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美琴 Accounting!! 簿記の基礎知識講座  作者: 剣世炸
3級商業簿記編
12/74

chapter10 「仮払金・仮受金」って何!?

 ある日のパソコン部の部活終了後…

「今日も疲れたねぇ~」

「そんなこと言って、美琴ちゃん。結果は絶好調だったじゃない!」

「まぁ、そうなんだけどさ」

「そう言えば、この前の日曜日に椚商業でやった練習試合の時の領収書、今日が提出期限だったよね」

「500円までだったら、学校がお昼代を出してくれるって、あれだよね?」

「それそれ。美琴ちゃん、無くしてない?」

「大丈夫!財布の中に折り畳んで入れてあるから」

「「領収書と現金を引き換え」ってことだけど、マネージャー長の鳳城先輩、その準備で大変そうだよね…」

「消費税のせいで、¥500ピッタリな領収書を持ってくる人は少ないからね。¥500を先に渡して、領収書とおつりを返すじゃだめだったのかな?」

「美琴!いいところを突いたな!」

「煉先輩!」

「部長!いい所を突いたって、どういうことですか?」

「美琴たちは、簿記の授業で「従業員の出張に際し、旅費の概算額を渡した」なんて仕訳を習っていないか?」

「はいはい!それやりました。従業員が出張先で交通費や食事代、宿泊代をいくら使うか分からないから、大体の金額を仮に払っておくって、あれですよね。概算額を仮に払った時は…


(借方(左側))仮払金



(貸方(右側))現金


って仕訳になります♪」


「従業員が出張から戻って、領収書に基づいて旅費が確定し、現金を返された時は…


(借方(左側))旅費交通費

        現金



(貸方(右側))仮払金


って仕訳でしたよね」


「その通り。今回、鳳城は遠征する部員分の500円玉を用意できなかったから、後日、領収書と引き換えに現金を渡すってことにしたらしいけど、本当は、簿記の「仮払金」の処理みたいに、先に概算額である¥500を渡して、おつりと領収書を後から回収するって方法にしたかったらしい」

「私たちが考える以前に、鳳城先輩も考えていたんですね」

「簿記には、仮払金に似た勘定科目で「仮受金」っていうものもありますよね」

「「仮受金」は、「仮に受け取ったお金」のことで、従業員が出張中にお金を送金してきたんだけど、そのお金が何なのかが分からない時に使用する勘定科目だな」

「携帯電話を持っている人がほとんどの現代で、そんなことってあるんですか?」

「ないとは言い切れないだろうな。「暇つぶしでゲームやり過ぎて携帯の電源が落ちてて、充電もできない。近くに公衆電話やコンビニもない。やっと見つけた頃には会社の営業時間が終了していた」とかね」

「美琴ちゃんも、スマホ使い過ぎて、部活の時間の頃には電源落ちてること、多いよね…」

「ちょっと紗代…余計なことを…」

「(美琴の携帯って、確か先月出た最新型のはず…どんな使い方したら部活前に電源落ちるんだ…)」

「と、とりあえず、私の携帯の話はいいとして、とにかく、何らかの理由で従業員が出張中にお金を送ったけど、それが何なのかを伝えられなかった時に使うってことですよね。従業員が当座預金に入金したとすれば


(借方(左側))当座預金



(貸方(右側))仮受金


って仕訳でしたよね」


「従業員が連絡をよこして、当座預金の入金が例えば売掛金の回収だったと判明したときは


(借方(左側))仮受金



(貸方(右側))売掛金


って仕訳になります」

「2人とも、仮払金と仮受金の処理は完璧だな」

「ちなみに、決算の時は「仮」と名のつく勘定科目は、例外なく0にするから、仮払金と仮受金も原因をはっきりさせて、残高は0にするぞ。決算で、会社の成績が出る時に「とりあえず」は通用しないからな」

「確かにそうですよね。「とりあえず」が通用するなら、簿記で成績なんて出す必要ないですもんね」

「そういうことだ」

「…」

「…そう言えば、美琴はまだ遠征の時の領収書、精算してなかったんだよな…」

「はいっ。財布の中に折り畳んでありますけど、それが何か?」

「………………………………………………」

「(無言と視線の圧力が…)」

「煉先輩!?」

「どうやら困っている人がいるみたいだから、その領収書、早く精算した方がいいと思うぞ…」

「???」

「…」

「???」


chapter11 に続く

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