錬金じゃなくて錬成じゃない?
錬金術は魔法道具を造る為の術なんだけど、
「はじめての方にコレを薦めてるんだけど…」
初心者セットみたいなの出してきて金額を提示してきた。
「まじ?」
フェルセが目が点になってて、店主が申し訳なさそうに言ってきた。
「錬金術をやるより造って欲しい物を工房や工場にお願いする方が安いのよね。」
そりゃそうだな。
150,000オルクだよ。15万だよ。
実はお金なんだけど、冥界でかなり換金したのでお金に苦労はしないんだが…
「冥王さま?買うんですか?えー買えるんですか?」
言い換えしてきたよ。
「やってみたいからな…買うよ。」
店主が、口をあんぐり開けてる。
透明の板が、1枚ありこの上で作業をする。
魔方陣がかかれた板が何枚かあり、その魔方陣1枚1枚にやる工程の術が組み込まれている。
例えば、横回転にかき混ぜる風魔法が組み込まれている魔方陣の板があったり。縦回転にかき混ぜたり、温めたり、冷やしたりするそれぞれ属性の魔方陣の板がある。
テレビや見学で物が造られる工場を見たことがあるだろか?
物が出来上がるまでに流れて工程をこなしている機械があると思うのだが、魔方陣がその機械の役割をしていると考えても良いといえる。
つまり、1人でやるには板を入れ換えをしなくてはいけない。
「あの~」
店主が、ハッとして
「本当に?」
頷きお金を出す。
良く良く考えたらこれ錬金術じゃなくて錬成術だよね。
金造れないよね?
まぁそれは置いといて荷物を受け取り店を後にしたらフェルセが、
「冥王さま、異世界に憧れて何か作りたくなるのわかりますけど、ちょっと痛い人になってますよ。造ってもらうならほとんどと言うか99.9%の人が工房か工場に依頼しますよ。錬金術で造るなんてこの世界ではあり得ないですよ、無い無いですよ。」
痛い人なのか、ヤバいな。でも、物は試しにっていうよね。
何か造るかな。
「このまま宿まで行きますか?ご飯たべに行きます?」
「そうだな、夜、ご飯たべるか」
ーーーーーー
宿にあるレストランでご飯を食べた後、部屋に戻る。
そう言えばフェルセと同室だったんだ。
「錬金術っていうけど良く良く考えたら錬成術だよな?」
俺はフェルセに聞いてみたら
「何かを合成して何かを造るなんて同じですよ。ただ名前が格好いいから錬金術って名前が付いているんじゃないんですか?金なんて作りたいって思うなんて…」
「何か作ろうか考えているんだけど…」
「だったら異世界モノの定番かどうかわからないけど、回復の【ポーション】なんて良いんじゃないですか?いざって時にオススメなんてね。」
ポーションの作り方あるかなぁって初心者セットにあったレシピをみているけど…
載ってなかったよ。
「レシピにポーションの作り方載ってないんだな。」
「工業ギルドや工場とかが隠してると思いますよ。個人で造られちゃったら、たまったもんじゃ無いですよねー。」
バカにしたような感じで言ってきた。
「冥王さま、この宿大浴場があるんですよ。お湯に浸かるって大事ですよね。私、お風呂入ってきますね。」
部屋から出た瞬間振り返り
「冥王さまもお風呂行ってくださいね。別の世界なんですから。」
基本、不変な存在の俺達なので新陳代謝や汚れることは無いのだがお湯に浸かったり睡眠を摂ることで体がリフレッシュすることは人間と同じなのだ。
「入ってくるかな…」
大きな浴槽だった。何か特別なのでは無いけど。
錬成で何を作ろうか考えてたら照明を作ってみるかなぁ。
部屋に戻ったらフェルセがいきなり
「明日、ワイバーン討伐の依頼をやりますよ。」
依頼を受けてるけどいきなり?
「こういう依頼は早く終わらせるのが良いんですよ。ワイバーンは手強いんです。亜竜の一種ですが、飛んでいるから面倒くさいんですよね。」
「ワイバーンってトカゲに羽生えたやつだろ。」
「ワイバーンに対してのセリフ!異世界モノ好きならわかりますよ!!」
笑ってたよ。フェルセが笑いながら
「ワイバーンは、亜竜だから皮膚が固いんですよね。冥王さまの剣でも軽く通ると思いますけど」
「俺の剣、ごく普通の鉄の剣だけど…大丈夫か?」
「えっ?」
笑ってたフェルセが、急にだまる。
「あの剣って?えー!!コボルトにスパーンって斬ってたから。てっきりミスリル製かと。」
「しっかり研いだだけだよ。」
「まぁ行けますよ。冥王さま、何とかお願いしますね。」
「朝、武器屋行けば良いんじゃ…」
フェルセが、くいぎみで言ってきた
「店開く前に出発しないと夜になっちゃいますよ。」
これは、困った。まぁ剣の手入れだけでもしとくかな。
錬成できないな。と少ししょげた。
読んでくださいましてありがとうございます。
冥王さま異世界転移してやっと1日が終わります。次回から討伐編です。章は変わらないです。
まだ章は、無いんですが。