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美琴 Accounting!! 簿記の基礎知識講座  作者: 剣世炸
3級商業簿記編
11/74

chapter09 「固定資産と減価償却」って何!?

「う~ん…こまったな…」

「あっ、尾沢先生だ!」

「何だか青ざめているけど、どうしたんだろうね?」

 このイケメンの先生は尾沢先生。けやき商の体育の先生なんだけど、出身は私たちと同じ商業高校で、高校時代「主席」で卒業するほど、いろいろな資格を取得したらしい。

「尾沢先生!どうしたんですか?」

「1Aの嶋尻と三枝か」

「先ほど、何だか青い顔をされていたみたいですけど、どうしたんですか?」

「最近「一戸建て」を新築で購入してね。そこまでは良かったんだけど、今月末に「固定資産税」の支払いが迫っているのをすっかり忘れていたんだよ…どこから捻出したものやら…」

「自宅を購入すると、ローンの他にも固定資産税を支払う必要があるんですね…」

「そうなんだ…ところで、戸山先生の簿記の授業で、もう「固定資産税」は出て来たんじゃないか?」

「はい。納税通知書を受け取った時には…


(借方(左側))租税公課



(貸方(右側))未払金


って処理をしておいて、実際に支払った際には…


(借方(左側))未払金



(貸方(右側))現金


って仕訳をすると習いました!」


「さすがパソコン部の希望の星!簿記のこともしっかり分かっているようだな!」

「それにしても、固定資産税って「建物」や「土地」に対して支払う税金のことですよね?」

「その通り。税金が必要な「固定資産」を持っていると支払わなければならない税金のことだな!」

「そこまでは理解できるんですけど、そもそも「固定資産」って、どういうルールで「固定資産」に分類されるんですか?「建物」や「土地」は、地面に固定されているから「固定資産」だということは分かりますが、これ以外にも簿記上で「固定資産」に分類されるものって、きっとあると思うんです」

「そうだよね!パソコンを売却した時に、損しちゃった時には「固定資産売却損」勘定を使うことになってるし…てことは、パソコン、つまり「備品」も「固定資産」ってことだよね…」

「ちょっと難しい話になるけど、簿記には「ワンイヤールール」別名「一年基準」というルールがあって、決算日の翌日、つまり「期首」から通常1年以内に動きがあるかないかで、資産と負債を「流動」と「固定」に分類して考えなければならないことになっているんだ」

「1年以内に動きがあるものを「流動資産」「流動負債」に分類して、1年以上動かないものを「固定資産」「固定負債」に分類するってことですか?」

「その通り。パソコンや机・椅子といった「備品」は、普通1回買ったら数年間は売却なんかしないで使うものだろ?「土地」「建物」「車両」だって、普通1回購入したら、数年間は使うよな。だから、これらのものは「固定資産」になり、これを売って損したら「固定資産売却損」、逆に得したら「固定資産売却益」を使うって訳だ」

「私たちが今まで勉強した範囲で、負債は「買掛金」と「借入金」しかありません。この二つは「流動負債」に属するんだと思いますけど、逆に「固定負債」ってものは存在するんですか?」

「3級には出て来ないんだが、例えば「3年先に返済する予定の借入金」なんかは、「長期借入金」として「固定負債」に分類したりするな」

「なるほど!1年以上先に返済する予定だから、ただの「借入金」ではなく「長期借入金」を使うってことですね!」

「そういうこと。それから「固定資産」と言えば「減価償却」は習ったか?」

「はい。決算の際に「土地」以外の固定資産の価値を強制的に減らす作業ですよね」

「「価値を減らして償却(費用に)しました」つまりは「減価償却費」を計上する処理だな」

「システムは理解してるんですけど、何でわざわざそんなことするんですか?」

「それは、将来固定資産を売却したり、処分した際に発生する費用を少しでも減らすためだな」

「もし、減価償却を行わないで数年後にパソコンを売却したらどうなると思う?」

「えっと、パソコンって、使い出したら普通半値以下の価値になっちゃいますよね…それを数年間使用した後に売却する訳だから…っていうか、数年も使用したパソコンって、お金になったりするんですか?」

「恐らくは「お金」にはならないだろうね…」

「そうなると、そのパソコンは「処分」することになる訳で、でも減価償却しなければ「備品」として処理しているパソコンの値段はそのままだから…すごい金額の「固定資産売却損」が発生することになりますよね…」

「そういうことさ。だから、決算の度に「減価償却」を行って、売却や処分時に発生するであろう将来の「費用」を、使用した会計年度毎に少しずつ負担していこうって訳さ!」

「尾沢先生!戸山先生に負けない位、簿記の教え方上手ですよね。体育の先生よりも「簿記」の先生の方が向いてるんじゃないですか?」

「いやいや。俺は「体育」の先生になるのが夢だったから、さ」

「そうなんですか…」

「でも先生!また「簿記」のこと、私たちに教えて下さい!」

「そうだな。機会があれば、また。ところで、嶋尻。この前見学した時にできなかった「持久走」はどうなった?まだタイムとかのレポートを受け取っていないんだが…」

「えっ…先生、やっぱりやらなきゃですか…」

「そりゃそうだろ!俺は今日の放課後は特に用事ないから、ジャージに着替えてここに集合な!」

「ふえ~ん…尾沢先生の意地悪…」

「美琴ちゃん!ファイト!!」



 chapter10 に続く

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