第一話 龍を狩る者
「おいグレン。何か面白いことはないか?」
もうこの言葉も何回聞いたことか。
「お前なぁ・・・。いや、しかし無理もないか・・・。」
龍のこともあってか、「セミール」と「メシウス」はいかにもいっぱいいっぱいといった感じだが、それに比べてここ「バリトルト」は、これといったことはなかった。
バリトルト列島は、北部と東部に分けられており、北部では、アテン島・セレナーデ島・そのほか小さな島々。
東部では、オートロリア島・ラスティ島・ラミナス島。
首都は、北部セレナーデ島の中央部に位置する「アルべリオ」。
その外れに住む少年「グレン」は、今日も平凡な一日を過ごしていた。そしてその日が終わった。
月日が流れ、ある日。
少年少女が学習する場所(――――以下、「学校」と示す。)で、授業を終えたグレンが校舎から出た時、何故か街のほうが騒がしかった。
校舎が高台にあるため、様子が見れた。
どうやら、中央の広場で何者かが講演をしているようだった。
「また何かやってるぞ」
少しあきれた口調で誰かが言った。
しかし、もう一人の誰かが言った。
「でもいつもとは少し違うよな。ほら、人の集まりとかさ。いつもより多くね?」
確かにいつもとは違っていた。
興味を持ったグレンは、急いで広場に行った。
息を切らして走り、二分ほどで広場についた。
大人数の中で、三人の若い男が力強く皆に語っていた。
その男たちの背には、大きく禍々しい剣や銃がついていた。
「この人たちは?」
近くにいた男に聞いた。
「来るなり急に話し出したんだ。『我々はメシウスよりこの地に舞い降りた。我々の名は〝メシウス王国龍討伐隊・クシャトリア”だ』とか言ってたよ。まぁ島の半分が焼けたんだ、いつかはこんな隊が出るとは思ってたけどね。これに対してセミールはどう出るか・・・。」
優しく語ったその男は少々空き気味にこっちを見て微笑んだ。
その講演はそれから十分ほど続き、すべてを語った後、馬車に乗って去っていった。
それと同時に聞いていた人たちも散り始め、五分ほどにはもう普段の広場に戻った。
そして何も変わらない。
月日が流れた――――。