プロローグ
設定ばかりが頭をよぎる。さあ、頑張っていこう!!
目を開ける。
知らないところだ。
目に映るのは、狭い部屋だ。出入り口はない。壁は白く、天井がない。中央に椅子と机とパソコンがある。
「どうなってんだ?」
俺は、変化のない空間でしばらく、突っ立っていたが、痺れを切らし椅子に座る。
すると、パソコンが勝手に起動した。画面には勝手に文字が打ち込まれる。
『はじめまして』
挨拶が打ち込まれるパソコンとは、怪しさしかない。
『私は、転生管理会社のメヴィーと申します。あなた様は、工藤 駆様で宜しいでしょうか?
YES NO』
本人確認のようだ。YESをクリックした。
『返答ありがとうございます。では、まずは謝罪を。誠に申し訳ありません。あなた様は当社の手違いで死亡してしまいました。死因は無呼吸です。』
無呼吸は死亡するような症状ではない。確かに手違いであるようだ。
『それでは、これからについてです。手違いとはいえ、死亡してしまっては現実への帰還は不可能となります。ご了承ください。そこで、突発的に生命体が発生しても誤魔化しの利く、異世界への転生を実行します。記憶は保持され、肉体もある程度成長したものをご用意致します。また、謝罪の意を込めましてある程度の強さの能力を付与致します。』
どうやら、ラノベ展開になるようだ。
『では、まず基本情報をあなた様の適性から構築いたします。』
その言葉の後、画面にはnow loadingの文字。しばらくすると文字が打ち込まれる。
『姓名:工藤 駆 種族:人族 性別:男 年齢:18
天職:錬成師 lv.1 HP:100 MP:1000
STR:10VIT:10INT:100MND:100DEX:500AGI:10
技能:錬成slv.Ⅹ 解析slv.Ⅹ』
これが俺のステータスだろうか?年齢が若くなっている。魔法職よりのようだが、魔法スキルはない。これでどうしろというのか。肉体的にはすぐに死ねる。
『錬成師の適性をお持ちのようですね。それでは、アイテムを贈呈いたします。』
アイテムをくれるらしい。
『アイテムボックスを獲得しました。オリハルコン10kgを獲得しました。ミスリルを10kg獲得しました。霊鉄を100kg獲得しました。旅具一式を獲得しました。』
とても、貴重そうなものを貰った。破格である。
『それでは、チートの取得に移ります。まず、あなた様の希望を技能名称として入力してください。その後、世界バランスも考慮して能力を決定いたします。』
どうやら、チートの名称を決めるらしい。さて、基本、俺は錬成師だ。それに適したものが良いだろう。欠点を消去するものでも良いが、やはり特化型が……
よし決めた。俺は名称を打ち込む。
『物体憑依』
Enterを押すと、now loadingの文字。
しばらくして、文字が打ち込まれる。
『物体憑依
物体に憑依するスキル。物体の定義は魂のないものとする。能力保持者の肉体が死亡した場合、物体に憑依することで世界に存続することを可能とする。五感は憑依する物体によって異なる。人の肉体であった頃よりも良くなることもあるし、悪くなることもある。肉体の死亡後、食事等の生命活動は不要となり、疲労の概念もなくなる。』
……バランス考慮されているのだろうか?
『結果的に不死となっていますが、攻撃能力はこれ単体では存在しないので、バランスは大丈夫です。』
心の声に返答がきた。最初のクリックはなんだったのか?
『では、これで宜しいですか?
YES NO』
他に思いつかないので、YESをクリック。
考えてもしょうがない。楽しんで生きよう。
『それでは、転生を開始します。あなた様の人生に幸福があらんことを』
その文字の後、視界は光で埋め尽くされた。
「はぁー」
白い無限空間にため息が響く。彼女は駆の担当をしていたメヴィーその人である。いや、神かそれに近しいものなのだが。
「メヴィーさん、どうしたんですかー?」
間延びした口調で同僚が声をかけてくる。
「いえ、私の担当が不死になりまして」
「おや、では第一目標はクリアですねー」
「ええそうなんですが…」
メヴィーは目標をクリアしたというのに憂鬱な雰囲気を漂わせる。
「彼は多分、創造神の適性を持ちます」
「あー、ラグナレクの可能性が大ですかー」
「そうなります。はぁー忙しいのに仕事が増えました」
彼女たちは、別にラグナレクが起ころうとハルマゲドンが起ころうとどうでもいい。それで仕事が増えなければ。今回は仕事が増えるので憂鬱なのだ。
この有様を駆をはじめとした転生者は知らない。