「異世界転生編 Ⅱ」
光が導く世界がゆっくりと見えてくる。
瞳は世界を、耳には歓喜の声が。
意識はどんどん覚醒していって現状を明確に確認できるようになり、俺は周りを見まわした。
「ディラン、目! 目を開けた。・・・・・・無事に生まれてきてくれた」
「そうだな。本当に元気で・・・・・・なんて愛くるしいのだ」
開口一番、初対面の方々の仰った意味がよくわからない。
・・・・・・・ここは来世か? ここは何処だ?
疑問が頭を悩ます。しかし現状は次なる展開で変わる。それも自分が原因で。
お腹が空いた。涙が溢れ出てくる。自分の意識、感情はコントロールできる道理だが今ばかりは制御不可能。・・・・・・・・・・「う、うえーーーーーーーーーん。えーーーーーーーん」
「達者な産声だ。生まれたばかりでお腹が空いたのだろう」
「お乳をあげなきゃ。あ、ディランはお祈りを続けていてよ。・・間違ってもこっちは見ないでよね」
女性は男性に念押しして言い聞かせると俺を軽々しく持ち上げ、シルクのバスタオルを脱ぎ始めた。
脱いでいく内に豊満なお胸が姿を現す。
男の性としてどうこうしたいが、ここで気づく。
・・・・・・体の自由が利かない。
不憫に思った女性は自分の胸に誘導してお乳を飲ませた。
俺は思いっきり飲む姿を晒した。・・・・・恥ずかしい思いをしたが二つの役得があった。
一つはお腹いっぱいになったこと。
前世では怠惰の日々を送るあまり、肥満体型になって暴食気味だった自分がまさかお乳で満足するとは思ってもみなかった。
もう一つは二人の笑顔が見られたこと。
その笑顔は春の陽気をも思わせる温かい温もりが籠ってるのを感じた。
・・・・・・・・嬉しかった。誰かの役に立てたことが、笑顔にさせられたことが。
こうして俺は無事「異世界転生」を成した。後で気づいたことであるが、二人は現世の両親。
そして「ビギン教」の聖職者。
父の名前は「ディラン・ロック」、母の名前は「フェミナ・シトラス・ロタリーゼ」。
母は「ロタリーゼ王国」の王女で父は王国の騎士団長だったらしい。
そんな二人の間に生まれた娘が「ソフィア・ロタリーゼ」、つまり俺。
・・・・・・俺は異世界に王女の娘として生を受けたのだ。
4月までは毎日投稿するのでどうぞこの作品を読んで下さい。
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