憧れからのギルドという響き
名前が『メイオウ』に決まってしまった。
俺の名前なんてどうにでもなるの、だからメイオウで充分。
フェルセが、機転を効かせたらしい?
今の状況なだけに、冒険者達に俺を紹介してくれたんだが……。
俺自身は、異世界ぽいカッコイイ名前考えてくれても良いのに、そのまま紹介されたのが複雑だけど、メイオウサマで無くて良かったよ。
そういえば、ハデスやらプルートなどは、人間界である地球に降りた時、その名を付けられてしまったんだよね。
神界などでは、ごく普通に冥王で通っているけど、俺だけ名前がバラバラだ。
「みんな。 こちらの方の名は、メイオウさんだ」
紹介されたので会釈をする。
するとリーダーの剣士が、前に出てきて俺とフェルセに、自己紹介をしたきた。
「俺たちのチーム【ロースター】でリーダーをやってる、フォルクスです。 フェルセさん、メイオウさん、よろしくお願いいたします」
剣士兼リーダーのフォルクスさん。
焦げ茶色した髪を整え、少し顎髭がある凛々しい顔立ちの男性。
防具は、動きやすさを重視した装備だ。ショートソードを腰に携ている。
ナイスガイな男性でリーダーと言ってもいい佇まいだ。
戦士のマラダイさん。
髪は金髪にスゥっと通った鼻に整った顔立ち、いわゆるイケメン。
防具は、フォルクスさんよりも少し動きにくそうに見える。背中に少し刃渡りが大きいそうな戦斧を背負っている。
身長は、リーダーのフォルクスさんと同じぐらい
斥候のマイクさん。
少年のような背丈だが、マラダイさんと同じ歳で、人間とホビット族のハーフ。
装備は、斥候というのもあり軽装備。
神官のライカさん。
マイクさんと背丈は同じの女性。
髪は少しウェーブがかかった金髪のロング。 和やかで少し幼い顔立ちだ。防具も白を基調としたローブだが、腕や臑など金属製の防具を装備しているのが見える。そのライカさんは、神官という事もあり、治癒魔法や神聖魔法が使えると言っていた。
そして、最後に魔法使い兼サブリーダーのダナーさん。
最初挨拶の前は、深くフードをかぶっていて顔が見えなかったが、挨拶の時に脱いで顔を見せてくれた。
その顔は、坊主頭に少し垂れ目なのだが、リーダーのフォルクスさんと同年齢だろうと、思わせるような凜々しい顔立ち。
ダナーさんは、攻撃魔法や補助魔法を扱うと言う。
このロースターというチーム、バランスの良さそうなチームだなぁと、ロースター五人全員が、出発の準備に取りかかり手際のよい動きだったからだ。
しばらく経った頃、商人の馬車や荷物に被害が無かったので、直ぐに出発する事ができた。
「まさか、本物ですよね? 双翼のフェルセさんに出会えるなんて」
神官のライカさんが、嬉しそうに声高々に話してきてる。
そんな中、フォルクスさんが俺に声を掛けてきてくれた。
「女性達の会話でフェルセさんの話はよくでるんですよ。 美人だし、攻撃している時の剣の扱いや動きがキレイで流れるようだと噂があって、さっき本物見たら見とれて鳥肌もんですよ」
そう言えば、フェルセが、戦うところ見てなかったけど。
仕方が無い。
初めての戦闘で俺自身が、舞い上がってしまったから。
まぁ、そのうち見れるからいいか。
と、思いながらもこの先の事に気が行ってしまう。
「この先の街の名前ってなんですか?」
「プルーフだよ、王都に比べれば小さいけど結構、流通が盛んな所なんだよね」
斥候のマイクさんが、答えてくれた。
ニコニコしながら神官のライカさんが、唐突に質問をぶっ込む。
戦士のマラダイさんも、それに乗っかってきた。
「ところで、フェルセさん。 メイオウさんとどんな関係?」
「俺も聞きたかったよ。 草原の中から来たから不思議で」
フェルセは、少しうつむいて話だす。
「冥王さまは、由緒正しい貴族で、階級は言えないんだけど。 その家系では、冒険と戦闘など様々な経験を積んで行くのが、習わしなんですよぉ。 そこで、一人で行かせるわけ訳には行かないから、私に依頼がきたの」
俺は、心の中で勝手に着いてきたんだろと突っ込んでいたが、それにしても作り話は、上手いと感心。
「やはりそうかぁ。 そうですよね。 とうてい貴族護衛の依頼なんてな。 俺達にはムリだよな。 やっぱり……。 ランクがAですね」
ランクA?。
冒険者?
俺はフェルセを見る。
なんでランクあるってもしかしてと心踊らせながら聞いてみた。
「冒険者にランクなんてあるんですか? まだ、なんにも知らなくて……」
こっちに来る前に冒険者やギルドが、有るのは知ってた。
だけど、ランクなんてある事知らなかった。
「最初は、ランクEからで、数多くの依頼をこなして実績を残し、ランクをあげていくんですよ」
「でもアレですよね。 最初は高ランクの人達と一緒に護衛の手伝いしたり、地道に採取の仕事を実績を積んでいかないとなぁ」
剣士フォルクスさんに続いて戦士のマラダイが説明を付け足すように教えてくれる。
「一応この後、冒険者ギルドに向かおうと思ってるんですよ……。 そう、冥王さまは、冒険者なりたいと言ってましたよね?」
フェルセは、それが必然という目で俺を見て話を進めてきた。
俺は、その言葉に頷いた。
もちろん、冒険者ギルドも楽しみだし、冒険者になるって異世界旅行目的でもある。
「ええ、そうなんですよ。 冒険者って色んな経験を積めるじゃないですか」
ロースター一行は、納得という表情をしながら頷いている
やはり彼らも彼らで、沢山の経験を積んでいるんだと、思い知らされる行動だった。
そんな中、俺はギルドに登録することになった。
だけど、マイクさんの言葉を聞いて、この世界のギルド事情に少し懸念を持つ。
「そうそうメイオウさん。 ギルドって言っても俺達は、冒険者ギルドに入っているんだ。 商人や物を作る人達は、また各々のギルドに入るよ」
色々聞くとギルドという枠組みの中に【冒険者ギルド】と【商業ギルド】・【工業ギルド】などあると言っていた。
【冒険者ギルド】は護衛、採取など依頼を受けたり、警備や警護など治安維持などを受け持つギルド。
所謂、ファンタジーで冒険者という職業があるのならそこに属している人達が、集まる所だな。
【商業ギルド】は、様々な店舗を持ち人たちが集まるギルド工業ギルドや冒険者ギルドから物資を仕入して販売をするギルド。
簡単に言えば商い全般に支援したり、取り締まったりするらしい。
【工業ギルド】は、日常品から特種な物など様々な物を生産、加工する。工場や工房をまとめるギルド。
「でも、倒した魔物を冒険者ギルドに売ったりとか、貴族や旅客便の護衛もお金になるからな」
「命貼っているけどレベルも上がるし、ランクも上がるし。 それでランクも上がれば、色んな仕事増えるからな」
「やはり、そこだよね。 メイオウさんもそこが、冒険者としてワクワクしちゃうところだよね?」
ダナーさんやマラダイも頷きながら話しをしてマイクさんがワクワクした笑顔で俺に言ってくる。
冒険者ギルド……。
そりゃそうだろう。
憧れるから異世界まで転移したんだよね。
ギルドって言う言葉を聞いただけでも、俺はワクワクしちゃうよ。
読んで頂きありがとうございます。
ギルドについて書かせて頂きました。
まだ色々な追加などあると思いますが
後ほどでお願いします。