憧れからの旅準備
この冥界、実は俺が、この地に来るまで死人の魂が朽ちる時に吐き出される悪臭が、大地を腐敗と荒廃させ、そして悪臭が雲のように浮き上がり、天から差し込む光を遮って冥界は、暗く前も見えないほどに濁りきっていた。
魂が朽ちていく時に吐き出るその臭いは、血の臭いでも無く、食べ物が腐った臭いでも無く、説明がしにくい臭いではあるが、それを思い出すだけで悪寒と吐き気がする。
だが、今は清々しくキレイな青空と、緑が多い茂る大地と、そして道は舗装され建物は近代化をし多種多様なお店が並んでいる。
俺がいつもいて仕事をしてる所、冥界の中心である冥府庁は、行政業務を行うと共に各部署で手に負えない魂の転生などを行っている。この冥府の建物は、冥界の中心であり、それを象徴させる自然と共存をモチーフにしている。エントランスには様々な木や花を植え、建物は鉄筋のガラス張りである。
俺は、頭脳明晰や屈強な魂を冥界の天使と迎え、更に俺についてきた神達と共に力を合わせて冥界をここまでやってきた。
だが、ある時には狂乱と破壊の神アレースから侵略され冥界を粉々にされたりと長い年月を超え、やっと安定の日々が繰り返されて、ついに俺は、長期休暇を得る事ができる。
そして、近頃、ゼウスが管理してる地球にある日本と言う国にあった、ネット小説やライトノベルというのにはまり読んでいた。その小説に描かれている異世界転移やら、転生というのに感銘を受けて自分自身転生は無理だが、転移なら疑似体験でもできるんじゃないかと思ってしまった。
だから遂に、密かに動き回りその異世界転移を体験できる日が来たのだ。
俺は、今コンソールシステムを開いている。
このコンソールシステムは、ラノベに良くあるフルダイブVRMMORPGなどで出てくるメニュー画面と思ってくれれば大丈夫だ。
俺達、冥界の職員はこのシステムでメッセージ送受信や業務管理、スケジュールの確認をしている。
今は他世界の視察用の擬体を作成する為、視察局にある視察運用課にいる。
そう俺の見た目なんだが、神としてコンプレックスが多い。
俺の顔は、目は少し大きく黒目も大きく。鼻はすっとしてて高くもなく低くもなく、唇は薄い。正に様々な神達に童顔やら幼顔と言われる顔なんだよ。
そして体格は、痩せてはいるけど胸板も薄く腹筋なんて割れてないし体毛なんてなく、悲しいのがワキ毛もすね毛も無いってぐらい薄い。もちろんだが下の毛も…… 。
髪は、真っ黒でネコ毛で少し動きのある髪型。
普通、神と言えば筋骨隆々、ムキムキのマッチョ。そして背は高く堂々としているのが殆どなんだよね。会ったとき肉体美の自慢しあっているけど俺は常に片隅にいたし……。
神々の身長も殆ど二メートル位が平均。低い順から並べと言われれば、絶対に俺が一番前になるんだろう。それでも女性の神々より少し高いのだ。
神の顔と言えばホリが深く、まるで洋画の主役を演じる俳優の様な美形。
その顔立ち憧れてた俺は、その神達の顔をじぃーっとて見てたらその神達に気持ち悪がられた時もあったよ。
頭髪は立体的で動きがありカッコよくて、何時も風に吹かれているようなオシャレに纏まった髪型。
周りの神がそんなのばっかりだから、勿論一緒にいると俺だけ弱いだの神っぽくないだの、変な目でみられてしまい、からかわれた時期もあったのだ。
だから今回この異世界転移実現に向けて俺の持つコンプレックス叶える為に、注ぎ込んだ擬体のデザインしてる。
そして、異世界に憧れた瞬間から、常に考えて妄想していた擬体を作成しているのだ。
因みに結構作り込んでいるので、現在は殆ど完成しているけど、向こうに行ってから後悔しないように、念入りに確認し微調整をしている。
俺がコンソールシステムを見ていると、
「あら、フェルセ。 居たの?」
「なっなによ。突然入ってきて! 居るに決まってるじゃ無い。 私、冥王さまの秘書なのよ。ひーしょぉっ」
俺の部屋の前にある秘書室から聞こえる二人の女性の声。二人とも聞いたことある声入ってきた声の主はヘカテ―である。
「まぁ、あなたがいても関係なのだけれども……。」
「か、関係ないって何しに来たか言いなさいよ」
