憧れからの厨二病?
左手に太陽がありそのまま草原をフェルセと共に歩いている。
もちろん、太陽の位置で方位はわからないのは当然地図さえ手元に無いから余計わからない。
歩きながらフェルセに訪ねるのはこれからの向かうところの事。
「なぁ、今から行く町はどんなところか知っているのか?」
「本当によくある、ごく普通の町です。 人族が……チッ 多いですね」
人族のところで小さく舌打ちをしてる。
「人は嫌いか?」
「ええ、知能が高く、言語を用いる存在はキライですよ。 特に
自己中心な魂を持っているやつらですね。 でも一生懸命生きている人は好きですよ」
確かにわがままな魂は、俺でもキライだよ。
この世の理の中で魂の輪廻転生は、スムーズに行わなくてはならない。
少しでも滞るとこの世のバランスが乱れてしまう。
「そうそう。 思い出しただけで、ムカついてくる!!」
フェルセが、トラブルを思い出したかのように呟やきガシガシ歩いている。
確かに現場にいる天使達が、1番大変なのはわかってるつもりだ。
魂の質量と器が同じ位であれば、つまり人から人ならスムーズに転生ができるが、質量と器が違うと転生しにくい。
例えば、人から犬や猫などもしくは象や竜など肉体が大小なるとコレが難しい。何故なら、魂の質量を変えなくてはならないしやり取りが難しい。
だから、人から人へや、犬から犬へと基本近い存在へと転生するのが決まりなのだ。
「小動物たちや言葉を発しない存在とかは、スムーズで楽チンなんですけどね。わがままな発言をした時は、本当にイライラする」
この会話はよく天使達から報告を貰っていた。フェルセもたまに協力をするので、わがまま魂にあたった時の愚痴が始まった。
「なんなんでしょ。この前の魂、希望転生先なんだったとおもいます? 冥王さまは、書類通してるからわかってると思いますけど……」
「もしかして、あの1ヶ月前のヤツか?」
「そうですよ。 [地獄の帝王] に成りたいって言うんですよ。 地獄の帝王って良くそんな発言できるわ。気持ち悪いって思っちゃいましたよ。まさに厨二病じゃないですか」
地獄って冥界の1部なんだが、激しい輪廻転生の業務を担っている。各世界で割り振りされた魂を輪廻転生させる部署なんだよね。
「冥王さまも、ある意味 厨二病ですよね」
フェルセが、手を後ろに組み振り返って笑顔で毒をはいてきた。
俺もフェルセお前もなと思ったが、敢えて口に出さない。
出したら、出したで本当にめんどくさくなりそうだからだ。
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草原を歩いてかなりたった時に、フェルセが、唐突に言ってきた。
「冥王さまは、何でこの世界の地理を少しでも調べなかったんですか?」
「街道に出れば町や村などに着くだろ。旅を楽しもうかと思ってねな」
フェルセがニヤニヤしながら、俺を見て言ってくる。
「もしかして、街道にでたら『助けてぇ~!!』って悲鳴が聞こえて助けに行くテンプレを期待してたんじゃないんですか? 助けた人が、貴族の美人さんとか可愛らし女性とかウハウハしたいなぁーって狙ってたんじゃないんですかぁ?」
「そ、そんな事は全く期待してないぞ!!」
「正直な反応ですよ。 冥王さま、そんな事起きないですから」
「ググゥー。 ぐうの音も出ない……」
「何を、じょうだぁ――――」
『たっ 助けてくれぇー!!』
フェルセが、喋っている途中に、それは突然聞こえてきた。
その言葉の意味は、正にテンプレ通りな感じだが、声の主がテンプレじゃないのだ。
「―――ん 女性の声じゃぁ無かったですね。残念ですね。」
フェルセが、ニヤリニヤリと笑みを溢しながら、俺を見て言ってきた。
「と とにかく、行くぞ。 助けないと」
「ですね。テンプレ通りでは無いけど、はい」
残念だけど、フェルセがいる時点でアウトだけどなぁ。
女性の助けを呼ぶ声が、良かったなぁと少し思って走っていくよ。
読んで頂きありがとうございます。
毎日投稿できると良いのですが、
仕事中は執筆ができないのが残念です。
体調は大事にですね。