

「それよそれ。で、そのバイト代が今日振り込まれるからって、その友だちから給料明細をもらったんだけど、これを見てよ!」

「………総支給額¥8,000 所得税控除¥816 純支給額¥7,184…あっ、所得税が取られてる!」

「そうなの!私が調べたところ、私はお父さんの扶養に入っているから、私が給料をもらっても「基礎控除」っていうのが適用されるの。そして、給料をもらっている人は誰でも最低65万円の給与所得控除を受けられるらしくて、これと基礎控除の38万円を足した、合計103万円までなら、給料をもらっても所得税はかからないらしいの」

「お姉、そこまでよく調べたね…」

「まぁ調べたといっても、けやき商で税法を教えている鵜野先生に聞いただけなんだけどね…いずれにしても、私は基本的にアルバイトはしない主義だから、年間103万円を超える所得なんてあり得ない訳!「確定申告」をすれば今回天引きされた所得税は戻ってくるらしいけど、800円位の話で、確定申告っていうのも、ね…」

「確かに…確定申告って、面倒臭そうだもんね…ところで、お姉の給料から天引きされた「所得税」って、確かに簿記では「所得税預り金」として処理されていたよね…」

「そうね。今回の私の給料支給で、スーパー側は


(借方(左側))給料8,000



(貸方(右側))所得税預り金 816

        当座預金  7,184


っていう仕訳をしているはずよ」

「ちなみに、検定や試験の問題で勘定科目を選ぶ時「所得税預り金」という勘定科目が見当たらない場合は、ただの「預り金」を使うわ!」

「で、その所得税を店側が税務署に納めた時は


(借方(左側))所得税預り金816



(貸方(右側))現金816


って仕訳になるんだよね!」

「そうね。それから、お店が従業員の保険料を立て替えて支払った時に、給料からそれを天引きすることがあるわね」

「「従業員立替金」っていう奴ね。例えば、お店が今月の従業員の生命保険料¥1,000を立て替えて支払った場合は…


(借方(左側))従業員立替金1,000



(貸方(右側))現金1,000


という仕訳だったはず」

「そうね。で、その立替払いしていた生命保険が私のだった場合、給料から天引きされる訳だから…


(借方(左側))給料8,000



(貸方(右側))所得税預り金 816

        従業員立替金1,000

        当座預金 6,184


となるわね」

「所得税預り金と同様、もし仕訳の問題で従業員立替金が選択肢の中になかった場合は、ただの「立替金」を使うわね」

「いずれにしても「給料」を8,000円支払ったことに変わりがないことが、仕訳をする際のポイントになりそうね」

「そう言えば、去年戸山先生が「給料の支給総額は変わらないって教えているのに、預り金や立替金を差し引いて給料を書いて、結局左と右が一致しない仕訳を書く生徒が多いから気をつけろ!」って言ってたっけ…」

「それ、この前私の授業で戸山先生が言ってたよ!確か「貸借一致の原則」って言うんだったよね」

「「仕訳では、必ず左と右、即ち貸借は一致する」って、去年教え込まれたわ」

「私は今教えてもらっている最中だけど、気をつけよ~っと」

「それにしても、この「816円」は、どうにかならないかしら…」

「お姉…あんまりケチ臭いこと言ってると、友だち無くすよ…」

「「ケチ」じゃなくて「倹約」と言って!仕方ない。面倒臭いけど、来年になったら「確定申告」するか…」

「(「816円」のための確定申告か…確かにやらないのはもったいないけど、それを検査する税理士さん、可愛そう…)」


 金額はともかく、誰かの扶養に入っている人は、1月1日~12月31日の1年間に103万円を超える給料を稼がなかった場合、12月の年末調整で発行される「源泉徴収票」を基に確定申告書を作成し、翌年2月16日以降に所得税の「還付申告」を行えば、申告書を提出してから1か月程度時間を要するものの、給料から天引きされた「所得税」を取り戻すことができます(還付申告の場合、一般的に言われている確定申告の期限を過ぎても受け付けてもらえるので、期限を過ぎたら確定申告を受けらない、ということはないそうです)


 また、企業等で年末調整を受けている場合でも、自分と一緒に住んでいる家族が1月1日~12月31日に支払った「医療費」の合計が10万円を超える場合、確定申告を行うと「医療費控除」を受けられ、支払った所得税の還付を受けることができます。


 対象になりやすいのは、子どもが生まれて、健康保険から支給される「出産育児一時金」から足が出た分の医療費です。


 最近ではインターネットで還付申告を行うこともできるので、給料をもらっている人は、所得税の還付を受けられそうなら、確定申告にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?


 chapter13 に続く

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