「うるさい! ぺーさん」
「ペーって。 それを言うなっ!」
長い黒髪をなびかせて俺の部屋に入ってるくるヘカテーだが、白いブラウスに黒いパンツと黒いパンプスを履いていた。そんなビジネススタイルのヘカテ―が、席に座っている俺の机に束になった資料らしき物を置いてくる。
「冥王様、この資料に目を通しておいてください。例の件が関係していると思われる記実があります」
「わかった」
ガタッと扉の裏で音がした。ヘカテ―が扉を開くとフェルセが、扉に張り付いていたような体勢で固まってた。
「アハハ……。 失礼しましたー」
「フェ。 ぺーさん」
「だ・か・らっ。ぺーって言うなってー」
ヘカテーは、自分の机に戻ろうとしたフェルセを、蔑んだ目で見下ろしながら迫っている。フェルセは、ペーって言われることをもの凄く毛嫌らっている。
でも、何故フェルセは、ぺーと言われているのかを疑問に思った俺が、二人を見て聞いてみた。
「ぺーは、何でペーと言われてるんだ?」
「そ、それは……」
「この子……。 ゼウスと地球って世界に行った時やらかしたのよ。 『豊穣の女神…… ペルセポネ』って噛んだんですって」
「自分の名前を噛んだのか」
「そうです。 それが広まって……」
ヘカテーは、笑いながら俺にフェルセの失敗談を話している。
フェルセの名前は、フェルセポネなのだが、名前の最初で噛んでしまったんだな。しかも詳しく教えてくれたが、神々しく現れ自己紹介しようとしたら噛んでしまったらしい。
そんなフェルセなんだが、知的で整った顔立ちなんだが、どこかまだ幼顔が残る。
転移当日、待ちに待った決行の日がやって来たのだ。
俺はソワソワしワクワクもしている。
視察運用課にて視察課長[ルルノレ]と会って話をしている。
ルルノレは、天使であり類い稀な知識を持って冥界に助力をしてくれた1人。
金髪でミディアムボブ内巻きカールしたちっこい女性だ。
しかも白衣をきてインナーは変な文字が書いてあるTシャツにスラックスとまるでファッションに興味が無いように見える。
因みに今日の文字は[てつのよろい]だ。
心の中で、ソコに書くならただの[ぬののふく]だろってツッコミたくなる。
「冥王さま、良いんですか?」
「何がた?」
質問に質問で返したけど、何が良いのかわからないけど準備は万全だからな。
「いえ、アイテムボックスに向こうで売っていたショートソードと、これでもかっていう位の大金をいれてます」
「ありがとう」
「そうだ。神器である虚無乃白キ無垢ノ闇はそのままでいいですよね?」
「虚無乃白キ無垢ノ闇かぁ。 そうだな……
そのままで」
「決して向こうで使わないでくださいね。 あんな絶望的な光景なんてイヤですからね」
「使わないだろよ。 あのアレースが攻めてこなければあんな風にならなかったのに」
「そうですけど……。 でも、もうアレースが冥界に攻めてきたり、冥王さまを怒らせる事ないですけどね」
「冥王さま、転送ポットにスタンバってください。準備は出来ているので――――――」
俺は、擬体用の転送ポットに行こうとすると。
「――――――違います。そっちじゃないです。」
「あれ。 こっちじゃぁないのか?」
「あっ、そっち壊れてて。 こっちにプログラム入れ換えてるので、大丈夫ですよ」
なんだかルルノレの声がもどかしくなり目が泳いでいるけど……
「じゃぁ、こっちだな」
俺は転送ポットの中に入り、椅子に座る。ルルノレは、俺が入った事を確認し扉を閉め扉にある小窓からのぞき込んで聞いてくる。
「冥王さま、聞こえますか? そうだ! 神力使う時は、極力抑えて使ってください」
「わかった」
「なんだか妬けますね。 羨ましいですね。 ニッシシシ。 旅行楽しんでください」
焼ける?
妬ける?
「ちょっと――――――」
怪しい言葉を発すルルノレの顔が笑っていた。目にした俺は一時止めて貰おうとするが既に遅かった。
転送は無音。
窓から見えてた光景が揺らいでいく。
その窓からルルノレの横ににフェルセが居て握手をしていたのが見えて暗くなっていった……
続きを読んで頂きありがとうございます。
文章作法に疎いですが、今後も宜しくお願いします。